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第73話 vs【???】

 〇実況・解説〇


『はぁぁぁぁ!? 一体何が起きているのでしょうか!? 【脳筋フィジカル】と【酒と煙草とミント】が戦っている中そこに突っ込んでいく【他人任せ】。【脳筋フィジカル】も【酒と煙草とミント】も両方全員生き残っており、体力に余裕もありましたが気が付けば壊滅していました』


「多分ジンは漁夫を狙ったのでしょうが、2部隊ともそこまで削れていなかったんですよね。というか逆に2部隊から攻撃を受けるという不利な状況に陥ってしまったんですが、建物を上手く使い絶望的状況から脱却しましたね」


『一時は3vs6みたいな構図になっていましたが、流石のジンのフィジカルでした』


「ジンが被弾して回復している時にしっかりと海咲るりと時波じゅんが倒される事なくカバー出来ていたのも大きいですね」


『おっとそんな窮地を脱したばかりの【他人任せ】に【空気の逆襲】が攻撃を仕掛けます! あぁぁっと!? 時波じゅんがダウンしてしまった! でも海咲るりのカバーでトレード! そして上からジンが射線を通してもう一人ダウン! 田中も海咲るりを倒すが~!? 上からジンが飛び降りヘッドショット!! カバー合戦勝ったのはまたしても【他人任せ】。このチーム現在のキル数12キルです! その内ジンのキル数は…………9キルッ!!!???』


 まだ試合は中盤、その時点で4部隊をも壊滅させたジンの強さに驚愕する寺島に対し、翔琉は呆れて乾いた笑いが出ていた。


「はは、はぁ……?」



【これが元プロ……?】

【誰が勝てるん……】

【ジン本気出した?】

【ジン起床のお知らせ】


『この男、強過ぎる! 誰がこの男を止められるのでしょうか!? 誰かこいつを止めてくれぇぇぇぇえ!!!!』



 〇倒されたチームの反応〇


【トマト嫌いの三人組】


『ジンさん一人に倒された私達って……』

『普通にキャラコンえぐすぎて勝てないって……』

『ムリ、てか一回もチャンピオン取れなかったから罰ゲームじゃん……トマトいやだぁぁっ!!』


【脳筋フィジカル】


『おかしい、何がどうしてこうなった』

『気付いたら死んでたよな』

『フィジカル鍛え直さないと……』


【酒と煙草とミント】


『一瞬で溶かされたんだけど!?』

『いやぁジン相手ならキツイなぁ』

『目の前から消えたと思ったら死んだんだが……?』


【空気の逆襲】


『いや待っておかしい、あんだけ連戦してるのに何で全然体力減ってないんや』

『めっちゃ惜しかったなー……悔しいぃぃ!!』

『他の二人に削られ過ぎたなぁ……』




 〇柊七緒視点〇


 俺達は銃声とキルログからジンさんのいる居場所をある程度捕捉出来たのでその付近には近づかないように安置移動をする。


 その途中別部隊と交戦があったりもしたが、距離もあり漁夫も怖いためお互い少し削り合うだけで本格的な戦闘になることはなかった。



 ジンさんのキルに触発されたのか他のチームも好戦的な動きを見せ、気が付くと残りの部隊数は5部隊にまで減っていた。



 安置収縮が始まると安置外にいた部隊が炙り出され二方向から撃たれ一方的に落とされる部隊や、そのタイミングを上手く活用して戦闘を仕掛けに行く部隊もいる中、俺達の方にも安置外から敵が来る。


 俺達は事前にそこに敵がいるのが分かっていたので、あきななと二人で対応することに。

 タケさんは安置外に気を取られている間に他の部隊が仕掛けてこないか周囲を警戒しててくれた。


 終盤になると安置外のダメージがかなりのものになるし俺達からの射撃ダメージも加わり敵も焦っていたのか簡単に倒せる事に成功。


 あちこちで銃声が鳴り響きキルログが流れて行く。右上に視線を向け部隊数を確認すると残り3部隊。


「あ、なんかいるわ」


 そう言ってタケさんが射撃すると敵は激しい戦闘で体力が限界だったのか一撃で倒れた。


 ダウンじゃなかったのでギリギリの戦いを勝って残り一人の状況だったのだろう。


『おぉ! ナイスッ!』


 残るは――二部隊。俺達と、どこかのチーム。


 もしかしたらチャンピオンあるんじゃないか? という考えが頭に浮かぶがフラグだなと思い直しゴクリと唾を飲み込み、一度深く息を吸って心を落ち着かせる。


『あと一部隊! 行けるぞ!! 敵どこいたか分かる!?』

『あそこいるあそこ!』


 あきななが最後の部隊の敵の姿を見つけピンを指してくれた。固まっているとは限らないので一応周りを警戒しながらピンの位置を確認するともう二人の姿が見えた。



「二人は確実にいる!」

『あ、いやこれ三人全員いるわ!』



 タケさんが倒されない程度に遮蔽を使いながら敵の姿を見に行くと三人いる事が確定した。


 最終安置はこちら側。しかも少し丘で高くなっていて有利でしかない。



『大丈夫、安置こっちが有利だから待っとけばいい! あんま顔出し過ぎないでね!』

「おけおけ!」

『おっけー!』



 この状況に皆アドレナリンが出ているのか否が応でも声がデカくなっているが自分達にその自覚はない。


 三人で固まっていると安置内に簡単に入られる事からそれぞれ少しだけ離れた位置に展開して行く手を阻む。



 暫く流れる睨み合うだけの時間。銃声が全く聞こえず、淡々と時間が過ぎて行く。



 俺達は安置収縮が始まったら下から出てくる敵を遮蔽を上手く使いながら撃てばいい。そう、圧倒的に有利なのは俺達。


 だけど最後まで気が抜けないのがこのゲーム。何が起こるか分からない。エイムががばってしまう可能性だってある。


 考えないようにしていても意識してしまう。相手を倒せばチャンピオン。

 ドクドクと高鳴る心臓、急激に高くなる体温。身体が脈打っているのが分かる程の緊張が走る。




 ――そして、その時はやってくる。



『来るよ!』


 最終安置の収縮が始まる直前に、視覚と聴覚の両方で敵が動き出した事を認識する。


 画面に集中してマウスを握り直すと俺達は合図も無しに全員同じタイミングで射撃を始めた。

 先程までの静寂が一転、相手も上手く遮蔽を使いながらこちらにチクチクと嫌なダメージを与えてくる。


 ちょっと削られ過ぎたか……今ならまだ距離あるし回復しとこう。



「ちょっと回復する」

『『おけ!』』


 回復する為に射撃を止めると、目の前にその場所にいるとダメージを受ける事を知らせる赤い点が表示され俺は回復をキャンセルせざるを得なかった。


『ちょっと引くよ!』


 タケさんの指示であきななもダメージを回避する位置まで下がった瞬間だった。


『やばい俺の方来てる!!!!』


 敵が空爆ウルトを吐いた事で俺達の視界が砂埃で数秒遮られるタイミングを狙われてしまった。


 俺達が少し離れた配置にいる事を利用して敵はどこか一人の所を全員で詰める作戦のようだった。


 っ! まずい、人数不利になったらキツイ!!


 そう思い俺は回復なんて二の次に急いでタケさんの方に向かいカバーする。


 しかし敵も咄嗟の判断だったのか後続の二人が遅れていた。


 俺とタケさんはそのチャンスを逃す事なく先頭にいる一人にフォーカスする。



『いや待ってキャラコンえぐい!!』

「やばい! 全然当たらん!!」


 このまま突っ込んでこられたらヤバい! そう思った時だった。


『アーマー割った!!!!』

『「ないす?!」』


 俺達はあきななからの報告を聞き、追撃しようとしたがすんでの所で遮蔽に隠れられてしまった。


『あー隠れた! 後続削ろ!』


 しかし、思考を直ぐに切り替え今度は遅れていた後続の二人に目標を変えると少し右に展開していたタケさんが一人をダウンさせる事に成功。


 よし、人数有利だ! キャラコンやばいやつは多分まだ回復中だから……。


「これ行こう行こう! 行くよ!」


 人数有利と体力状況で上回っている絶好の機会、逃すわけには行かない。


 三人で息を合わせ一気に詰めるが、丁度回復が終わったのか岩陰に隠れていた敵が撃ち合ってくる。


『いや、はぁ!?』


 その敵が物凄いキャラコンをして、最後は壁ジャンでタケさんの脳天をショットガンで撃ち抜く。


 まずい、タケさんが落とされてしまった。でも、もう前に出てしまった俺とあきななは下がる判断をしている暇なんてない。

 下がろうとした瞬間を狙われてあっけなく負ける事は容易に想像できたので俺達はそのまま突っ込んで戦うしかなかった。



 俺はタケさんを倒した敵に狙いを定め撃つが弾除けが上手すぎて思うように体力を削る事が出来ない。


 なので一旦諦めてあきななが交戦し始めた方に俺も身体を寄せ一緒に戦うとダウンさせる事に成功した。


 残る相手はただ一人。


 対するこっちは俺とあきなな。体力状況は俺はほぼフル。あきななも半分くらい。どう考えても有利でしかない。


 だが、さっきタケさんがダウンした時に右上のキルログに見たくもない名前を見てしまった。



 その名前は――ジン。



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