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第34話 戦争中の工作船
佑は工作船から出なかった。
何もしなかった。売るものもなかった。戦争中は取引しない。それだけだった。
フィリアが毎朝、食事を持ってきた。
「食べてください」
「……ありがとうございます」
「食べないと倒れます」
「エルフは倒れません」
「倒れませんが、食べないと不健康な顔になります。今すでになっています」
佑は受け取った。
窓の外を見ながら食べた。遠くに九州の輪郭が見える。煙が上がっている場所がある。
「……止めたい、と思いますか」と佑はフィリアに聞いた。
「思います」とフィリアは言った。「でも、止める権利がない」
「そうですね」
「佑は?」
「……同じです」
モリスが来て、何も言わずに佑の隣に座った。
ドワリンが来て、お茶を置いて出ていった。
シャリアが来て、「教科書の改訂をしています」と言った。「戦争が終わったらすぐ授業ができるように」
アイリスが来て、「次の船の設計を始めました。戦争が終わった後の船です」と言った。
ライルが来て、「戦後の輸送計画を作っています。復興に必要なので」と言った。
全員が、バラバラに、何かをしていた。
戦争中でも、止まらない。
佑はそれを見ながら、少しだけ、ほどけた。




