閑話「豪州人から見た日本」
時期:第三部(1840年代)
【1847年・豪州合衆国諜報部・極秘報告書より】
日本潜入調査 担当:ジョン・マキャヴェリー
三ヶ月の現地調査の結果、以下を報告する。
日本は危険である。
理由を列記する。
一、識字率が異常に高い。農民も漁師も、文書を読み書きできる。
二、農民が計算できる。作物の収量を自分で管理している。
三、職人が幾何学を知っている。図面を引いて設計している。
四、子供が議論している。先生が答えを与えず、自分で考えさせている。
五、教師が質問を歓迎している。「知らない」を恥とみなしていない。
結論:この国は兵器で作られていない。二百年の教育で作られている。
兵器の差を埋めることは可能かもしれない。
しかし二百年の差は、兵器では埋められない。
我が国の取るべき策について、慎重な議論を求める。
報告書が政府高官の会議に回覧された時、沈黙があった。
「どうやって勝つんだそれ」と一人が言った。
「正面からは無理だ」と別の一人が言った。
「では?」
誰も答えなかった。
この会議の結果は、ジェームズ・マクレガーの戦略研究室に届けられた。マクレガーは報告書を読んで、しばらく黙った後、「あの宇宙人が直接動かない限り、勝てるかもしれない」と呟いた。
しかし彼はもう一つ付け加えた。「ただし、兵器で勝っても、それは国民に勝ったことにはならない」




