↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の如き宇宙人は何もしない~ただ売るだけ~  作者: 苺一会
第九章「記録し続ける者」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
117/133

閑話「ここが僕の故郷ですから」

 神様が現れたのは、夕暮れだった。


 工作船の屋上で、佑が空を見ていた時だった。特に何かを考えていたわけではなく、ただ空の色が珍しかった。雲が薄く広がって、夕日を拡散させていた。地球の空は、角度によって毎回違う色をする。


「久しぶりだね」

 振り返ると、神様がいた。


 いつも通り、特に大きくも小さくもない姿で、特に印象的でも目立つわけでもない顔で、そこにいた。


「お久しぶりです」

「元気そうじゃないか」

「元気です」


 神様は屋上を歩き回った。手すりから下を覗いて、空を見上げた。


「変わった星だね、地球は。来るたびに、うるさくなっている」

「人間が増えていますから」


「大変だったね」

「大変でした」


 神様は、佑の横に立った。二人で並んで、夕焼けを見た。


「もう戻る?」


 佑は、すぐには答えなかった。


 戻る先は、向こうだ。元いた場所。地球に来る前にいた場所。静かで、広くて、何百年もそこにいた場所。

 佑は夕焼けを見ていた。


 空の端に、町の明かりが灯り始めていた。いくつか数えると、その中に仙吉の店があった区画があった。今は清次郎の孫がやっている。源一郎の名前は、橋の名前になっている。信長の血は、遠い子孫たちの中に流れている。


「……ここが、僕の故郷ですから」


 神様は何も言わなかった。


「向こうには、もう帰る家がありません。ここに、家があります」

「家というのは、工作船のことかい?」

「工作船もそうです。でも——」


 佑は、町の明かりを見た。


「もっと大きい意味です」


 神様は少しの間、佑を見ていた。


「そうか」

「はい」


「……大変だったね」

「言いましたよ、それはもう」

「また言いたくなった」


 神様はそのまま消えた。特に劇的な去り方ではなく、夕暮れの空に溶けるように、いなくなった。


 佑は一人になった。

 夕焼けが、少しずつ暗くなっていった。

 町の明かりが、一つずつ増えていった。


 ここが、故郷だ。


 五百年かけて、ようやく、そう言えるようになった。



——————————————————————————


佑「……ここが、僕のアナ◯ースカイ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。