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第91話 「俺はあきななの方が大事だけど」

 カスタムに出て様々な事があり、それがshortsでバズったりおまけに夏休みという事が相まって配信の同接は今までで一番多くなっていた。


 そんな中、俺とあきなながプレイしているゲームは相も変わらずヴァルラントだった。


 エテのカスタムから知ってくれた人達が多いからか、コメントではエテはしないのかという問いが来る。


「エテはカスタムに向けて滅茶苦茶やりまくったから正直言って今はお腹いっぱいなんだよね」


『私も! でもまぁ、ラギくんと出来るなら全然エテでもいいんだけどね』


「ッ……俺最近思うんだけどさ、前より何かナチュラルにデレて来てない?」


【思ったw】

【デレが加速しとる】

【カスタムで更に絆深まった?】


『いやそんな事無いけど? あれれ~? もしかして意識しちゃってるのかなラギく~ん? 照れちゃった~?』


 コメントの言う通りカスタムで絆が深まったのは事実。それにこの前ショッピングモールに二人で出掛けたのもあって更に距離が縮まったのかもしれない。


 でも、だ。こいつリアルと配信じゃ違い過ぎるだろ。なんでこんなに煽ってくるんだよ。


 顔を合わせていない分、いくらか照れが減るのは分かるが普通に恥ずかしい。


 ラギとあきななのてぇてぇで伸びたからそういう魅せ方をしていく方がいいと言うのは俺も理解している。


 だから、ここで俺はウザそうに言葉を漏らす。


「なんやこいつ」


『なんやこいつってなんや!!』


 俺がデレたとしても誰得だって感じだ。ならばいっそ笑いの方に持って行った方がいい。



【出たラギの照れ隠しwww】

【これあきななも実は照れ隠しで煽ってるだけだろ】

【なにそれてぇてぇ】

【かわいい】


 待って何か俺照れ隠しってバレてる。そりゃ女の子にこんな言われたら照れない方がおかしいに決まってる。


 男の俺がデレるのは自分ではキモイと思ってるからあまりデレたくないんだよな。






『あーっ! 飛んじゃうよ飛んじゃうよっ!? 武器キープしてよ。あーっあー!』


 急かされ逃げるも俺はギリギリの所で爆弾の爆風に巻き込まれてしまう。


『あーっもう! お金少ないから武器買えないじゃんっ!』


「そんな怒んなくてもいいじゃん。そんなに武器が大事なの?」


『大事だよ!!』


「俺はあきななの方が大事だけど」


『……ふっ、もぅそういう事言ってるんじゃないの!!』


 ヴァルラントはラウンド開始前に武器やスキルをクレジットで購入して戦うのだが、クレジットが少ないと強い武器を買えないのだ。


 その為、お金が無い時は節約、エコをするという感じ。次のラウンドで全員強い武器を買えるように調整したりするのが当たり前だ。

 次のラウンドにスキルやアーマーを買えて武器も買える状況なら、味方4人がエコをしていても買った方が良かったりもする。


 自分のクレジットが無くても、味方がお金を持っていれば武器を買って貰えることもでき、慣れるまでは中々難しいゲームなのである。



【んんっ!?!?!?】

【なんかサラッと凄い事言わなかった!?】

【切り抜きポイント】

【あきなな照れ笑い隠しきれてないの尊過ぎる】



「ごめん、あきななが買ってくれるかなって思って……」


 俺は武器を落としてしまい、スキルやアーマーを買ったらお金が足りない。でもあきななのクレジットには余裕があるのが分かっていたので、敵をキルしてアルティメットポイントを貯めようとしたのだ。


 まぁそれは失敗して、敵も俺も一緒に爆風に飲まれたのだが。


 アルティメットポイントとはウルトと略し、スキルと同じようにキャラ毎に違い、攻撃型のウルトだったり索敵型のウルト。他には敵の視界を奪ったり、スタン状態にしたり、はたまた味方を蘇生したりと様々だ。


 ウルトポイントが一定数貯まると発動できる必殺技。貯める方法は攻めだと爆弾を設置したら1ポイント。敵を一人倒しても1ポイント。そして倒されても1ポイント貰える仕様だ。


「……買ってくれないの?」


『……あげるけどさ!』


 不服そうだったが、ラウンドの勝ち負けにも繋がってくるのであきななは投げやりな口調で買ってくれた。


「ありがと」


「……ん」


【不貞腐れてない?w】

【可愛い】

【雰囲気悪い?】

【いやこれ痴話喧嘩だろ】

【痴話喧嘩だw】



 いや付き合ってないんだけどね!?




『ラギくん』


「はい」


 あきななの操作するキャラが目の前に迫って来る。


『ちょうだい』


「はいはい」


 俺が拾ったスキンを使いたいんだなと察した俺は直ぐさまあきななに渡す。


『ありがとーっ!』


 あまりキルが出来ず活躍も出来ていなかったから不貞腐れていたようだが、武器のスキンをあきななに渡すと機嫌はよくなった。


 なんて単純なやつなんだ。


 その後毎回ラウンドが終わる度に求めてくるが、俺は課金してないのでスキンが無い時もあった。


「今回死んだから無いよ」


『チッ使えねーな!』


 酷い言われようだ。昨日久しぶりに日向メロさんと一緒にやったらしいけど、口調うつってないか?



 数ラウンド後。


『ラギくん、このスキン当たんない。他のがいい』


「いや知らねーよ!」


【わがままだw】

【わがまま姫爆誕】

【不憫なラギ】

【スキンギフトしてあげたい……】


 え、待って。俺もギフトしてもらいたい。


 見た目だけでなく、キルした時の音やエフェクトが変わるスキンは何気に高いから自分で買うのは憚られる。


 今はバイトしてないのでお金がない。この前の貰った投げ銭が振り込まれるのはまだ先の事だし。

 自分で買わずに済むのならそっちの方がいいに決まっている。


 前から欲しいスキンあるし……。


 だが乞食をするのはみっともないし、貰ったとしても罪悪感が残りそうなので心の内にしまい込む。


 え? 海とか光に乞食したり奢って貰うのはいいのかって? うん、あいつらは別にいいんだ。罪悪感なんて生まれない。




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