第19話 帳簿 一五九〇年 第一部総括
【1590年・年間取引記録まとめ・第一部総括】
総収入:黄金換算 1,240枚相当
食料備蓄:6ヶ月分(完全に安定)
譲渡:通信機9個・フィルムカメラ9個・フィルム3箱×9個
エルフたちの現状:
モリス──
尾張・近江・伊勢の農村を担当している。
本人は「菜園」と言い張っているが、どう見ても農業改革だ。
農民たちから「モリス先生」と呼ばれ始めた。本人は特に気にしていない。
土の話になると止まらない。
フィリア──
京都の味噌蔵六件に温度計を設置した。
そのうち一件、善右衛門の蔵には週二回通っている。
最近、味噌だけでなく醤油と酢の研究も始めた。
「菌の世界は広い」と言っている。
ドワリン──
関東一円の下水道を独自マップにまとめた。
改善リストは既に四十項目を超えている。
シャリア──
尾張の寺子屋を十四件改造した。
日本人教師を三人育成中。
先週、一人目の教師が独自のカリキュラムを作ってきた。
シャリアが「これは私が教えたものよりいくつか優れた点がある」と言っていた。
嬉しそうだった。
ライル──
東海道全線の測量が完了した。
次は山陽道に行くと言っている。
鉄道計画の設計図は第七稿まで来ている。
誰も頼んでいないが誰も止めていない。
アイリス──
毛利家の造船所で指導を始めた。
報酬の船の建造が来年から始まる予定。
信長殿──
今年の秋、初めて一緒に食事をした。
鮒寿司と豆腐料理だった。
値段は聞かなかった。聞けなかった。
少し申し訳ない。少しだけ。
瀬川結殿──
日本戦略研究所が正式に動き始めた。
先月の分析書が届いた。
私の予測より精度が高い部分が三箇所あった。
追加の対価を払った。結殿が少し困った顔をしたが受け取った。
仙吉──
先月また会った。豆腐を一丁買った。今度はちゃんと値段を払った。
仙吉は「また来い、佑」と言った。
また行く。
来年から第二フェーズ。
稼ぎを設備に回して、売れるものを増やす。
二百年後の日本のために、今できることをやる。
それだけだ。




