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神の如き宇宙人は何もしない~ただ売るだけ~  作者: 苺一会
第四章「信長との関係の確立 世界地図の説明」

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閑話「佑が和菓子で動けなくなる」

(1600年代・江戸の菓子屋)


 モリスの農業指導が実を結んで、砂糖の品質が上がり始めた頃のことだった。


 江戸の菓子屋に、新しい生菓子が出た。


 フィリアが「食べてみてください」と言って持ってきた時、佑はちょうど帳簿を付けていた。


「何ですか」

「わらび餅です。今の江戸で一番良い出来だと思います」


 佑は一口食べた。


 止まった。


「……」

「どうしましたか」

「……もう一回言ってください、今のを」

「わらび餅です」


「違います、味の話を」

「わらび粉を練って、きなこと黒蜜をかけたものです」


「その黒蜜は」

「モリスが指導した黒糖から作っています。モリスが『正しい甘さになった』と言っていました」


 佑はもう一口食べた。また止まった。


「……」

「泣いてますか」

「泣いていません」


「目が──」

「照明の問題です」


 フィリアは何も言わなかった。ただ「私も食べていいですか」と言って、向かいに座った。二人で少し黙って、わらび餅を食べた。


「……異世界にはなかった」と佑がやがて言った。「こういうものが」


「なかったですね」

「十年間、一度も食べられなかった」


「はい」

「これのために」と佑は言った。「ここに来た気がしてきました。今更ですが」


「最初から来ていますよ、ここに」

「そうですが」


 また少し黙った。


「次もまた買います」と佑は言った。「倍の値段を払います」

「なぜ倍ですか」


「美味しかったので」と佑は言った。「対価を払わないと落ち着かない」


 フィリアはしばらく考えてから言った。「値段をつけられないものに弱いと言ったことがありましたが」


「ありましたね」

「値段をつけられるものには、本当にちゃんとつけますね」


「商売なので」と佑は言った。ただその声は、少し穏やかだった。「当然です」


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