第11話 信長の決断 大名への転売開始
信長が各大名を呼んで宣言した。
「佑から買った物を各家に売る。兵器は一割増しだ」
各大名が顔を見合わせた。
「転売は」と家康が確認した。
「佑との約束通り、禁止だ。わしを経由して買った場合、更に別の者に売れば、佑から二度と買えなくなる。それだけは守れ」
政宗が小声で隣の家臣に言った。「……規格外の情報を持つ商人を、完全に囲い込んだ。さすがだな」
信長には聞こえていたと思うが、信長は特に反応しなかった。
結が使者として工作船に来た。
「佑殿にとっても都合が良いですか」
「はい。窓口が一つになります。私は商売に集中できます」
結が少し考えてから言った。「一つ確認させてください。信長様を経由することで、佑殿の利益が減る場面が出てきます。それは構いませんか」
「構いません」
「なぜですか」
「信長殿がいなければ私は日本で商売ができません。最初の売り込みは命の恩という形でしたが、実際には信長殿の信用が日本全体への入口になっています。その対価として一割は安いくらいです」
結がメモを取った。「……分かりました」
「あなたはなぜ確認したんですか」
結がペンを止めた。「佑殿が不利な条件を気づかずに飲んでいる場合、指摘する方が長期的に取引が安定すると思ったので」
佑は少し黙った。
「……ありがとうございます」
「仕事です」
「でも、私の利益を守ろうとしてくれた」
結は特に答えなかった。帳面を閉じて、「では失礼します」と立ち上がった。
佑(内心):この人間には値段がつけられない。三度目だ。




