第18話 神様からの再通信
その夜、工作船のブリッジで作業をしていると、また通信ランプが点滅した。
「……また来ましたか」
『佑くん、元気?』
「元気です。忙しいですが」
『そうか、良かった。えっとね、そろそろ未来に戻しましょうか? 座標の計算、今度はちゃんとやるから』
佑は少し止まった。
戻る、未来に戻る選択肢が、今もある。SF世界の時代に。そこに行く予定だったのに、間違えて過去に来た。修正するなら今だ。
佑はブリッジの窓を見た。眼下に夜の日本列島があった。
仙吉の豆腐を思い出した。フィリアが感動した味噌蔵を思い出した。モリスが握った尾張の土を思い出した。信長が試してくる目を思い出した。
「戻りません」
『え、戻らないんですか?』
「戻りません」
『なんで? せっかく計算し直したのに』
「……和食があるので」
通信の向こうで、神様が少し沈黙した。
『……そうですか』
「あと連絡してこないでください。忙しいので」
『……はい』
通信が切れた。
ライルが横から言った。「……本当にそれだけの理由ですか」
「それだけです」
「和食のために一五〇〇年過去にとどまると」
「そうです」
ライルは少し考えてから「分かりました」と言った。了解したわけではなく、そう言う事にしておいてあげる、というニュアンスだった。
戦国時代で色々な人に会い交流して日の本の皆が好きになってきているし、何より戦国時代を大きく掻き回してそのままほっぽりだす訳には行かないよ。




