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神の如き宇宙人は何もしない~ただ売るだけ~  作者: 苺一会
第九章「記録し続ける者」

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第46話 戦争が終わった朝

 欧州の戦争が終わった日、佑は工作船のブリッジで一人だった。


 フィリアが来た。

「終わりましたね」

「終わりました」


「……佑は今、何を考えていますか」

 佑は少し間を置いた。


「一つだけ」と佑は言った。

「何ですか」


「この百年で、私が名前を知らない人間が、何千万人も死にました」


 フィリアが黙った。


「日本人ではないから、記録の仕方が分からなかった。名前を買いに行くことも、できなかった」

「……」


「でも、その人たちが生きていた普通の日は、あったはずです」と佑は言った。「誰かと飯を食った日が。誰かに笑いかけた日が。良いものを作った日が」

「あったと思います」


「その記録が、どこかにあると良いと思います」

 佑は窓の外を見た。夜明け前の空が少し明るくなっていた。


「私にできることは何もなかった」と佑は言った。「でも、そういうことを思うことはできます」


 フィリアが佑の隣に立った。


「佑」

「はい」


「あなたは四百年間、ずっとそれをしていました」

「何をですか」


「思うことを、やめなかった」とフィリアは言った。「何もできない時でも、思うことをやめなかった」


 佑は少し黙った。


「……それだけで充分ですかね?」

「充分です」とフィリアは言った。「少なくとも私はそう思います」


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