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底辺配信者の俺がクラスの一軍女子に身バレしてコラボした結果【てぇてぇ】と言われてバズったし、学校での距離も近くなった  作者: 絶対人生負け組


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第121話 気付いたら同級生の妹が出来てました


 〇小野こはる視点〇


 微熱まで下がり宿題をしている時、昇降口での会話やおんぶされてた時の事を思い出し、うちは恥ずかしさで悶えそうになっていた。


 うち、滅茶苦茶ラギっちに甘えちゃってる! やばい! これでいいんだっけ?


 雪と楓と会話するとき小野呼びだとややこしいから、うちの事こはるって名前で呼んでくれたり。


 その後もうちの体調を気遣ってオムライス作ってくれるし。


 流石に洗い物まではさせられないと断り、時間も時間なので玄関に見送りに。


 雪はご飯を食べた後直ぐに寝てしまって、楓は今お風呂に入っていたのでうち一人だ。


「じゃあしっかり休んでね」


「うん、色々ありがとね」


 なんか、こうして家の事もしてくれて名前呼びとかされて、ラギっちが家族の一員になったみたいな感じで心地良くて。



 なんだろう……そうだ――


「――なんかラギっちがうちのお兄ちゃんになったみたいで面白かった」



「あはは、なにそれ」


 苦笑を浮かべ少し困惑した表情のいつのもラギっち。


 ――あぁ、そうか。そうだったんだ。


 自分で言って驚いた。ラギっちの表情を見て今までの事が呼び起こされる。


 うちは今までラギっちに対して抱いている感情が恋愛的なものなのかとか、好きなのかとか色々分からなくて悩んでいた。


 それをななっち達に相談して、クラスマッチでペアを組んで一緒にいる時間を長くしたりして色々確認していたのだ。


 あと少しで分かりそうで分からない歯がゆい自分の気持ちだったのが、今言葉にしたことで心にストンと落ちた。


 この感情はラギっちとキスしたいとか彼女になりたいとかそういう欲じゃなくて、恋愛的な好きじゃなくて。


「お兄ちゃん」という言葉がなんかしっくりきた。


 ……そっか、うちはお兄ちゃんが欲しかったのかもしれない。


 いつもチビ達の面倒をみて、うちが甘えれる存在はいなかったから。


 今日みたいに甘えられる、世話を焼いてくれるお兄ちゃん的な位置にラギっちがいたから。


 ボーリングの時もその後の卓球やゲームセンターでも、何だかんだ言ってうちの遊び相手になってくれて。

 クラスマッチの為の練習も、最初は走るのすら嫌がってたのにいつの間にか凄い体力つけてて本番には力を合わせて2位を取らせてくれたし。



 うちのわがままに沢山付き合ってくれた。


 そんなラギっちだったから、いつの間にかお兄ちゃんのような存在として慕っていたのだろう。


「ねぇ、ラギっち。お兄ちゃんって呼んでもいいかな?」


 流石にこれは気持ち悪いよね、ダメだよねと思っていたら、気付いた時には口に出てしまっていて。


「え?」


 頭をかき、眉を八の字にするラギっち。


 いやそりゃそうだよね。ラギっちはうちと同級生で、決してお兄ちゃんなんかじゃなくて。


 でも、今無性にそう呼びたくて。


「ダメ?」


 今日のうちは熱のせいなのか歯止めが利かなかった。



「……いいよ」


 その言葉を聞いた瞬間、うちの頬は緩みまくって


「――お兄ちゃんっ!」


 こんな猫なで声で言葉を発したのは、小学生の頃にお母さんにおねだりした時以来かもしれない。


 お兄ちゃんなんていなかったから、この言葉を発するのに慣れてなくて。何だか少しくすぐったい。

 けれどその言葉の響きは不思議と心地よくて落ち着く。


 ラギっちはふっと優しい笑みを浮かべると


「じゃ、しっかり休んでね。こはる」


 気を遣ってくれたのか、お兄ちゃんぶって頭を撫でてくれた。


「うん」


「じゃあまたね」


「うん! また明日!」


 扉が閉まるまで手を振り見送る。




 ラギお兄ちゃん……か。


「ふふっ」


 頼っていいって、甘えていいって言ったのはラギっちなんだからねっ。




「お姉ちゃん、何かいい事あった?」


「えっ!? ま、まぁうん」


 いつの間に上がってたの!? もうちょっと早かったらラギっちとの会話聞かれるところだったっ。危ない危ない!


「七緒さん帰ったの?」


「あぁうん、丁度今帰ったよ」


 楓は頭を拭きながら「そっか」と呟く。


「七緒さんいい人だったね。なんかお兄さんって感じだった」


「だよね!」


「え、うん」


 ラギっちはお兄ちゃんだけど、弱い所もあって。面倒くさがりで、少し強引に誘う方がよくて……。


 今までの事を振り返ると、なんだか支え合う双子の兄妹みたいな関係だなって思った。


 あー本当にラギっちがお兄ちゃんならよかったのになー。





 〇柊七緒視点〇


 雪ちゃんが眠り、楓くんがお風呂に入った事で俺はそろそろお暇することに。


 洗い物をしようと思っていたのだが、小野さんに止められた。


「じゃあしっかり休んでね」


「うん、色々ありがとね」


 学校を出る時よりも大分体調も良くなったのか、いつもの明るい表情に戻っていた。


 これならもう大丈夫そうかなと思い、帰ろうとした瞬間小野さんが口を開く。


「――なんかラギっちがうちのお兄ちゃんになったみたいで面白かった」


「あはは、なにそれ」


 曇りない澄んだ瞳でそんな事を言われ俺は苦笑を浮かべた。


 自分で言っておきながら、何故か小野さんは目を見開くと神妙な面持ちになる。


 どうしたんだろう、もしかしてオムライスでお腹壊したとか?


 そんな俺の心配をよそに、「ねぇ、ラギっち」と引き締まった表情で語りかける小野さん。



「お兄ちゃんって呼んでもいいかな?」


「え?」


 俺は反射的に戸惑いの声を上げる。



 本当は何となく分かってる。今まで小野さんは親が仕事でいない時、一人で弟や妹の世話をしたり家の事をしたりしていたんだ。

 そして大体の事を一人で出来てしまう小野さんは、誰かに頼ることなんてきっと今まであまりしてこなかったんだろう。


 でも本当は甘えたくて、頼りたいのが本心で。そんな時、無条件に頼ってもいい、甘えてもいいお兄ちゃんの様な存在が欲しかったのではないのだろうか。



「ダメ?」


 まっすぐな瞳で見上げてくる小野さん。


 これは全部俺の勝手な推測でしかない。けどもしそうなら答えは決まっている。例えそうじゃなくても、小野さんが気軽に頼れる人間の一人になりたい。


「いいよ」



 その言葉を聞いた瞬間、待ってましたと言わんばかりに満面の笑みを浮かべ



「――お兄ちゃんっ!」



 甘えた声で呼ばれるそれは、思わず心臓がギュっとなるほど可愛いかった。


 そのあどけない笑みを見ていたら本当の妹のように思えてくる。



 俺に妹っていたんだ……。



「じゃ、しっかり休んでね。こはる」


 俺はこはるの頭を優しく撫でる。


「うん」


 サラサラと手入れの行き届いた髪。


 撫でる度にこはるは目を細め、首元の少しカールした癖のある毛先を揺らしていた。


 そろそろ帰らないと遅くなるので、頭から手を放す。


 暗い道を一人で帰るのは少し怖かったりする。最近物騒だし。


 でも、怖がってたらお兄ちゃんとしての威厳がないから内緒だ。


「じゃあまたね」


「うん! また明日!」


 手を振るこはるに振り返し、外に出る。





 ……どうしてこうなった?


 俺には兄さんしかいないはずなのに、気付いたら同級生の妹が出来てた。


 外に出た事で正気を取り戻した俺は自分の右手に視線を落とす。


 俺……小野さんの頭普通に撫でちゃった。


 男と女であんなにも髪質は違うものなのかと驚くと同時に、滅茶苦茶お兄ちゃん面した事の恥ずかしさが込み上げてくる。


 明日からどんな顔して小野さんと話せばいいんだ。






 翌日、登校すると既に教室に小野さんの姿はあった。


 それもそうだ、だってあと2分もせずにホームルームが始まるんだから。


 昨日あの後キモイ事いっぱい言ったよなって思い返しては悶えて、中々寝付けなかったのだ。


「あっ!」


 気まずいなぁ、俺に気付かないでくれという願いも叶わず小野さんは俺を見つけると駆け寄ってきた。


 頼むから昨日のことは熱で忘れててくれ!


「おはようラギお兄ちゃんっ!」


 あぁ、終わった。全然覚えてらっしゃるわ。てか学校でもお兄ちゃん呼びしてくるとは思わなかったんだけど。


「お、おはよう……」


 相変わらずお兄ちゃん呼びの破壊力がやばくて、また俺が小野さんのお兄ちゃんだと錯覚させられそうになる。


「こはるー」

「はーい」


 小野さんは俺に小さく手を振ると、呼んで来た友達の元に向かった。



「七緒……お前同級生にお兄ちゃんとか呼ばせてんの? 悪趣味だな」


「いや、違っ――」


「そういうプレイでしょ? 俺はいいと思うよ!」


 弁明しようとするもチャイムが鳴り先生が入って来る。


 光は軽蔑の眼差しを向けながらさっさと席に戻って行った。


 海は俺の肩にポンと手を置くと笑顔で頷き無言で去っていく。


 なんなんだよ。





 その後結局なんて説明すればいいのか分からず、二人に俺が同級生にお兄ちゃん呼びさせる変態だと思われてしまった。


「柊くん、また一段とこはるに気に入られたようで?」


「は、はい……」


「昨日どういう事があったらお兄ちゃん呼びされるのかなー?」


「お、俺にもよく分からないです」


 口元は笑ってるのに目が全然笑ってない七月さんに委縮する。


 俺は無実だ。断じて弱ってる所に付け込んだ訳でもないし、手を出してもいない!

 妹に手を出す兄がどこにいるんだって話だ。うんうん。


「ふーん?」


「あの、小野さんに聞いてください」


 俺はもう説明諦めたよ。あとは頼んだ小野さん……お兄ちゃんを救ってください。




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