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底辺配信者の俺がクラスの一軍女子に身バレしてコラボした結果【てぇてぇ】と言われてバズったし、学校での距離も近くなった  作者: 絶対人生負け組


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第119話 小野家でレッツクッキング


【小野】と書かれた一軒家の表札の前にたどり着いた。


「小野さん鍵は……?」


「あ、あー鞄の中だ……降りるよ」


「あー待って、家の中誰かいる?」


「ん、多分弟達はいると思うけど?」


「じゃあそのままでいいからピンポン押して」


 そう言うと小野さんは「ん」とだけ返事をしてインターホンを鳴らす。


 ドタバタという音がしたかと思えばインターホンからブツッという音がして、続いて幼くも落ち着いた声が聞えてくる。


『はーい』


 俺はカメラに小野さんが映るようにすると小野さんが軽く手を挙げて苦笑する。


『お姉ちゃん? ちょっと待ってて』


「うぃ」


 うぃ!? うぃなんて言うんだ。新鮮かも。


 再びドタバタという足音。そして鍵を開ける音が聞こえると一泊置いて扉が開いた。


「お姉ちゃんどうしたの?」


 心配そうな顔で近付いてきたのは弟くん。


「あーちょっと熱出て。ラギっちに送ってもらったの」


「そうだったんだ。わざわざありがとうございますラギっち」


「い、いえいえ」


 小野さんのイメージからして弟くんも元気で活発な子なのかなって想像してただけに少しびっくりした。


 滅茶苦茶落ち着いててちゃんとしてる。




 小野さんを玄関に下ろし一息つく。


「脱がしてー」


「お姉ちゃんそれくらい自分でしなよ」


「あはは、いいよいいよ。やるから」


「でも……」


 小野さんの要望通り靴に手を掛けると、小野さんが脱がせやすい様に足を少し浮かせる。


 え、俺これ息吸ったらキモイって思われないかな。大丈夫かな。弟くんに変態って思われたりするの嫌だぞ。


 あれ、なんか呼吸の仕方が分からなくなった。もういっそのこと息止めとこう。


 小野さんが足を上げた拍子にスカートがズズズと上がるのが視界の端で見え、必死に見ないように俺は限界まで視線を下に向ける。


 何とか靴を脱がし終えると立ち上がり、止めていた息を吐き出す。


 あれ、弟くんもういなかったわ。


 もう夏は過ぎたとはいえ、密着していたので背中に熱が籠り汗が出ていた。


 ふと小野さんの胸元を見ると少し水色の何かが見えたような気がして急いで目を逸らす。


 俺は何も見てないぞというように玄関の横に置いてある家族写真を眺めながら、背中に引っ付いて気持ち悪いシャツをはがす。


「あ、ラギっち。もしよかったら家でご飯食べてかない?」


「え? いやそこまではいいよ別に。 てか、親御さん帰って来たの?」


「ん? 帰って来てないけど?」


「じゃあご飯どうするの?」


「え? うちが作るけど」


 コテンと首を傾げながら当たり前の様に言う小野さん。


「は? いや待ってまだ熱あるでしょ?」


「あるかなー? 楓(かえで)~! 体温計持ってきてー」


「はいはい」


 リビングから直ぐに出て来た楓くんは体温計を小野さんに渡すと、持っていたコップを「どうぞ」と差し出してくれた。


「あ、ありがとう」


 楓くんから受け取ったものを口に入れると飲み慣れない味が広がる。


 ん? これ何だ?


 よく見てみると茶色でも緑色でもなく、赤い紅茶のような色。


 俺が眉を顰めているのを見ると楓くんが「あっ」と声を上げた。


「もしかしてルイボス苦手でしたか……?」


「へ? いやいや、全然! ただ初めて飲んだからさ」


 今度は味に集中して飲んでみる。


 スッキリとした味わいの中、どこか草木のような独特な味。匂いは少し土っぽいが全く嫌な感じではなく、むしろいい匂い。


「へーこれがルイボスティーか……美味しいね」


「それなら良かったです」


 ホッとする楓くんを見て、俺も安堵しコップに目線を落とす。


 若干癖がある味だが全然飲めない事はない。


 普段から小野家ではこれを飲んでいるのだろうかと思いながら、喉も乾いていたので飲み干した。


 すると飲み終わった丁度のタイミングでピピピピと体温計の音が鳴り響き、自然とその方向を見る。


 モゾモゾとシャツの胸元に手を入れ体温計を取り出す小野さん。


 別に変な所見てないからな、邪な気持ちも勿論無いぞ。普通にまだ熱があるのか気になるし、心配なだけだからな。


「何度だった?」


「えーっとね37.4度!」


 体温計を受け取り液晶を見ると小野さんの言った通りの数字が表示されていた。


「よし、微熱だから大丈夫だ! ラギっちがおんぶしてくれたからだね!!」


 よーしと意気揚々と腕まくりをして料理する気満々の小野さんを俺は制止する。


「熱あるなら黙って寝てろ」


「でもご飯作らないと二人が……」


「お姉ちゃん、オレが作ろうか?」


「ダメ。一人じゃ危ないからさせられない」


 見かねた楓くんが提案するも食い気味に拒否された。


 楓くんはしっかりしてるし大丈夫だろうとは思うけど、まだ小学6年生。背もそこまで高くないし、手足も大人と比べればまだまだ小さい。


 そんな子に一人で料理をさせる訳にはいかないよな。何かあってからじゃ遅いし。


 だから小野さんが付き添いで……となると余計に体力を使って熱が悪化する可能性があるわけで……。あぁもう――


「はぁ……。俺が作るから小野さ――こはるは横になって休んでて」


「こ、こはっ!? で、でも悪いよ……」


「黙って俺に甘えといて」


「わ、わかった……」


 小野さん呼びだと楓くん達とも被って変な感じになるから今だけは下の名前で呼ぶことにしよう。


 それにしても違和感が凄い。


「え、ラギっち料理出来るの?」


「そんなに難しいのは出来ないよ」


「そうなんだ」



「お姉ちゃん荷物取り敢えず部屋持って行っとくよ」


「ありがと楓~」



 小野さんを支えながらリビングに案内して貰うとソファの横に荷物を置き、母さんに夜ご飯はいらないのと少し遅くなる旨の連絡を入れる。


 それにしても友達の家でご飯を振舞われることはあったとしても、まさか俺が作ることになるとは思わなかった。


「あっ! にゃおだ!」


 連絡もしたのでスマホをバッグに仕舞い、キッチンに向かおうとしたところで幼く弾んだ声で雪ちゃんが俺を指差す。


「あー雪、覚えてたんだー凄いねぇ!」


「あはは、雪ちゃん夏祭りぶりだね」


 殆ど七月さんが話してて、俺はほぼ喋ってなかったから覚えられているのは普通に驚きだ。


 雪ちゃんのあどけない笑顔が可愛くて、覚えてくれてたのが嬉しくて俺の口角は上がりまくっていた。


「ん、ラギっちってにゃおさんだったんですね?」


 そんな真面目な顔でにゃおとか言わないで。もしかして俺の名前にゃおって本気で思ってないよな……?


「えっと、ごめん。自己紹介してなかったね」


 夜ご飯を作る事になったし、改めて俺は自己紹介することに。


「小野――お姉ちゃんと同じクラスの柊七緒です。よろしくね」


「あ、小野楓です。小6です。いつも姉がお世話になってます」


 小野さんや雪ちゃんとは正反対な、小6とは思えないほどしっかりとした雰囲気を纏っている。


「てっきりラギっていう苗字か名前だと思ってました」


「あはは、紛らわしいよね……」


 まぁ配信活動の名前はラギだからあってるんだけどなと一人で苦笑いしていると、楓くんは「にゃおって七緒って事だったのか……」と呟いていた。


 え、にゃおもやっぱりそのままにゃおっていう苗字か名前だと思ってたってこと? 楓くんってしっかりしてそうに見えて意外と……。


 なんというか小野家らしい。



「にゃお何でいるのー?」


「んー? 今日はこは姉の代わりににゃおがご飯作るんだー」


「そーなの!?」


「うんうん、そーなの。ちょっとこはる、雪ちゃん頼んだ」


「う、うん! 任せてー!」


 あぁなんて可愛いんだ。自分の幼少期でもこんな可愛くないぞ。どうなってる小野家、個性強過ぎるぞ。



 俺は冷蔵庫を開けて中を確認すると、あれが作れる事を確信して胸を撫で下ろす。


 正直俺は難しいのは作れないので足りそうで良かった。


 まずはお米を炊くことに。


「何か手伝うことってありますか……?」


 楓くんが気を遣って声を掛けてくれたが今の所大丈夫だ。それに楓くんが怪我でもしたら俺は責任取れないからな。


「オムライス作ろうと思うんだけど、みんなアレルギーとかってある?」


「みんな特にないです」


「そっかよかった」


 それだけ確認すると俺はリビングに目を向けて「お姉ちゃんに変わって雪ちゃんの相手をしてあげて?」と優しく微笑む。


「わかりました」


 楓くんは小野さんを休ませるためにもそうするのが最善だと判断したのか素直に従ってくれた。


 本当にいい子過ぎる。




 お米を洗い、炊飯器にセットする前に少し工夫をする。


 今回はオムライス、つまりケチャップライスを作る事にもなるので、ケチャップの水分でお米がべちゃっとならないように標準の目盛りよりも少し少な目にするのだ。


 逆に普通に白米だけなら米の種類とか米の乾燥具合にもよるが、目盛りよりも少し多めに水を入れた方がふんわりモチッとした感じに炊ける。


 何でこんなのを知っているかというと、まぁ普通にお母さんから教わった。


 でも水を入れすぎるとべちゃっとするので気を付ける必要がある。


「「オムライスー!!」」


 楓くんが言ったのか雪ちゃんと小野さんの歓声が聞えてくる。


「ラギっち! さいこー! 早く食べたいなーっ」


 小野さん、どうやら食欲はあるらしい。


 凄いな。俺体調悪い時とか全然食欲無いからゼリーとかプリンとかだぞ。あとは即席お茶漬けとかカロリーバーとかとか。風邪の時には大変お世話になっている。


 めっちゃ美味くて、風邪じゃなくてもたまに食べるくらいだし。


 俺おかゆが好きじゃないから小さいころからそればっかり。


 この歳になってようやく分かったが、おかゆって作るの結構面倒なんだよな。





 早炊きに設定したとは言え、20分くらいかかるのでその間は皆で仲良く宿題をすることに。


 1年生の雪ちゃんの宿題は簡単なやつで、あぁ俺もこんな時期があったんだなぁって懐かしい気持ちになった。


 小6の楓くんの宿題は……あれ? こんなのやったっけ? うわ、待って覚えてない。全然解けない……。


「七緒さんどうしたんですか?」


「んっ!? いや、何でもないよ何でも」


 ちゃんと問題文読めばきっと解けるはず。うん、ただ解き方を忘れているだけだ。きっとそうだろう、いやそうに違いない。



「こはる、ちょっと待て。お前は横になって休んどけ」


「えぇぇー……」


 ほっといたら直ぐに無理するんだから……。




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