明の章 永遠の不文律~宿命~
新登場 総 佐祐甲賀忍者の末裔 雄介のオロチ退治に深くかかわってきます
宇佐野 世利大黒大臣の妻そして雄介の姉 とても気の強い女性です
宇佐野雄介は島根から上京して1ヶ月、大山市子や櫛田芽唯を苦しめていた白峰鈴音にオロチである証拠を突き付けて、2度とオロチを名乗らないことを約束させた。
雄介は残りの2人の正体を突き止めてオロチ退治を終えた。
島根に帰るという雄介を市子は必死に引き留めた。
雄介は不安がる市子を放っておけず、警護の仕事ではなく大山製薬に就職するという条件でしばらく留まることにした。
明日が初出勤という日に雄介は大山家に呼ばれ、スーツの試着をしていた。
窮屈そうに体を動かしている雄介に、市子の母親茅野が尋ねた。
「雄介さん、よりにもよってどうして清掃部なの?もっと楽な部署を準備できるのに」
「自分は身体を動かす方がいいので、清掃部ってとこで大丈夫です」
「雄介、広いわよ新社屋。本社をこっちに移すって言ってたから。でも実際お掃除する人はライフシェアタウンの人なんでしょ、ママ」
「そう聞いているわ。雄介さんは建物全体の清掃チェックをすればいいみたいね」
「楽しみです」
母親は雄介の脱いだスーツをハンガーにかけながら、
「それならいいわ。それから雄介さん、明日は就職祝いでホテルでお食事だから、夜は出かけないでね」
「そうよ、雄介ったら走りに行ったら返ってこないもの、約束よ。着替えないでスーツ着ててね」
「・・・わかったよ」
気の重そうな返事を気にもとめず、市子が雄介の腕を引いた。
「雄介、どこか行こう、これからドライブしよう」
「明日、初仕事だし・・・」
「市子、あなたはお休みだからいいけど、雄介さんは仕事なの、今日は諦めなさい」
肩をすくめて市子が部屋を出て行くと、母親の茅野が改まった表情で雄介を見た。
「雄介さん、折り入ってご相談したいことがあるの」
茅野は雄介を見て、椅子に座るよう促した。
「単刀直入に伺うわ。市子をどう思ってらっしゃる?」
雄介は驚いて茅野を見た。
「・・・・」
「ごめんなさいね。本当に突然何を言い出すのか、そう思っているでしょ」
茅野は軽く笑ったが、悲しみの見え隠れする目は、その笑顔を否定していた。
「・・・・」
「オロチについては本当にありがとう。あなたは市子の気持ちを考えて、白峰鈴音のことを話さないでくれた。あれから怖がることは起きていないから、市子は何とか笑えるようになったわ」
茅野は目を伏せて続けた。
「でもね・・・市子は、ほぼ性犯罪の被害者と言っていいと思うの。だから市子はあなたがいなければ男性と話もしない。顔見知りの男性でも、近づくだけで怯えて逃げ出してしまう。・・・嵐の中、命がけで助けてくれたあなたしか信じられず、誰にも気を許せないみたいね」
茅野は視線を上げ、雄介を見て話を続けた。
「だからあなたが島根に帰るといった日、市子は煌々と明かりのついた部屋で、一睡もしないで不安に駆られ怯えていたの。私が付き添っていても、あの子の体の震えは止まらなかった」
雄介は芽唯を思い出していた。
心身が同時に受けたダメージは、時を過ごすだけでは癒されないことを雄介は知っていた。
「市子と結婚してもらえないかしら」
「・・・・」
「ふぅぅ・・唐突よね、分かっているの。無理だと思っているの、こんなことお願いするなんて、本当に分かっているの」
分かっていながら、言葉にせずにはいられない茅野の親心だった。
親を知らない雄介は羨ましく思えた。
「考えてほしいの、結婚でなくても婚約でもいいの。今の市子を守ってほしい」
「・・・・」
「雄介さん、無理を承知でお願いします。あんなに怯え苦しむ娘を助けたいの。もう一度考えてほしいの」
市子の気配を感じた茅野は立ち上がり、頭を下げて部屋を出た。
「歩かにゃならん道がある」ばっちゃま・・・俺・・・どうすりゃいいんだよ。
その夜、雄介は山を求めて家を出た。だが、一晩中走っても雄介を包んでくれる自然の息吹には出会えなかった。
入社式の日、社長室で雄介は社長の大山佐土から辞令を受け取った。
名刺には大山製薬本社 ビル管理責任者とあり、社長直属の部署になっていた。
その日は社内部署への挨拶回りで終わった。
夜、約束したホテルに市子と車で向かった。
「どうだった?初出勤。緊張したでしょ」
市子がクスクス笑って、運転している雄介に聞いてきた。
「一日中、お辞儀してたな。俺、人の靴ばっか、あんなに見たの初めてだ」
市子が声を立てて笑った。
笑う市子が笑わぬ芽唯に代わった。
俺がしなきゃならないことはなんだ?
俺にできることってなんだ?
俺がしたいことってなんだ?
俺が守らないとならないものはなんだ?
俺に守れるものはなんだ?
俺が今しかできないことはなんだ?
「何考えてるの?」
市子が不安げに聞いてきた。
「ああ・・・今日の反省」
「え?雄介が反省したの?」
「あ・あ・・反省した」
「噓だぁ、何を反省したの?教えて」
不安な表情は消えて楽しげな市子に戻った。
市子は薄氷に立つ芽唯と同じだった。
市子の心にも亀裂が入っていて安心はできない。
雄介は揺れていた。
オロチを退治することが目的で上京した。
白峰鈴音はもう市子を襲わないだろう。
だとしたら何から市子を守るのか?・・・芽唯が待っているのにここにいていいのか?
「何反省したの、教えなさいよ」
「ホテルに着いたぞ」
市子のしつこさに雄介は息苦しさを感じた。「今すぐ、山に行きてぇ」雄介の心が叫んでいた。
大山社長と茅野、狭霧、市子と雄介の5人での食事会だった。
大山家は古からの酒造メーカーで、会長の大山三津蔵は瀬戸内の島に住んでいるらしい。
長男の市子の父は早くに他界し、会社は次男佐土が継いでいる。狭霧は遠い親戚の娘で、社長と市子の世話をしている。
そして市子は会社を継ぐべく、大山三津蔵会長の意向で大学で経営学を学び、4月から入社して本格的に経営に携わことになっているらしい。
雄介は市子とのことが話題になるのではと気にしていたが、会社の話で終った。
茅野との話は真剣に考えることもなく、4月には島根に帰るつもりでいる雄介にとっては興味の湧く話ではなかった。
食事の後、雄介は手洗いを済ませ市子の後を追うと、大山社長が立ち話をしていた。
なんと相手は大黒大臣だったが、それよりも横に毅然と立っている女性を見て雄介は2、3歩後ずさりした。
「姉貴・・え?」
それは奈良で旅館を営み雄介の育ての親、宇佐野の娘宇佐野世利だった。
雄介は話が終わり、世利の姿がみえなくなるまで動かずにいた。雄介を探していた市子が心細げな顔で駆け寄ってきた。
「雄介、どこにいたの?かくれんぼは止めよう」
「ごめん・・・」
「お願い、外出する時はそばにいて、離れないで」
腕を組み、雄介から離れようとしない市子は、心なしか震えているように感じられた。
「分かったよ」
「帰ろう、車でママが待ってるよ」
急かされながらも雄介は姉の世利だと確認し駐車場に向かった。
車の中で雄介は奈良の五條市で旅館を営む養父の顔が浮かんだ。
五條市花の御宿という客室が20室の旅館だが、金剛山や三輪三山の山歩きの拠点として利用する旅人が多かった。
義父の宇佐野には東京に出てきてから連絡をしていなかった。
実の子ではないという負い目は、雄介を早い自立に駆り立て、迷惑を懸けまいという気持ちを強くさせた。そんな雄介だったが、幼い頃駆け回った奈良の山が懐かしく思い出された。
出社2日目、雄介はライフシェアタウンの担当責任者吉田を紹介された。
大山製薬は1階から4階までを専有していた。4階までが雄介の仕事場だった。
仕事と言っても出社して各階の清掃の様子を見て回り、清掃は午前中で終了する。午後からは清掃作業の終了チェックとその記録をして雄介の仕事は終わる。
あくまで市子の警護が本職なので、市子が出かける日は前もってスケジュールに入っていて、社外勤務とされていた。市子が外出しない日も連絡があれば社外勤務となっていた。
ようやく仕事にも慣れてきたころ、雄介は清掃の始まる時間に出社した。
裏門から入っていて、ゆっくりフロアーを見て回った。
人気のない広々とした2階の事務室には、静けさの中に漂う無機質な臭いがした。
ガッタンと4階から音がした。雄介は音を立てず階段を駆け上がった。
甲高い怒鳴り声がした。
4階のスペースは薬の開発の部署で、厳重な警備がされている場所だ。
研究室内は入室禁止となっていて、清掃に関しては基本的に休憩室、ロッカールーム、トイレ、廊下、踊り場、階段となっている。
責任者の吉田が20歳代の男に何か注意をしているようだが、ヒステリックな甲高い声と早口で、何を言っているのか雄介には理解できなかった。
「何ごとですか?」正座をさせられている男が少し顔を上げ、雄介を見た。
「こんな雑な作業でよく・・・」
吉田は怒鳴りながら振り向き、雄介を見て続く言葉を吞み込んだ。
「宇佐野さん、おはようございます。今日はお早いですね?なにかありましたか?」
「おはようございます」
ばつの悪い顔をしながら挨拶をした吉田は、雄介の挨拶を待たずに事の成り行きを説明し始めた。
雄介には、最後まで吉田が何を言っているのか分からなかった。
吉田は「一事が万事」を繰り返していた。この男のミスがこのまま続けば、会社を揺るがしかねないことが起こると、会社の心配をして話は終わった。
雄介は男に名前を聞いた。
「君の名前は?」
「総佐祐です」
本人が答えを待たずに責任者吉田が即答した。
「総さん、仕事が終わる10分前に僕の部屋に来てください」
総佐祐は雄介にぺこりと頭を下げて、小さく「はい」と返事をした。
「吉田さん、総君には僕から厳重注意をしますね」
雄介は不満げな吉田にそう告げると、早々に階段を降りていった。
総佐祐は12時10分前に雄介の部屋にやって来た。
吉田は総について「ルーズでいい加減で、すぐに人のせいにする性格」と言っていた。
「お疲れ様です、総さん」
「お疲れ様です・・・」
戸惑いが総佐祐の身体全体を覆っていた。
「なぜ呼ばれたか、分からないのですね?」
「はい」
素直に総は返事をした。
「パワーハラスメント、知っていますか?」
「もちろん知っています」
「今朝のようなことは、パワハラに当たります」
雄介の意外な言葉に総の戸惑いはより膨らんだようだが、その内容を理解するとはっきりとした顔つきになった。それを見て雄介は続けた。
「規則では、会社としてライフシェアタウンのシステムに介入はできません。しかし人として見過ごしてはいけないことはあります」
総は雄介の顔から目を離さず、真剣に聞いていた。
「これから自分の身を守り、泣き寝入りせずに済むようにしましょう」
「どうすればいいのですか?」
「すべてを記録します。簡単でいいのです、日時、場所、相手との会話、とにかく事実をメモします。余力があればその時どう感じたか?身体に影響したとか・・・でいいのです」
「はい、そうします」
「吉田さんには、私から真面目に働けと注意を受けた・・と報告を忘れずにしてください。こちらもそう記録しますから、よろしいですね」
「はいそうします、ご配慮くださりありがとうございます」
総は一礼すると背筋を伸ばして出ていった。
その夜、夕飯をすませた雄介が部屋を替え、テーブルでノートを開いたところに市子がやってきた。
市子が会社を継ぐことは祖父の夢で、荷が重すぎると感じていたが、雄介が大山製薬に入社してからは、雄介と一緒に会社を経営したいという市子自身の夢に変わった。
夢の実現ために夕食の後、市子は大学で学んだことを少しずつ雄介に教えて始めた。
初めは興味がなく面倒くさそうな態度だったが、今日は向き合う姿勢が違っていた。
「今日は、自分から?珍しい」
「からかうなよ、今日助かったんだ。昨日市子が教えてくれただろ、パワハラだとかモラハラだとか」
「それが役に立ったの?」
雄介はかいつまんで、総佐祐と責任者吉田とのいきさつを市子に話した。
「あとで守衛さんに聞いたら、朝は日課みたいに同じことを言うそうだ。吉田って人は」
「じゃあ、やめればいいじゃない、そんな人に我慢しないで」
「守衛さんが言うには、理由がないと職場の移動はできないし、やめればライフシェアタウンから追い出されるそうだ。だから何も言わないんだろうって」
「それで、雄介はちゃんとしたアドバイスできたんでしょ」
「と思うけど・・・いい奴・・・みたいだけど」
「その人、気になるの?・・・珍しいね、人には興味ないって言ってたのに」
「・・・・」
総佐祐。
部屋を出る後ろ姿が、張り切って歩くときの昇に似ていた。
昇との出会いを思い出した。
雄介に教え始めて2週間ほど経った日、市子はノートとパソコンを準備をしている雄介に尋ねてみた。
それは父親が亡くなったとき、祖父の大山三津蔵が市子に尋ねたことだった。
「雄介・・・お商売好き?」
「金儲けか?」
「違うよ、人を楽しませて幸せにするんだよ、お商売って」
「そっか、幸せにするのか」
「ちゃんと聞いてる?」
「あ、あ、聞いてるよ、金は必要だ・・・幸せか・・・」
市子は雄介が質問をはぐらかして答えたように思った。
一方の雄介は、ふとスマホもテレビもない島根の生活を思い出していた。
不便だったがそれでも幸せだった。
「雄介、また何に考えてるの?ていうか、どっか遠くに行っちゃてるような感じだよ」
市子の声がなぜか遠くに聞こえた。
「そっか、遠くに行ってたか、俺・・・」
昇も同じこと言ってたな。昇との生活も楽しかった。幸せだった。
宗像の宗ちゃん、元気かな?
雄介は辛かった過去が消えて、幸せなことだけが思い出として残っていることに気づいた。
そしてその時を思い出していることが、今を穏やかで幸せな気分にしてくれていた。
市子には、ぼんやりとノートを見ている雄介がデジタル画像のように見えた。
突然雄介が消えてしまうような不安に駆られた市子は焦って話しかけた。
「雄介、私はね、おじいちゃまにね、お商売大好きだから、いっぱい人を幸せにするって約束したんだよ。雄介も一緒にお商売しよう」
だが、途中で口ごもってしまった市子の夢は雄介に伝わることはなかった。
「雄介・・・」
市子は遠慮がちに肩を揺すった。
「おぅ、遠くに行ってたか?俺・・・」
また同じことを言う雄介を、泣きそうな市子の顔が現実に引き戻した。
迷子のように市子の瞳が手ごたえのない雄介の心を探していた。
「ごめんな、ちょっとな、俺、昔からたまにどっか行っちまうらしいから・・・」
「雄介?」
「おっ。勉強、勉強と」
雄介は取り繕うように本を開いた。
そんな雄介に市子は初めて受け止めてほしいという感情を伝えたいと思った。
今まで市子は雄介を異性として意識したことはなかった。
いつも寄り添って市子の恐怖と一緒に戦ってくれる雄介。
その素朴さでいつの間にか市子を笑顔にしてくれる雄介。
2人で過ごす時間は市子にとってかけがえのないものになっていた。
1月も最後の日曜日、雄介は銀座の1丁目から7丁目まで歩く、月1回の市子の趣味に付き合った。市子は銀座のショーウインドーを隅々まで見て歩き、いたるところでメモしていた。そんな行動を市子は趣味ではなく仕事だと言う。お商売の基本だと黙々と歩く姿は真剣で、あながち間違っていないのかもしれないと雄介は市子を見直していた。
夕方になり市子を家まで送って行った後、雄介の足はライフシェアタウンのほうへ向かっていた。
少し高台にある巨大な団地、ライフシェアタウン。
「成さんがここに入れって言ってたな・・・」
その近くまで行ったが引き返すことにした。
踵を返し走り始めた時、前からニコニコと嬉しそうに近寄ってくる男がいた。
「昇・・・」違った。
それは総佐祐だった。
「宇佐野さん、どうしたんすか?仕事ですか?」
「総さんでしたね。いま帰りですか?」
「はい、今日も無事終わりました」
「そうですか、お疲れ様でした。それじゃあ明日会いましょう」
「明日、休みです。・・・」
総は残念そうに、そして名残惜しそうに雄介を見た。
「明日休みなんだな。・・・なんか食いに行こうか」
雄介の突然の誘いに、ぽかんとした総の顔がすぐに笑った。
「・・行きましょう、よし」
雄介は上野にある居酒屋に総を連れていった。昇とよく来た店だった。
店は変わりなく繫盛しているようだ。
懐かしい席に向かった雄介だったが、立ち止まりカウンター席に座った。
店長が店員を止めて自ら注文を取りに来た。
「おひさしぶりですね、・・・」
店長は雄介の顔を見て察したように言葉を止め、注文を聞いた。
雄介は昇の思い出を傍らに置き、総佐祐との時間を過ごした。
佐祐はストレートに雄介の心に入ってきていた。
生い立ちやライフシェアタウンに入るしかなかったいきさつを話してくれた。
すぐに2人は名前で呼び合うようになっていた。
「なぁ、ライフシェアタウンから出るのは難しいのか?」
「よく分からんですが、ヒエラルキーとかなんとかで一度タウンに入ると階層意識があって、外ではなかなか仕事に就けないらしいです。だからやめるとタウンにも戻れないからホームレスになるしかない。・・・みんな我慢して仕事してる」
佐祐はビールを一気に飲んだ。
酒が入るにしたがって、佐祐は熱弁になりヒエラルキー構造を変えると息巻いた。
この社会は生まれた階層から抜け出せないように仕組まれているという。
「そうだなぁ、その通りだ」
雄介は今まで社会の仕組みなど考えたことがなかった。生きることで精いっぱいだった雄介には、佐祐の考えていることが新鮮だった。佐祐とライフシェアタウン、そこからどこかへ繋がる道に興味を持った。
雄介は酔いつぶれた佐祐を自宅に連れて帰った。
夜中にゴソゴソと佐祐が起き出した。
「雄介さん、今日はありがとうございました。楽しかったすよ」
頭を下げこっそり出ていこうとする佐祐を雄介は引き留めた。
「明日休みなんだろ、泊まって行けよ」
「はぁ、外泊は届け出が必要なんすよ。無断外泊は余計面倒で」
申し訳なさそうにぼそりと言った。
「まだ、終電も間に合いますから」
「降りてからかなり歩くだろう、家まで」
「大丈夫す。俺、甲賀の生まれっす」
「甲賀?・・・そうなのか?」
「ご先祖は甲賀忍者すよ」
と佐祐は自慢げに胸を張った。
「そうか、佐祐、今度の休みに甲賀の山へ行こう、連絡すっから」
「でも今雪降ってるすよ、山」
「ふんふん鈴鹿山系、雪もいい」
佐祐は雄介の答えに意外だという表情を一瞬みせた。
「雄介さん、よっしゃー。行きましょう」
威勢よく行くといった後、佐祐は金がないと萎んだ。
そんな佐祐に久しぶりに雄介は声を出して笑った。
佐祐は昇とよく似ていた。
雄介はスマホに佐祐を友人と登録し、2月に入ると2人は奈良と甲賀の山へ向かった。
とても長い物語を読んでいただいて有り難うございます。感謝しています。




