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神の如き宇宙人は何もしない~ただ売るだけ~  作者: 苺一会
第九章「記録し続ける者」

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閑話「工作船の展示室」

 2040年、工作船 収蔵庫。


 工作船の中に、誰も入らない部屋があった。

 収蔵庫だった。佑が鍵をかけていた。


 2040年、佑は初めてフィリアに鍵を渡した。


「見てもいいですか」とフィリアが聞いた。

「どうぞ」

 フィリアが扉を開けた。


 棚が並んでいた。ガラスの箱の中に、物が並んでいた。

 フィリアはゆっくり歩いた。


 最初の棚:古い木の椀。信長が最初の商談の時に使った椀だった。ラベルがついていた。「信長、1582年」。

 次の棚:小さな帳面。結の手書きの「佑攻略ノート」だった。初代のものだった。「瀬川結、1598年」。

 次:割れた豆腐桶の木片。仙吉の桶の欠片だった。「仙吉、1605年頃」。

 次:乾燥した蕨餅。一切れ。「1598年、結より。値段をつけ損ねた」。

 次:子供の落書きのある紙。「瀬川澪、5歳1628年。佑の帳簿に落書きした。落書き代:銀一分を請求したがくれなかった」。

 次:木札。「初代フィリア麹菌、善右衛門蔵より、1590年」。


 フィリアは木札の前で止まった。

「……これを持っていたんですか」


「捨てられませんでした」と佑は言った。後ろに立っていた。

 フィリアはもう少し歩いた。


 最後の棚:古い写真。北米の開拓地で泥まみれで笑っている人々の写真だった。「1598年・伊達家フィルムより」。

 フィリアが振り返った。


「全部、値段をつけなかったものですか?」

「全部」と佑は言った。「値段をつけ損ねたか、つけられなかったものです」

 フィリアは棚を見た。


「多いですね」

「四百五十年分ですから」

 フィリアが木札を見た。


「菌は今でも生きていますよ」とフィリアは言った。

「知っています」と佑は言った。


 二人はしばらく収蔵庫にいた。


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