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第28話 南半球の異変
一七〇〇年代。
南半球に、新しい勢力が生まれていた。
ヘイスティングスの子孫が東インド会社の資金を使って、オーストラリア大陸の南東岸に港を作ったのが始まりだった。そこにスコットランド移民、アイルランド移民、南米を追われたポルトガル系やスペイン系の人々が流れ込んで、気づけば一つの国になっていた。
豪州合衆国。
議会制民主主義と自由貿易を掲げ、二十年で人口が三倍になった。
佑が最初に観測したのは、一七八五年だった。
「南半球に新しい国が生まれました」とライルが報告してきた。
「知っています」
「日本に対して、どう動くと思いますか」
佑はしばらく考えた。「最初は貿易を求めます。次に市場を求めます。その次に——」
「その次に?」
「実力を試そうとします。そういう国の成長の仕方です」
「介入しますか」
「しません。ただし」
「ただし?」
「日本人に情報だけ売ります。何が来るかを知った上で、自分で考えてもらいます」




