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第13話 ライルの鉄道計画 第一次騒動
二週間後、ライルが会議室に地図を持ち込んだ。
日本列島の地図だった。街道の位置、主要な城下町の座標、山の標高、川の流れ。余白なく書き込まれている。
「日本の輸送効率が悪すぎます」とライルは言った。
「今は最初の商売を安定させることが──」
「鉄道を敷きます」
「今の日本に鉄道は──」
「将来のためです」とライルは言った。「百年後、二百年後に鉄道が必要になる。その時に線路がないと困ります。今のうちに計画だけでも作っておく必要があります」
「計画だけなら」と佑は言った。「構いません」
「では設計します」
「……設計だけならば」
ライルは地図を抱えてさっさと出て行った。
三日後、ドワリンが佑の部屋に来た。
「ライルが外に出ています」
「……どこへ」
「東海道全線の測量に」
「測量」
「日本人の職人を二十人雇って、街道沿いの地形を全部計測しています」
佑は目を閉じた。一秒。
「設計だけではなかったんですか」
「設計のために正確な数値が必要だと言っています」
「……そうですね」




