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【実話】某工場作業員の秘め事  作者: 月詠るりあ
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4月14日


 今日もいつも通りに支度を整え、家を出て送迎バスへ乗る。今日の唯一の不安点は『25キロある一斗缶を持つ』事だ。

 なので、今回は一緒に作業をすることになった森さんに託すことにした。

 ちなみに森さんは、この癖強従業員の中では唯一の真面目枠の人だ。几帳面で丁寧に仕事をするせいか、他の人からも好評がある人だ。私自身もこの人と仕事ができると思うと、少しラッキーだ。


 逆にもう一人の『元さん』という人と一緒だと、別の意味でかなりの地獄を味わう羽目になっていたかと思うと、震えてしまうが……。


「実は腰を痛めたせいか、一斗缶を持つのがしんどくて……」


 ちなみに本当に腰を痛めているのは事実だが、そこまでしんどくない。

 が、お腹に赤ちゃんがいる可能性を考えたら、いつもより無理は出来ないのは本当だ。ごめんなさい。森さん。


「あー。あれはしんどいよね~。俺でも無理だもん。うん。分かったよ」

「あ、ありがとうございます!」

「でもー、調合内の作業も、かなりの重量を持つよね? そういうのは平気なの? あれも腰痛めると思うけど……」

「あー、ええっと……」


 しかし、彼から思わぬ追求が来てしまったのだ。

 待て待て待て! 森さん! そこまでは追求しないで!

 私は内心焦りながらも、寝ぼけ半分の頭で、こう答えることにした。


「まぁ、確かにそうですが、ええっと。あれらは一気に持ち上げなくても、小分けで入れられるので、一斗缶を持つよりも、楽なんですよー!」

「あー。なるほどね! 確かに小分けしたら入れられるね。わかったよ~」


 と、何とか場所の交渉に成功したのだ。

 ふぅ。危うく妊娠してると、言いかねなかった。何とか秘め事を隠せた私は意気揚々と仕事場へ向かう。


 だけど、思ったよりもあまり身体が動かせられない。可笑しいな。まだそんなにお腹、大きくないのに。


 腰痛予防で付けたコルセットが苦しくて、逆効果なのか?

 でも、自分から言った手前だ。ちゃんとやらなければ。


 わがままはこれ以上言ってられない私は、無我夢中で作業を進めることにした。


「……ふぅー」


 時間を見ると、あっという間に夕方の5時。こうして何とか終えた訳だが、いつも以上にとてもしんどかったのを覚えている。


 森さんが気を利かして手伝ってくださっていたのが、かえって申し訳なかった気がするのよね。

 まるで妊婦だからと言って、周囲に仕事を丸投げする妊婦様みたいな。そんな言葉が、私は嫌いだ。


 そう思いながらも私は、帰路へと着いたのだった。今日も隠せた。とりあえず、病院の予約日までには元気でいて欲しいな……。


 


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