第72話 暴れ始めた元プロ
〇柊七緒視点〇
第三試合目はいい感じに漁夫れてキルポを稼ぎつつ、終盤まで残るが一部隊倒しきった後に漁夫が来そうになる。
空爆ウルトを返して何とか耐える事に成功するものの、その後円の収縮が始まると別方向から来た部隊と挟まれてしまった。二人ダウンさせるも無理だと判断したタケさんがその2ダウンを確殺してキルポを稼いで全滅した。
結果は5位と上々の結果で三試合終わっての総合順位は7位まで上がっていた。1位と2位が結構頭抜きんでてポイントが離れている。
元プロのジンさんのチームはなんと意外にも現在5位だ。一、二試合目は高順位でキルポもそれなりに稼いでいたが、三試合目はスナイパーが上手い【ほっとココア】というチームにやられてまさかの下位に沈んでしまった。
『あれ? ジンさんって人滅茶苦茶キルしてたのに何でこんなに順位低いの?』
あきななの言う通りジンさんは毎試合かなりの数キルをしていた。
『ほら、三試合目まではキルポ制限あるからだよ』
キルポ制限とは一定数のキルに達したらその後はキルしてもポイントが加算されないという感じのルールだ。
それが存在している事により、ジンさんのチームは思ったよりも順位を上げる事が出来ていないのだ。
「でも次の四試合目はキルポ制限無くなるよね?」
『そうそう、なんかジン暴れそうな気がするから滅茶苦茶強気に撃ち合ってくる敵いたら逃げる作戦で行こう』
『また私達見捨てないでね?』
『いやそのさっきはホントすみませんでした。見捨てません』
「死ぬときは一緒ですよタケさん?」
【一番年上はタケのはずなのに……w】
【がんばれー行けるぞー!】
【全然勝てる】
リスナーの応援コメントに応え俺達は最後の四試合目を迎えた。
〇最終試合〇
『さぁ早いものでこれが最終試合。毎回とてつもなく熱い試合が繰り広げられて来ました。正直私、今日こんなに疲れるとは思っていませんでした』
「ほんと僕もびっくりですね。毎試合情報量が多すぎますよ……プレイしている人達はもっと疲れてるんじゃないですかね?」
『確かにそうかもしれません。おっと、準備が整ったようですね』
『元プロや現役アイドル、vtuber、新進気鋭のストリーマー達など沢山の強者の中で1位になるのは果たしてどのチームなんでしょうか!? 泣いても笑ってもこれが最後! 第四試合、開始です!!!!』
各々、いい具合に散らばって降下していくのを見届けていると一人だけ浮いている人が配信で映し出される。
三人で固まるべき物資集めのターン、だが一人で味方と離れた所に降りている。味方よりも敵の方が近い状況。
『おっと!? 物資集めを程々にジンは一人で近くに降りていた敵の元へ迷いなく突っ込んでいくぞ!? 仲間の海咲るりと時波じゅんはまだ物資を漁っています!』
「え? ジンまさかそのまま一人で戦うの!?」
味方を待つ素振りを見せずにどんどんと距離を詰めて行くジンに実況解説はおろか、視聴者をも困惑させる。
そしてついには発砲、わずか4秒で一人をダウンさせた。
『あーっと! ジンに気付くことなく一瞬でやられてしまった!!』
その後、少し離れていた二人が急いで集まり交戦するが驚異的なエイムでかなりのHPを削られてしまった。
その隙を逃すことなくジンはそのまま突っ込んでいきショットガンで二人を仕留めた。
『な、なんということでしょう?! ジンが一瞬で1部隊を壊滅させてしまいました! まさか本当に一人で行くとは思ってもいませんでした。このタイミングでまさか来るとは予想できなかった【トマト嫌いの三人組】が脱落してしまいました』
「奇襲が成功した要因としては一人だったからっていうのもデカいですかね。大抵三人で動く場合が多いので、ある程度の距離まで来たら気付かれる事が殆どなんですよ。でも一人だと足音が殆ど鳴らないし姿を捉える事も難しくなるんですよね」
『なるほど、でもこれはジンしか出来ませんよね?』
「いやそりゃそうですよ。だって普通なら、自ら不利な1vs3をしに行くなんて自殺行為ですからね。ジンの強さがあってこその動きですね」
【やっばw】
【???????】
【トマト嫌うから……】
【グロイ】
【これ勝てるやついんの?】
〇柊七緒視点〇
物資を集めている最中、早くもキルログが流れていく。そこにはジンさんのプレイヤーネームが表示される。
「今回も戦闘早いね」
『そうだね。俺達もしっかり周り見て奇襲されないよう気を付けよう』
『はーい』
最終試合という事と二試合目にやらかした事が関係しているのかタケさんは今までよりも真剣な声音で俺達に注意を促す。
いい感じに物資も集め終わったところで近くに敵の姿を発見した俺達はバレない様に有利な高台を取る。
まだボックスを開けて物資を漁って止まっている敵を見つけるとタケさんが『こいつ狙うよ!』とピンを指す。
「おけ」
『はい!』
『3、2、1』
というタケさんの掛け声と共に俺達は一斉に標的に銃弾を撃ち込む。
撃たれた敵が反射的に飛び跳ねて弾除けをし、逃げようとするが俺達はそれを逃さない。
息の揃った連携で一人ダウンさせる事が出来た。
発砲を受けて敵の仲間二人が弾を撃ち返してくる。
そして敵の一人がダウンした仲間を起こそうとするのが一瞬目に入った瞬間タケさんが『俺前行くわ』と一気に詰め始めた。
俺はタケさんのカバーをするように少し後ろからついて行きながらダウンした敵のいる付近に雑にグレネードを入れる。
あきななも俺と同じラインで遮蔽を使いながら威嚇射撃をしていた。
タケさんが敵の至近距離まで行って交戦を始めそうになったところで俺達も合流し、3vs2という人数差を活かして部隊を壊滅させることに成功した。
『ナイス!』
「ないす」
『ないすないすっ!』
今の銃声で漁夫を狙ってくる敵がいないかを警戒しつつ手早く物資を漁る。
【ナイス!!】
【いい連携!】
【連携うま】
【つよー】
少し遠くの方で銃声が聞こえ、キルログを見るとなんとまたもやジンさんの名前が流れていた。ジンさんと同じチームの海咲るりさんと時波じゅんさんの名前も流れて行く。
「ジンさんヤバくない……?」
『あいつめっちゃ暴れてるやん!』
『えぇぇぇ、強過ぎる……』




