第67話 いつの間にかカップリングされてた
それからの日々はアニメをみたり漫画を読んだり、そしてたまに宿題をして編集とかして夜には配信でカスタムの練習をするみたいな生活を送っていた。
親から「たまには外に出た方がいいよ」と心配されたが外に出る準備をするのが面倒くさくて結局家で過ごしていた。
カスタム数日前になると、出場する人やチーム名が発表されるムービーがツニッターで公開された。
クールで思わずリズムに乗りたくなるような興奮するBGMが鳴り響き、次々にチーム名とそのチーム三人のアイコンと名前がカッコいい演出やカットで表示されていく。
俺は編集のレベルの高さに圧巻されながら、この人も出るのか! と驚いていたり他のチーム名を見てかっこいいとか可愛いとか感想を抱く。
そして表示されたチーム名【てぇてぇと厄介おじさん】を見た瞬間、直観的に嫌な予感がして、眉を顰めた。
チーム名の後直ぐに表示されるチームメンバーのアイコンと名前。
【タケ】
【あきなな】
【ラギ】
ちょっと待て。
俺はそこで動画を停止させると、もう一度チーム名を見直し自分のアイコンと名前が出ている事も確認した。
…………なんやこのチーム名……。
絶対この前バズった切り抜き動画から来ていると瞬時に分かった。
俺とあきななのやり取りを、腕を組み満面の笑みでこっそり聞いていたタケさんの切り抜き動画。
俺らからしたら普通の会話だったのだが他の人が見たらどうやら何かが尊かったらしく「あきらぎてぇてぇ」とかなりの数コメントされていた。
その影響で俺とあきななが付き合っているかのような感じになり、いつの間にか【あきらぎ】というカップリングというかコンビ名みたいなのが浸透していったのだ。
その後の配信やコメントで【付き合ってるの?】というコメントが何回も来たがその度に付き合ってないと説明して大変だった。
付き合ってないと言っても、俺とあきななの絡みが見ていて面白くて尊いらしく視聴者の人からもからかわれている。
普通男と女の配信者がカップリングとかされてたら女性配信者側の視聴者はキレたり快く思わないはずなのに何故か俺達は逆に歓迎されている。
そんなこんなでタケさんはこんなチーム名にしたんだろう。
やっぱりあの時感じた嫌な予感は当たっていた。
でも今盛り上がっている話題を擦り、更に俺達を伸ばそうとしてくれているんだろう思うとその優しさに怒るに怒れない。
てかタケさん、おじさんって言われるの嫌じゃなかったのかよ。おじさんと言われるのを受け入れてでもこのチーム名にしたかったのか?
やってることが本当に子供っぽくて思わず笑ってしまう。
リアルでそういういじりをされるのはトラウマも関係してあまり好きじゃないけど、ネットでなら大丈夫だった。
なんなら寧ろ少し嬉しいまである。
ネットでは違う自分になっている感じがして、柊七緒じゃない。だからトラウマなんて感じなくて平気なのかもしれない。
でもネットの表では嬉しいとかは言わない。認めているようなものだから。このあきらぎというコンテンツを直ぐに廃れさせない為には付き合ってないけど付き合ってるみたいな感じを続けるのが一番いい気がする。
なので俺は少し嫌がっているようにこのツニートを引用する。
【タケさん、チーム名やりやがったな】
タケさんのメンション付きで引用するとそのツニートはいつもとは比べ物にならないくらいの速さでいいねがついていった。
それと同時期にあきななも【なにこのチーム名】とツニートしていた。いつもなら絵文字とかビックリマークとかを多用して感情表現をしているからか、淡々としていて静かに怒っているような圧を感じた。
その後のタケさんとのやり取りとかでリスナーは大いに盛り上がってくれていて作戦大成功だった。
この路線で行くので良さそうだと思いながら、今日もカスタムの練習をする。
「タケさんまじで何ですかあのチーム名」
『そうですよ! 他のチームはもっと可愛いのとかかっこいいのあったのに!』
『えぇ、よくない? チーム名』
【めっちゃいい】
【最高】
【ないすタケ】
【おもろすぎw】
『二人だって【学生とおじいちゃん】とか【クソガキと老害】みたいなチーム名にしようって言ってたじゃん!?』
「それは時間がなかったからですよ」
『考える時間があったらマシなの考えてましたー!! タケさんのせいですからね』
『ハイすいません……』
【また怒られてて草】
【wwwww】
【この三人の絡み好き】
『あ、でも俺コメントからチーム名選んだからリスナーも悪い!』
【え!? 俺ら?!】
【誰だよ考えた奴】
【誰だよ】
【俺は悪くない】
『時間なくてその選択したのはタケさんでしょ。リスナーさんのせいにしないの!』
『はい……』
【年下に怒られる成人男性w】
【あきななママだ】
【そうだそうだ、俺達は悪くない!】




