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閑話「外国人の記録 二本」
【1648年・フランス哲学者・ソフィー・ド・ヴァロワの日記より】
長崎の沖に船を泊めて、十四日目に長耳の者を見た。
畑の縁に立って、農民と話しながら、土を手に取り匂いを嗅いでいた。
農民が何かを言って、二人で笑った。
悪魔が笑顔で農業をしている。
帰国したら本を書こうと思った。
誰も信じないかもしれないが、書かずにいられない。
帰国後に書いた本は「東洋の不思議な島国」として、ヨーロッパで大流行し、日本への憧れと恐怖が奇妙に混在する文化現象を引き起こした。
【1720年・イギリス外交官トーマス・ペインの記録より】
講和交渉を終えて帰国した。
日本について、一つだけ理解できないことがある。
なぜ、あの国は「何も要らない」のか。
領土でも、貿易路でも、影響力でもない。
彼らが欲しいのは、美味いものを食べることだけだと、
講和交渉の場で佑という者に言われた。
「和食が美味しいからです。それだけです」
その答えが、私は生涯忘れられない。
最も理解できない答えが、最も正直な答えだったかもしれない。




