寂しい山脈の冒険(part5) ~孫娘のお願い~
※目覚めた先も、悪夢…!?
「「ハアアっ―!!」」
私は、叫び声を出したかと思ったら、そこで目を覚まします。
そして、すぐに…
(何だ、今のは夢だったのですね…)
今まで、体験していた事は…
全て、夢であったと認識する。
「ハァハァハァハァ…」
とても、怖い夢を見てしまいましたね。
私は、安堵のため息をつきながら…今、見た夢を振り返ろうとしますが―
(んっ…?)
と言いますか、このベッド…とても固いですね。
いやいや―
ベッドというよりかは、固い台の上に寝ている気分でした。
私は、フカフカベッドで寝ていたはずでしたが…
「「「!!」」」(私)
(えっ、ここは…ど、どこでしょうか!?)
私が目覚めた場所は-
寝室では、ありませんでした!!
私は…
寝たまま首を動かして、辺りを見渡しますと、そこは調理場…いや、実験室でしょうか。怪しい実験器具や薬品の様な物が、私の周りに沢山置かれています。古びたガラス棚の中には、沢山の頭蓋骨が飾られていたり、瓶に詰められた臓器みたいな物が『ドクン』『ドクン』と鼓動して動いているのが見える。
(こ、これは…)
昔、通っていた学校の理科室を思い出しますね(適当)
私は、まだ夢を見ているのでしょうか。
あまりにも予測が出来ない事が続き、夢と現実の区別がつかなくなっている私。まるで…夢と現実の境界で、彷徨っている気分です。
「ギイイイイイイイイイ―」 「ギイイイイイイイイイ―」
「ギイイイイイイイイイ―」
(んっ…この音は、何でしょうか!?)
少し離れた所から、何かの擦れる音が聞こえます。
私は音のする方へと、首を動かすと―
「!!」(私)
あっ、お婆さんがいました!!
お婆さんは、私に背を向けて何かをしている様ですけど…あっ、どうやら包丁を研いでいる様です。ですが…それは普通の包丁では無くて、とても大きな包丁です。
これから、マグロの解体でもするのでしょうか。
ですが、マグロの様な解体する物なんて、見当たらないですけど…
不思議に思う私。
そんな私は、今ですが…実験室の中央にあります台の上に寝かされているみたいでした。解体されるには、とても良い条件の場所ですね(汗)
((グツグツグツグツグツ…))
((グツグツグツグツグツ…))
そして…
私のすぐ先では、大きな鍋が不気味な湯気を出しながら、グツグツと煮えたぎっている。大人1人くらいなら余裕で入りそうな、大きな鍋ですね。大きさ的に言うと…鍋と言うよりかは、五右衛門風呂でしょうか。
不気味な実験室の中でも、その大きな鍋は一際目立っています。
(この場所は、一体…!?)
「はい、お疲れ~!!」
「「!!」」(私)
突然のゼニィーの声に、ビビる私。
「んっ、どうしたの~!!」
(何だ、本当のゼニィーか…)
ゼニィーは、私の横をパタパタと飛んでいました。
「いや、何でもないわ(汗)」
私は、冷や汗を掻きながら言います。
そして…ゼニィーの声を聞いて思い出す。
夢の最後に出て来た、腐った目の人は中々強烈でしたね。
まだ頭の中に、その姿が鮮明に残っています。
(ドキドキドキドキ…)
高鳴る鼓動を抑えて、冷静になる私。
ハァ…折角、フカフカベッドに寝たのですから、何か良い夢を見れると思いましたのにね。例えば、空をプカプカ浮いている夢とか。だって、雲の上で寝ている気分に浸れる、とても寝心地の良いベッドでしたからね…
(まぁ、今は固い台の上ですけどね…)
「…」(私)
さぁ、気を取り直していきましょう!!
「ゼニィー!!」
「これは、一体どうゆう事なの…!?」
私は早速、解説役のゼニィーに状況を聞きます。
「ここは、地下室だよ!!」
「どうやら、お婆さんは地下室に続く入り口を、魔法で隠していたみたいだね。監視を続けている内に…お婆さんが、ゆっくりと行動を始めてね。一緒にこの実験室まで来たんだよ~!!」
「ふ~ん、そうなのね…」
そして、私は…お婆さんの念力でプカプカ浮かびながら、寝室の温かいベッドから地下室の冷たい解剖台に運ばれたみたいです。
「てかイブ、凄い迫真の演技だったね~!!」
「本当に寝ているみたいだったよ~!!」
「うん、有り難う…」
冗談で言っているのか、本気で言っているのか分からない、ゼニィーさん。とりあえず私は、ぎこちなくお礼を言います。
それで、お婆さんの目的ですが―
「どうやら、ここで色々と怪しい魔法薬を作っているみたいだね~!!」
「怪しい魔法薬ですか…!?」
「うん、例えばね…」
「すぐそこにある、あの大きな鍋だけどね~!!」
ゼニィーは、あの…五右衛門風呂みたいな大きな鍋を指差す。
「あの鍋に入っている液体は呪薬で、原材料は…人だよ!!」
「「ええっ、人ですか!?」」
「うん、もっと細かく言うと人の生き血だよ~!!」
「ええっ、血!?」
「味見して、確かめました~!!」
「勿論、お口バリアが発動したから、色々と分かったんだけどね!!」
「この呪薬は、飲むと若返る効果があるみたいだね~!!」
「ふ~ん…」
「若返る魔法薬か…」
「そうそう、だからイブは…これから、お婆さんに全身の血を抜かれて、あの大きな鍋に放り込まれる感じだと思うよ~!!」
「そうなのね…」
「…」(思考)
たとえ、バリアがあっても、あの鍋の中に入るのはゴメンですね。
絶対に、入りたくないです!!
それで、お婆さんの目的は…
人を材料にして、若返る薬を作る事だったみたいですね。
となりますと恐らく、この森で行方不明になった人達も材料にされている可能性が高いですね。
お婆さんは、若さを求めているのでしょうか。
まぁ人は、いつまでも若くあり続けたいと思うものですからね。
その気持ちも、理解出来ますが…
「それで、どうするの~!!」
「う~ん、そうね…」
ゼニィーの作戦通り―
お婆さんのやっている事の全貌は、何となく分かりました。
まぁ、成り行きに任せて、行き着く所まで来てしまった感じですね。これ以上先は、もうありません。とりあえず、警察に通報しますか…いや、この世界に警察はいませんよね。似た様なものですと、騎士でしょうか。
でも、SOSボタン持ってないからなぁ。
闘うにしてもねぇ…
「…」(私)
フフフフ…
ですが、私には最初からボンヤリと思い描いていた事があったのです。あっ、果ての魔法の事じゃないですよ。あの魔法は、反動が大きいですからね。そもそも、これは魔法では無いのです。
とりあえず、お婆さんを説得してみましょうか-
説得して、こんな事を止めさましょうか。
そうそう、折角…私自身もこんな初々しい少女?の訳ですから、お婆ちゃんに可愛くお願いする孫娘みたいな感じで、説得してみようかしら。きっと…お婆ちゃん、お爺ちゃんは、孫のお願い事には弱いはずです!!
(さてと…)
「そろそろ、行きましょうか!!」
私は固い台から、重い腰を上げます。
―さぁ、悪夢はもう終わりよ―
「「「お婆さん、おはようございま~す!!」」」
私は、お婆さんに元気良く挨拶をします。
【【【【【え、え、ええええ~!!】】】】】




