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神の如き宇宙人は何もしない~ただ売るだけ~  作者: 苺一会
第二部「エルフが暴走し、日本が育つ」 第五章「北米 最初の街と、信長の死」

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閑話「折り紙の鶴」

 ある年の春、結が手のひらに乗るほどの小さなものを持ってきた。

 白い紙を折って作った、鶴だった。


「誕生日のお祝いです」

「私の誕生日は——」


「あなたが地球に来た日を、私の中では誕生日にしています」


 佑は鶴を受け取った。軽かった。当然だ、紙一枚だ。角が丁寧に折られていて、翼の部分がほんの少しだけ非対称になっていた。手で折ったからだ。


「原価は」

「紙一枚です」


「一枚。では——」

「等価交換はしません」


 結は、笑った。


「ただの贈り物です。あなたが困る顔が見たかっただけです」


 佑は困った顔をした。実際に困っていたからだ。

 この鶴に、値段をどうつければいいのかわからなかった。紙一枚なら、ほぼゼロだ。しかし、結が時間をかけて折った。その時間には値段がある。ただ、それを勝手に計算して払うのも違う気がした。


「……どこに置けばいいですか」

「どこでも」


「捨てても?」


 結が少し首を傾げた。


「捨てるんですか?」

「……捨てません」


「なぜですか」

「……わかりません」


 結はまた笑った。今度は少し長く笑った。


「帳簿の横においてください」


「なぜですか?」

「帳簿は、あなたが一番よく見るものでしょう。よく見るものの横に置いておけば、忘れません」


 佑は帳簿の横に鶴を置いた。


 三年経っても、捨てられなかった。

 結が死んだあと、佑は帳簿の整理をした。古い帳簿を棚の奥にしまう時、鶴も一緒にしまった。帳簿を出す時は、鶴も出した。何かを記録する時、横に鶴があった。


 いつの頃からか、鶴が少し黄ばんでいた。

 それでも、捨てられなかった。


 捨てる理由が、見つからなかった。


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