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神の如き宇宙人は何もしない~ただ売るだけ~  作者: 苺一会
第四章「信長との関係の確立 世界地図の説明」

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閑話「フィルムの中の人間たち 1598年」

 第一部末、1598年冬。


 各大名からフィルムが届いたのは、カメラを渡してから十年後だった。

 佑が各大名に売ったカメラは、当初は「記録用の道具」として売った。戦況を記録する、城の設計を記録する、そういう用途を想定していた。


 返ってきたフィルムを、佑は工作船で現像した。

 一本目は信長からだった。


 最初の一枚は安土城下の市場だった。人が多かった。皆が何かを買っていた。活気があった。

 次の一枚で、佑は少し止まった。


 結が写っていた。

 不機嫌な顔だった。何かを言いかけた瞬間を撮られた顔だった。明らかに撮られたくなかった顔だった。

 信長が撮ったのだと分かった。

 佑(内心):信長殿らしい。


 二本目は毛利からだった。造船所が多かった。船の骨組みが並んでいた。それだけだった。実用的な記録だった。


 三本目は伊達からだった。

 騎馬の行列が一枚。城の外観が一枚。そして最後の数枚が、北米開拓地の写真だった。


 泥の中に立っている人間たちが写っていた。

 笑っていた。


 服が汚れていた。顔が汚れていた。背景は開拓途中の荒れ地だった。それでも笑っていた。何かを成し遂げた顔だった。疲れているのに、笑っている顔だった。

 佑はその写真を長く見ていた。


 この人たちは、佑が送り込んだわけではない。自分で決めて来た人たちだった。佑は船と地図と食料を売っただけだった。来るかどうかは彼らが決めた。

 泥の中で笑っていた。


 佑は写真を現像し終えた後、信長の写真だけ手元に残した。

 結の不機嫌な顔の写真と、北米の笑顔の写真を、同じ引き出しに入れた。


 その夜の帳簿に、佑は書いた。


【1598年・冬・記録】


フィルム現像完了。各大名分。


備考:泥まみれで笑う人間を、

   初めて美しいと思った。


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