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底辺配信者の俺がクラスの一軍女子に身バレしてコラボした結果【てぇてぇ】と言われてバズったし、学校での距離も近くなった  作者: 絶対人生負け組


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第80話 ラノベは表紙が大事なんですよ!


 桃沢さんは初めてのアニメイトに着くと無邪気に辺りをキョロキョロと見渡し目を輝かせていた。


「すっごーー」



 俺は取り敢えず自分のお目当ての物をさっさと買おうと桃沢さんを置いてラノベコーナーに向かう。


 すると後ろから


「ちょちょっ。置いて行くなし」


 と桃沢さんに肩を掴まれた。


 さっきもあったなこんな状況。


 俺としては桃沢さんに買うものをあまり見られたくない気持ちがデカい。


 だってちょっと表紙が萌え系でエッチだからだ。


 だから俺は最初に無難なかっこいい表紙の異世界もののラノベを手に取って考えるふりをする。


「あー! それ知ってる。アニメ見た!」


「これ今度映画もありますよ」


「え、ガチ? 絶対見に行こ」


 流石超人気作なだけある。桃沢さんですら知っているとは……。


 俺があらすじを読んでるふりをしていると、桃沢さんは飽きたのか他の本を見始める。


「うわぁなにこれタイトルながっ!? えっめちゃ分厚いのあるんですけどやばー」


 色々な作品を見て呟いているのを確認した俺は今がチャンスだと思い、本来の目的である学園ラブコメを手に取る。


 最新刊なのを確認しレジに向かおうとした瞬間だった。


「なにそれめっちゃイラストエッチだね」


 耳元で桃沢さんの声が聞こえ俺は思わず身体を跳ねさせる。


 急いで表紙を隠して桃沢さんの方に向き直るが時既に遅し。


「いやこれはその……中身は至って普通のラブコメだから。昨今のラノベは表紙が大事と言われていて、表紙買いする人もいるんです。それに多少エッチな方が売り上げが多いらしいんですよ。だからこれはその……エッチなやつじゃないですからね!」


 何も言われていないのに早口で弁明を始めた俺に桃沢さんは少し驚いていた。


 あぁやってしまった。オタク特有の早口説明してしまった。これ絶対キモイって思われたな。


「へーそうなんだ? まぁ確かに表紙気に入ったら買っちゃう気持ち分かるかも」


 返って来た言葉は意外にも普通のもので俺が呆気に取られていると桃沢さんは「それに」と付け足す。


「それにエッチなやつ買ってても別にあたしは気にしないよ。ま、流石に女の子の前でそういうの買うのは止めた方がいいだろうけどねー」


「い、いや元々一人で買いに来たのについてきたのは桃沢さんじゃん」


「あはは、そうだったごめんごめん」


 そうやって無邪気に笑う桃沢さんの笑顔に一体どれだけの男子達がやられてきたんだろか。


 あの先輩も実はその一人だったんではないだろうか。


 そう思うと、男って単純で馬鹿だなと同じ男の自分ですらそう思ってしまった。


 分かっていても、抗えないのが男というもの。


 俺も桃沢さんの笑顔凄く良いなとさっきから思っている。やっぱり笑っている方が可愛い。


 この胸に宿り始めた感情を俺は確かに認識しながら、叶う事はないんだろうなとそっと蓋をする。


 別れたばかりで暫くもう恋人はいいやってさっき桃沢さん本人が言っていたから。






 桃沢さんに見られ恥ずかしい思いはしたが目的のラノベを買う事が出来た俺達は今、帰るためにバス停に向かっていた。


「そういえば柊くんの昔の話聞いた時はびっくりした。普通に聞いてて辛かった」


 急に思い出したかの如く語り掛けてきた桃沢さんに俺は相槌を打つ。


「そうだね。それで今普通にみんなと話せてるの凄すぎるよね」


「んねー」


 やっぱり七緒は凄いよな。俺よりも辛い目に遭っているのにも関わらずあんなに頑張っているんだから。


「それに比べたら俺の過去は大した事ないなって思う」


 きっと桃沢さんなら励ましてくるという優しさに付け込んで思わずそんな言葉が口から出てしまう。


「比べるもんじゃなくない?」


「あはは、それ七緒にも言われた」


 俺も傷付いた過去があるんだと桃沢さんに知って欲しくて。同情して欲しくて。


 愚痴を聞いたんだし、これくらいは許して欲しい。


「女の子と話すのが怖いんだったよね? ならあたしと練習する?」


「え? 練習?」


「ほら、今日愚痴聞いてくれたお礼にさっ」


「いや――」


 断ろうとしたすんでの所で俺は思い留まり考える。


 この折角の機会を逃すようなら今後も変われる気がしない。だってそうだろう。今後俺が望む青春の日々を送るにはここで止まっているわけにはいかない。


 再び自分の望みを再確認し、決意を固めると俺は桃沢さんに頭を下げた。


「お願いします」


「あはは、律儀~」




 それからlimeで繋がり、色々なやり取りを経て今に至る感じだ。



 それにしても光に聞いてよかったぁとlimeの履歴を見ながら一息吐く。


 光:【相手の好きなものとか分かるか?】


 海:【スタンプ動物だし動物とか?】


 光:【なら水族館とか動物園とかでいいんじゃね】


 この投げやりな文章でもしっかり考えてくれているのがなんかツンデレっぽいよなぁ。


 因みに水族館を選ばなかった理由も光先生のアドバイスによるものだ。


 水族館だと静かな雰囲気だからそんなに仲良くなかったらちょっと気まずいかもしれないという事だ。


 確かに、コソコソ声で話すのには物理的に距離が近くないと聞こえないしちょっと恥ずかしいし、話す気になれない。


 それに比べて動物園だと周りも騒がしくて無理して喋らなくても気まずい気持ちが薄れるというもの。

 動物見ながら取り敢えず可愛いねとか共感しとけばいいというアドバイスも貰えた。


 そこまで想像してやっぱり七緒と比べて光は頼りになるなと思った。


 まぁ七緒も……いや恋愛面では全く頼りにならんな。




 〇桃沢彩香(ももさわあやか)視点〇


 あたしは明日着て行く服を適当に選びながら今日の事を振り返っていた。



 前々から上手くいっていなかった先輩との別れ。


 振ってやろうと思ったのに、何で浮気したあいつがあたし振ったみたいになってんだよと思ったがまぁもういいや。


 学校とかであたしが振られたみたいに言われるんだろうなと想像すると少し憂鬱だけど。


 あーあ、軽率に先輩で少し顔がいいからって付き合うんじゃなかった。




 始めて異性と付き合ったのは中学生の頃。


 周りの皆がどんどんと付き合い始めてあたしだけ置いて行かれているような感じがして。


 あたしは告白してきた好きでもない男子と付き合った。


 これで晴れてあたしもリア充の仲間入りだと最初は浮かれていた。けど、その付き合った相手の話はいつも面白くないし、武勇伝みたいに自分の自慢話だけするし。自分の行きたい所には行くくせに、あたしの行きたい所には付き合ってくれなかったりとまぁ自己中なやつだった。


 だから「あたしと付き合えて調子に乗ってんじゃねーよ。最初からお前の事なんて好きじゃない」的な事を言って振った記憶がある。


 それからも数人の男子と付き合ったけど、誰が相手でも好きになれなくて。退屈で。


 こんな事しないと皆の輪に入れないなんて人間関係面倒くさい。


 でもやっぱりあたしも女だから、一度はちゃんと恋をしてみたい。人を、異性を好きになってみたい。そう思って思い切って高校で先輩と付き合って好きになる努力をした。けど全然ダメだった。



 あたし男運なさすぎでしょ……。


 もしかしたら恋愛向いてないのかもなと机の上の開きっぱなしのトーク画面を眺める。


 明日は中村くんと動物園……か。


 まさか先輩とのやり取りを中村くんに見られるとは思わなかったな。


 中村くんはどうやら女子と話すのが苦手らしく、本人は克服したいとのことだったので愚痴を聞いて貰ったお礼にその練習相手になってあげることにした。


 あげるってあたし何様なんだよって感じか。


 女子苦手なのにあたしの愚痴に付き合ってくれて無理させちゃったかな。


 絶対昔恋愛絡みで何かあったんだなとは思うけど……柊くんといい中村くんといい皆大変だなー……。



 あたしもアニメとかみたいな運命の相手と出会えたらいいなー……中村くんがその相手だったりして……?


「……あはっそれはないか!」


 クズで最低な先輩と別れられて清々しているからか、明日の動物園は純粋に楽しめそうで少しワクワクしているのを自分では気づいていなかった。




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