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第71話 薄情戦犯おじさん

『……タケさーん?』


『はぃ……』


 あきなながジト目をしているのが画面越しに想像できて俺は苦笑いを浮かべる。


『ほんと、すみませんでした!!』


『置いて逃げるとかさいてー』


『はい……』


 コメント欄もタケさんの行動を批判するものが多く、気まずい空気が流れる。


 こんな気まずい雰囲気の中プレイするのはごめんだ。やるなら楽しくやりたい。


「それにしても、最初に逃げ出した人が最初に倒されるって漫画みたいな展開だよね」


 俺は呆気からんとしたようにそう呟くとあきななが吹き出し共感してくれた。


 空気が悪いのを察してどうにかしたいリスナーの皆もそれに乗じて【テンプレだよねw】とか【既視感の正体はこれか】などと明るくなるようなコメントをしてくれた。


 そのお陰もあってか、その後しっかり反省している旨をタケさんはリスナーに伝え、俺達もそんなに怒っていない事を伝えると何とか事態は収まった。




 因みに二試合目の結果チャンピオンは【ghost(ゴースト)players(プレイヤーズ)】という所が勝った。

 名前的にハイドとか蘇生しまくって高順位を狙うちょっと変わったタイプのチームかと思ったが全然キルポも稼いでのチャンピオンだったのが少し面白い。



 今回は初動ファイトがあったり部隊数の減りが一試合目よりも早かったので俺達はさっきよりも順位ポイントを得る事が出来た。

 その反面、キルは出来なかったので残念ながらキルポは無しだ。


 地道にポイントを重ねて行っているのでまだ全然上を目指せる圏内。


 二試合目だからか、全体的にまだそんなに差はない。チャンピオンを取った2つの部隊が少しリードしている感じ。


 まだあまり高順位を取れていないし、一試合だけでもいいから取りたいな。




 二試合目本配信で映ってて滅茶苦茶爆笑されてた旨をコメントで知ると、負けたけど本配信で映れて、笑って貰えた事で嬉しさが込み上げてきた。


 爪痕を残せたのなら、別に勝てなくてもいいかもという考えが脳裏に過ったが頭を振り、最後まで頑張ろうと気合を入れ直し三試合目に挑む。





 〇二試合目 実況・解説・コメントの様子〇


『一試合目でチャンピオンを取った【もちぷよ隊】は自信がついたのかすぐさま敵を倒しに行こうとしましたが、なんと不運なことにそこはジンの率いるチームだ! お互いまだ物資は十分とは言えない状況、これは奇襲を仕掛けた【もちぷよ隊】が少し有利でしょうか!』


「まずい! 一人離れてる所狙われちゃう!」


『最初に襲われたのは海咲(うみさき)るり! なすすべもなくダウンしてしまった! 【もちぷよ隊】はそのまま次のターゲットに狙いを定めました』


「お? でもこれジン十分カバーが取れる位置にいますよ。武器は……」


『武器はなんとスナイパーとショットガンですね……これはちょっと元プロのジンとも言えど少し難しいか!』



『さぁ3vs2。人数不利はジン率いるチーム【他人(たにん)任せ】! 【もちぷよ隊】は勢いそのままに突っ込んでいく! あーっと!? 物凄いフリックでジンが頭を抜いてあっという間に人数イーブン! キルログでジンだと気付いた頃にはもう遅い! 遮蔽を上手く使いながらもう一発! 今度は頭に当てることは出来なかったが十分なダメージ! 武器を持ち変えショットガンで詰める詰める!! あっという間に2ダウン! 人数有利だった【もちぷよ隊】はいつの間にか人数不利に! 逃げる事なんて叶わずジンがキャラコンで弾避けをしてヘイトを買い、上手く射線を通していた時波(ときなみ)じゅんが最後の一人を倒しました。【他人任せ】と言いながらもしっかりジンをカバーした時波じゅんでした』



「いやぁ本当あっという間でしたね。奇襲をかけられ早々に海咲(うみさき)るりが落ちてしまい【他人任せ】が圧倒的に不利だったにも関わらず、まずジンの驚異的なショットで一人落とした所で時波(ときなみ)じゅんが下手に撃ち合わず生き延びた事が勝利の要因でしょうね。まぁ普通にジンの強さが光った戦いでもありましたが」


『なーるほど! ジンじゃなければ結果は変わったかもしれません。手を出した相手が不運でした【もちぷよ隊】。 さて、ダウンした海咲るりもしっかり起こして、物資を漁ります。マップを見る限り近くには誰もいないのでゆっくりと欲しいアイテムを探せそうですね。それにしてもジンは恐ろしいですね』


「そうですね。多分みんなジンとは戦いたくないんじゃないですか?」


『いや全く持ってその通りですね』


「今の見て僕も思わず苦笑いが出ましたもん」


『あはは!私もです!』





『一試合目でチャンピオンを取った【もちぷよ隊】、勢いそのままに行きたかったのですが二試合目序盤でチーム【他人任せ】に返り討ちに遭ってしまいました。【もちぷよ隊】は今回ポイントが全然貰えないので他のチームにとっては嬉しい状況でしょう』



 その後も各所で戦闘が起き段々と安置収縮もしてエリアが狭くなってきた中盤。




『さぁ一試合目とは違い、いい具合に部隊数が減ってきている所、おっとこれは【てぇてぇと厄介おじさん】と【他人任せ】が当たりそうですかね?』


「恐らくピンを指している事から【てぇてぇと厄介おじさん】は先に安置に入って有利なポジションを取ろうとしてますね。この様子だと後ろの【他人任せ】には気付いていないか……? あ、【他人任せ】は前に敵がいる事にしっかりと気付きましたね」


『さぁ敵がいる事に気付いたがここからどう動く【他人任せ】。おっと? ジンがスナイパーを覗いています。アサルトライフルなら当てるのが難しい距離だが、スナイパーだと……? あーっと! ラギにヘッドショット! しかしギリギリダウンさせることは叶いません! ラギは素早く岩陰に隠れて回復、それをタケとあきなながしっかりカバーしているが、狙った獲物は逃さない。【他人任せ】はどんどん距離を詰めてくる! がタケとあきななのカバーで被弾してしまい一度足を止めます!』


「偉いですね、しっかりカバーして敵を牽制することによって【他人任せ】は思うように距離を詰めれていないです。あきななのグレネード滅茶苦茶上手いですね」


『あぁぁ!? ちょっと顔を出し過ぎたかタケがかなりのHPを溶かされてしまった! いや相変わらずジンの当て感ヤバいな! ……ん? タケが一人で逃げ始めたぞ?』


「恐らく弾の当て感で相手がジンのチームと気付いたっぽいですかね……?」


『まだ戦っている二人を置いて一目散に逃げだすタケ。回復しているラギを見捨てて逃げ出す中、あきななはずっとラギのカバーをしています! なんと献身的なんでしょう! タケおじさんも見習って欲しい所です!』


「これはまさにチーム名にもあるてぇてぇ場面なんじゃないですか!? それにしても相手は元プロ、それでも臆さずカバーするって凄いですね。きっと滅茶苦茶怖いし今にも逃げ出したいと思いますよ。僕でもそう思いますもん」



『ラギとあきななが二人で耐えている中、あーっと!? 一人でさっさと逃げたタケの向かう先には【ハッピーシュガー】がいます! ハピシュガの面々は気付くか……あっ足音で気づきました! そのままタケは三人にフォーカスを喰らい一瞬でダウンさせられました。これはやらかしてますタケ!』


「あはは、ほんとに何やってるんですか!?」


 タケの狂行に翔琉と寺島は大爆笑。視聴者も爆笑する者や呆れて笑う人達で溢れていた。



【戦犯過ぎるwww】

【最低最悪】

【ガチでなにやってんのwwwwwwww】

【トロールw】




『回復も終え、ラギとあきななは逃げ始める事が出来た瞬間に仲間のタケが倒れてしまった。後ろからは【他人任せ】、向かう先には【ハッピーシュガー】。挟まれてしまいました!』


「いやぁこれはキツイですね。タケがどうにか生き残ってたらまだ希望は少しあったんですが……ふふ、あの有様ですからね」



 そのままラギとあきななは二つのチームに挟まれ、最後の抵抗も虚しく散っていった。



『一人はダウンさせるがここで【てぇてぇと厄介おじさん】が脱落です。これは悲しい幕引きですね。でもお互い背中を預け闘い、散っていく様は美しくまるで映画のワンシーンを想起させられました。お似合いのパートナーと言われる一端が窺えました!

 それにしてもタケさんは薄情ですね。一番ランク高いのだから守るべきなのに。酷いおじさんです。次は若い二人を守るかっこいい姿を見れる事を期待しましょう』


「あははは! 僕も友人として期待してます」


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