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神の如き宇宙人は何もしない~ただ売るだけ~  作者: 苺一会
第六章「日本が育ち始める エルフが同僚になる」

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閑話「工作船の幽霊」

 信長が死んで三年が経った。

 佑は時々、工作船の廊下を歩く時に振り返る。


 誰もいない。


 当然だ。工作船にいるのは、エルフたちと佑だけだ。信長がここに来ていたのは特別な時だけで、しかも信長はもう死んでいる。廊下に誰かがいるはずがない。

 それでも、振り返る。


 最初は気のせいだと思っていた。長く生きると、感覚が鈍くなるものだ。あるいは過敏になる。佑の場合は、時々、死んだ人間の気配を感じる。

 しかし、信長の気配は特別だった。


 他の死者の気配は、悲しかった。胸が重くなる感覚だった。

 信長の気配は——誰もいないとわかった瞬間——少し、安心する。


 なぜかは、わからない。

 ある夜、フィリアが廊下で佑とすれ違った。佑が立ち止まって振り返るのを見て、フィリアが「何かいますか?」と聞いた。


「いません」

「じゃあなぜ振り返るんですか」

「……癖です」


 フィリアは不思議そうな顔をしたが、何も言わなかった。

 佑はしばらくその場に立っていた。


 信長が最後に工作船に来た時、何をしていたかを考えた。たしか、窓から夜の海を見ていた。「波が光っているな」と言っていた。佑が「生物発光です」と説明しようとしたら、「そういうことじゃない」と遮られた。


 信長は、そういうことをよく言った。

 説明される前の感動を、説明で殺すな、という意味だったのだろう。


 佑は廊下の窓から、夜の海を見た。

 暗くて、何も見えない。発光する波もない。


 しかし、窓の向こうに、何かがいる気がした。

 いや、いない。


 それでも佑は、もう一度振り返った。

 誰もいなかった。


 安心した。

 安心することの、理由はわからなかった。


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