第95話 てぇてぇと厄介おじさん再び
試合が始まりマップに降下して武器を探す。
『あ、これあるよ。あきななが使ってたやつ』
武器にピンを指して教えてくれるタケ。その表示された武器の名前を確認するとあきななは『あ~』と微妙な反応を示した。
『私最近それ使ってないんだよね』
『え、そうなの? じゃ俺が使っちゃおー』
『どぞどぞ』
その会話を横目に俺もボックスを開け武器を見つけるとピンを指す。
「あきななこれあったよ」
『ん? おぉっ!! 欲しいッ!』
「いいよ」
『ありがとーっ!』
『うーわこれ、俺は最近あきななが使ってる武器知ってますけどねって言われてる?』
「はは、言ってないですよ」
『あははは!』
直ぐてぇてぇに繋げられるの厄介過ぎる。どうやったらそういう想像出来るんだ。
【てぇてぇのダシにされるタケなのであった】
【あきなな今日いつもより声高くない? 気のせい?】
【↑ラギとやるときはいつもワントーン高いと思う】
ある程度武器や回復は揃い、いつでも戦闘できる状況になった。
強いて言えばあと弾数が多くなるアタッチメントが欲しい所ではあるが、敵を倒せば手に入れられる可能性が高いので別にいいか。
そう思って周囲を見渡しながら移動しているとあきななから声を掛けられる。
『ラギくん、ラギくん』
「ん?」
近くにいたあきななのキャラの方を向くと止まっていた。
『これいる?』
そう言って地面に落としたのは俺が丁度欲しかったアタッチメント。
「え、欲しい。いいの?」
落ちているアタッチメントを取りに近付きあと少しで取れる距離まで行く。
すると『ダメ、あげな~い!』と俺の手が届かないギリギリの所で回収された。
「なんやねんまじで」
『あはは! ごめんごめん』
『…………』
【タケ顔www】
【にっこにこで草】
【戦場が甘い空間に……】
「あ、敵いた」
俺はこちらに気付いていない敵に向かって発砲を始める。そして相手もアーマーが弱いのか直ぐに割れ肉まで削る。
『えい』
あきななの掛け声と共に敵はダウン。
「あキル取んな」
『キルパクうま~!』
『ちょ、二人共!? 取り敢えず俺の方も助けて!?』
タケの方を見るとダウンさせた敵の仲間なのか二人がタケに向かって攻撃を仕掛けていた。
見ると二手に分かれて挟まれそうな状況。
すぐさま敵をフォーカスし射撃。ある程度ダメージを削るとタケがそいつをあっという間にダウンさせる。
もう一人の敵からダメージを受けながらも、岩で射線を切りなんとか対応していた。
その隙にタケの近くまで来れた俺が横からダメージを入れて壊滅させた。
「おっけぇ終わり」
『ないすー』
『ナイスラギまじで助かった。ナイスカバー!』
自分よりも上手い人に褒められるのって嬉しいな。
そんな事を思うとあきななにキルパクされたとか言った自分が少し恥ずかしく思えた。
でもほんとミリHPの敵を取られたのはちょっと不服ではあるぞ。
ランクを上げるにはポイントを稼がないといけないのだが、キルした人数とかによっても変わってくる。
まぁ1キルじゃ対して変わらないからいいんだけど。
『いやぁ危なかった。二人共頼むからイチャイチャは戦闘が終わってからにしてね』
「あれのどこがイチャイチャ……?」
『あっ、あれくらいはイチャイチャにすら入らないと……。日常茶飯事だと……なるほどなるほど……』
何か一人で勝手に納得して神妙な顔になっているタケ。
もう何を言っても無駄な気がするので無視することに。
安置移動しながら途中の家の物資を漁っていると紫アーマーを見つけた。
「紫アーマーもーらいっ」
アーマーを拾うと今まで来ていた青アーマーが落ちた。
『あ、じゃあ私ラギくんが着てたやつ貰お』
「いいよ」
『ラギくんの脱ぎたて~。も~らいっ!』
「ふっ、ちょ言い方」
『言い方キモいなぁあきなな』
キモいと言われながら『なはは!』と豪快に笑いアーマーを拾う。
『あ~~! なんかラギくんに包まれてる感じする~!』
『うははは! ラギの匂いする?』
『うん、なんかいい匂いする』
「いやキモいって」
『ひどっ!?』
やけに今日のあきななはエンジンがかかってるな。
配信とはいえ、同じクラスの男子相手にこんな事言えるって相当だぞ。
俺に嫌われるのが怖くないのか……?
【俺のも着て欲しい】
【あきななヤバいwww】
【言い方よw】
【暴走してない?w】
その後、残り三部隊になり戦闘が激化するも挟まれてしまった。
『うわぁ! 別nyん!』
「別にゃん……?」
『そんな事言ってない!!』
結果は三位になったもののそこそこキルポも稼げてポイントはかなりのプラス。
【惜しいぃ! ないふぁい】
【やっぱカスタムで練習したからか連携上手いな】
【俺も今のはにゃんって聞こえた】
その後も三人で雑談しながらランクを回し、時にはマイナスを喰らいながらも楽しい時間を過ごした。
『そういえばこの前ヴァルの大会見てたんだけどさ、0-12折り返しからの逆転してて滅茶苦茶面白かったんだよね』
あきななもプロシーンとか見るんだ。少し意外かもしれない。
「あーあれね。面白かったよね」
ヴァルは13ラウンド先に取った方が勝ちというルールがあるのだが、0-12という絶望的な本数差から逆転勝利を収めていたチームがあった。
それはもうネットでも大盛り上がり。
『ねー!』
あきななが俺に相槌を打つと厄介な人が神妙な声色でボソッと呟いた。
『……二人で見たんだ』
「なんでそうなる」
【いや草】
【一番の厄介オタクはタケかもしれない】
【妄想捗る】
【これぞまさにてぇてぇと厄介おじさんやなw】
【カスタム終わってから三人知ったけど、チーム名の通り過ぎる】




