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リストラされたので底辺ダンジョンでひっそり配信してたら、なぜか世界中にバレた  作者: 凪乃


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13/43

真凛、窓口を持つ

 朝、アパートのドアの前に紙袋が置いてあった。


 管理局の封筒が二通。研究機関からの連絡が一通。テレビ局の名刺が三枚、クリップで留めてある。郵便受けに入りきらなかったらしい。紙袋はコンビニの袋で、誰かが気を利かせてまとめてくれたのだろう。


 もう三日こんな調子だ。


 台所で真凛がノートパソコンを広げていた。画面には問い合わせの一覧表が並んでいる。スプレッドシートの行数が昨日より増えていた。


「篠塚さん、おはようございます。取材依頼が昨日から九件追加です。合計で三十四件。あと、管理局の村瀬さんから折り返しの電話が来ています」


「全部断れるか」


「テレビは断れます。ネットメディアも断れます。ただ、管理局と学術系は放置するとこちらが不利になります」


 真凛が画面を回した。一覧表に色分けがしてある。赤、黄、緑。赤が「放置すると危険」、黄が「優先度低いが記録は必要」、緑が「無視してよい」。三十四件中、赤が五件。黄が十二件。残りが緑。


「いつこれ作った」


「昨晩です。分類基準は法的リスクと探索権への影響の二軸です」


 真凛の目の下にうっすら隈がある。寝不足だ。だが、声は落ち着いている。企画室にいた人間の処理能力が、こういう形で出る。


「赤の五件、内容は」


「管理局の深層調査報告の督促が二件。探索者協会からの登録確認が一件。新潟大学の古代文明研究チームからの共同調査依頼が一件。あと——スフィアの法務部から、個人探索権の再確認に関する書面が一通」


「スフィアか」


「はい。返還申請は取り下げましたが、C-087の原始登録がスフィア名義だった時代の保守費用について、精算を求めてきています」


 面倒くさい。だが、放っておくとまずいのは分かる。


「真凛」


「はい」


「その赤の五件、全部お前が窓口をやってくれ。俺は潜る準備をする」


 真凛が一瞬だけ目を見開いた。それから、小さく頷いた。


「分かりました。窓口は私が持ちます。篠塚さんは潜行計画だけ見てください」


「助かる」


「仕事ですから」


 その一言が出る時の真凛は、口元がわずかに引き締まる。あの夜アパートに来た頃から変わらない癖だ。


     *


 吉田食堂。朝定食三人前。今日は鯖の味噌煮だ。


 鯖の皮が味噌で飴色に光っている。箸を入れると、身がほろりと崩れた。脂が多い。味噌の甘さと鯖の脂がぶつかって、白飯が足りなくなる。大盛りにすればよかった。


 園田が鯖の骨を丁寧に外しながら言った。


「篠塚さん、十階層の壁面紋様を画像解析に出したんですが、東京大学と京都大学の二チームが独自にコンタクトしてきました。論文に使いたいと」


「真凛に回してくれ」


「了解です」


 園田がスマホを操作して、真凛にメールを転送した。真凛は味噌汁を啜りながら片手でスマホを確認して「受けました」とだけ言った。


 じいさんがカウンターの向こうから白飯のおかわりを出してくれた。頼んでいないのに。


「遥一。お前、最近忙しそうだな」


「忙しいのは真凛だよ。俺は潜るだけ」


「そうか。まあ、食え」


 白飯を受け取った。湯気が顔に当たる。


 掲示板を、少しだけ見た。


『C-087探索班に取材殺到してるらしい』

『おっさんは全部断ってるって配信で言ってたぞ』

『真凛ちゃんが全部仕切ってるんだろうな。有能すぎる』

『元企画室だぞ。こんな仕事は朝飯前だろ』

『おっさんは飯を食っていてほしい。俺たちが求めているのはそれだ』


 スマホを閉じた。鯖の味噌煮の残りを白飯に乗せて、口に運んだ。


 味噌の甘さが舌に残る。うまい。


 窓口を持ってくれる人間がいるのは、ありがたい。俺一人だったら、封筒の山は郵便受けごと燃えていただろう。


     *


 午後。C-087の管理室で、配信の準備をしていた。


 園田がカメラの画角を調整している。真凛はアパートに残って、電話とメールの応対を続けている。今日は配信に同行しない。


「園田」


「はい」


「真凛がいない日の配信、コメント管理はどうする」


「自動モデレーションを設定してあります。NGワードと連投規制は真凛さんが昨日組んでくれました。問題が出たら、僕が手動で対応します」


「了解」


 園田がヘルメットカメラの角度を直した。ミリ単位の調整。この人はいつもこうだ。スフィア時代、整備班で唯一、攻略チームに帯同して深層に入っていた人間だ。装備の摩耗は現場の空気と負荷を知らなければ正確に評価できない——それが園田の持論で、俺もそう思う。


 配信を開始した。視聴者数が三万を超えた。開始三秒でこの数字。もう慣れたけど、慣れたくはなかった。


「えー、C-087探索班です。今日は十階層の奥を見てきます」


 コメント欄が流れていく。速い。読めない。園田が横で小声で「荒れてないです」と言った。


 十階層に降りた。壁の文字が紫色に光っている。この文字の意味を知りたがっている研究者が二十人以上いるらしい。真凛が言っていた。


 だが、俺が知りたいのはもっと単純なことだ。この先に何があるのか。十階層の奥壁に、また亀裂が見えている。


 腹が減る前に、帰ってこよう。

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― 新着の感想 ―
「はい。返還申請は取り下げましたが、C-087の原始登録がスフィア名義だった時代の保守費用について、精算を求めてきています」 親層見つからなかったら退職金がマイナス!!!ww
読んでいて違和感が多い この作品結構ガッツリAI使ってますよね 無機質な登場人物たち、淡々とした展開、同じ表現の多用 どれも生成AIの特徴 活動報告とか作品説明に書いといたほうがいいのでは
最近こういう書き方が流行ってるのかわからないけど、会話文も地の文もただただ無機質で、そこに感情や人間味が感じられず全く入り込めない だから、主人公の魅力もなぜ慕われるのかも伝わらないし、会話のやり取…
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