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神の如き宇宙人は何もしない~ただ売るだけ~  作者: 苺一会
第九章「記録し続ける者」

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第43話 一九一七年 ロシア革命の夜

 冬に、ロシアが動いた。


 革命が起きた。

 佑は上杉家の末裔にあたるシベリア総督府に通信を入れた。


「ロシアの内部が激変します。国境付近の警戒を強化してください」


「どのくらい激変しますか」と総督が聞いた。

「今の皇帝が消えます。その後、今より強権的な政権が生まれます」


「今より強権的」

「はい。ただし最初は内側を固めることで手一杯のはずです。外に向く余裕が出るまで、おそらく十年以上かかります」


「十年の間に何をすべきですか」

「国境を固めること」と佑は言った。「それだけです。刺激しないこと。待つこと」

「……佑殿は、その先をどう見ていますか」


 佑は少し間を置いた。


「その先は」と佑は言った。「あなたたちが考えることです」


 総督が少し黙った。「……いつもそう言いますね、佑殿は」

「いつもそうです」


「それが佑殿の商売なんですね」

「はい」と佑は言った。「それが私の商売です」


 欧州の戦争は、史実と違う形で終わった。


 アメリカが存在しない。北米は日本の領土だ。欧州に介入する気がない。戦争は四年かけて、双方が疲弊した形で講和になった。

 史実のドイツほど屈辱的な敗北ではなかった。賠償金は重かったが、史実のヴェルサイユ条約ほどの激烈さはなかった。


 佑はその講和のニュースを聞いて、帳簿に書いた。


 欧州の戦争が終わった。

 日本は参加しなかった。

   

 死者は推定二千五百万人を超えた。

 私には名前が分からない。

   

 分からない名前が、それだけある。


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