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神の如き宇宙人は何もしない~ただ売るだけ~  作者: 苺一会
第九章「記録し続ける者」

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閑話「信長の墓前にて」

 1885年、安土 信長の墓。


 講和条約の調印から一週間後、佑は一人で安土に来た。

 信長の墓は、安土城の近くにあった。三百年前と変わらない場所だった。墓参りに訪れる人がいるのか、石が古くなっていたが綺麗だった。


 佑は墓の前に立った。

 何も持っていなかった。花もなかった。線香もなかった。手ぶらで来た。


 しばらく黙っていた。


「……勝ちました」と佑は言った。

 返事はなかった。


「正確には、日本が勝ちました。私は何もしていません」

 風が来た。


「マクレガーという男が言っていました。考える国民に負けたと。あんたが一番聞きたかった言葉だと思って、報告に来ました」

 佑は墓石を見た。


「あんたは最初から分かっていたんだと思います。儂は器を作るだけでいい、と言っていた。器を作れば、人間が勝手に育つと」

 また風が来た。


「私は器すら作っていません。売っただけです」

 佑は少し間を置いた。


「……それで良かったんでしょうか?」

 返事はなかった。


「良かったんでしょうね。あんたなら『当たり前じゃろ』と言うと思います」

 佑は一礼した。


「来るのが遅くなりました。三百年、かかりました」

 踵を返した。

 三歩歩いて、止まった。


「……楽しかったです」

 それだけ言って、歩き出した。


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