95話 悪夢(後編)
この指輪は、一体何なのでしょうか?
私のか細い薬指に、その指輪はキラキラと金色に輝いています。
黄金で出来ているのでしょうかね。
指には、それなりの重量感を感じます。
見た感じは…とても、綺麗で高価そうな指輪ですが。
これは、呪具なのでしょうか―?
自然の流れで、そう思う私。
「…」(私)
もしかして、私…この家に潜む悪霊の誰かに、プロポーズされたのでしょうかね。その綺麗な指輪を見て、私はそんな気持ちになります。ですが…私の中身はオッサンですから、プロポーズなんて止めといた方が良いですよ(ハハハ~!!)
そして…この指輪がどんな曰く付きの指輪であっても、バリアが問題無く弾き返してくれるでしょう。
(スポンっ―)
私は、指輪を取り外します。
まぁ、普通に取れました!!
私は、とりあえず指輪をポーチの中に入れます。
そして―
やっと、居間に入る為の扉に辿り着きました!!
もう、本当に長い廊下でしたね。大きなお屋敷の長い廊下を歩いているみたいでした。これは…誰かの魔法で、こうなったのでしょうか。地球ならば、あり得ない事ですけど…魔法ならば、出来るのですかね(ハハハ~!!)
「ギイイイイイイイイイ―」
私は、恐る恐る扉を開けて居間に入りますと―
「「「ジャンジャンジャン―♪」」」
「「「ジャンジャンジャン―♪」」」
「「「ガタガタガタ―!!」」」 「「「ガタガタガタ―!!」」」
「「「ガタガタガタ―!!」」」 「「「ガタガタガタ―!!」」」
「ワァ…」
居間の中には―
時計、花瓶、本とか色々な物が…ガタガタと揺れていたり、フヨフヨと浮かんでいました。テーブルの上には、ティーカップとティーポットがお茶会をしています。そして、昔懐かしい感じのラジオでしょうか。そこから、不気味な音楽が流れています。
これは…
清々しい程のポルターガイストですね。
悪霊達が不気味な音楽に合わせて、踊っている感じです。
私も、一緒に踊り出しそうですね!!
「ルンルンルンルンルン―♪」
(ハハハハ~!!)
バリアがあるから、こんなに余裕なんですよ(汗)
相変わらず…
居間の中にも、不気味な緑色の煙が漂っています。
そんな陽気で暗い居間を見渡しますと、とてもリラックス出来そうなソファーが置いてありました。んっ、このソファーは…!!
ゼニィーの途中報告では…
お婆さんは、ここでくつろぎながら本を読んでいたとの事ですね。ですが、流石にお婆さんの姿は、もうありませんけど。
私は、何となくソファーに近付いきます―
(んっ…?)
ソファーの上には、丸い何かが置いてありました。
何なのかは暗くて、よく見えない。でも、何かモゾモゾと動いている気がしますね。
私は確認する為に、更に近付いていきます。
(あっ!!)
(もしかしたら、ゼニィーでしょうか…!?)
「…」(私)
ゼニィーは…お婆さんの監視をしながら、ソファーの上で寝てしまったのでしょうかね。全く、お婆さんの監視をすっぽかして、しょうがないわね!!
「ゼニィー!!」
「ちょっと、起きなさい!!」
(シーン…)
ゼニィーからの返事は無い。
「ゼニィー…」
「おーい!!」
「ゼニ…えっ―!!」
「「「ニャアアアアアアアアアアアアアア~!!」」」
「「「ギャア―!!」」」
私は驚いて、腰を抜かす―
私が起こそうとしたのは、ゼニィーでは無かった!!
大きな黄色の目が、ギョロリとこちらを見ている。
(((お、お、お、お化け…!?)))
私は、気を失いそうになるのを必死に堪えます。
「ニャアアアアアア…」
「ニャアア…って、猫っ!?」
ソファーの上で丸くなった身体を伸ばして、眠そうにアクビをしている。
ね、猫でした…でも、何故こんな所に(汗)
しかし、普通の猫と比べて、その目は異様に大きい。
そして、その大きな黄色の目は…とても生きている感じの目とは思えない程、酷く淀んでいる。
これは、普通の猫ではない。
「ハァハァハァハァ…」
唖然として、息を乱す私。
私は…その場で動けずに固まったいると、その猫はソファーから降りて、そのまま闇の中にスウウウ―と消えてしまいます。
「…」(私)
今のは、やっぱりお化け…化け猫でしょうか!?
解説役のゼニィーがいないと、何も分かりませんね。
しかし…ゼニィーと思ったら違うという不意打ちは、恐怖に対する耐性が出来た私にとっても、中々応えました。危うく、気を失いそうになりましたね。危ない、危ない…
「スウウウ~」
「ハアアア~」
私は気持ちをリセットする為に、深呼吸をして息を整えます。
さぁ、気を取り直して…お婆さんとゼニィーを捜しましょうか。
今の私ならば、どんな事が起こっても気を失いませんよ!!
私は力強く、そう思っていますと―
「イブ、何をしているの~!!」
「!!」(私)
後ろから、ゼニィーの声が聞こえます。
もう、本当にどこに行っていたのよ。
その声を聞いて、私は安心感に包まれます。
私は、無防備に後ろを振り返る―
「あっ、ゼニィー…」
「「「「!!」」」」(私)
「「「「ギャアアアアアアアアアアアアアアアア―!!!」」」」
私の後ろにいたのは、ゼニィーでは無かった…
それは…何とも形容しがたい…腐ってドロドロになった顔がマジマジと私の事を見ていた。腐った黄色の目を見開いて、裂けた口でニヤリと笑っています。そして…服装は、あの正装した男女が描かれていた絵画の…女性の服装とよく似ていました。
どうやら…
あの絵から出てきたのでしょうかね。
(((だから、不意打ちは止めてええええ―!!)))
私の意識は、そこで遠のいていく。
―さぁ、目覚めの時間だ―
―懐かしい人が、絵画の中で待ってるぞ―




