79話 ラジオ体操?
「サアアアアアアアアアアアアアア―」
「フンフフウウウウ~ン♪」
私は、浴室でシャワーを浴びていました。
フフフ…
久しぶりですね、とても気持ち良いです!!
はい、そうなんです。
私は、部屋で一休みしてから、久しぶりにシャワーを浴びようと思っていたのです。シャワーを浴びるのは、地球にいた以来ですね。
そして、やっぱり夕食を食べるのは、身体を綺麗にした後が良いですからね。そして、そして…ビールとかあれば、もっと最高なんですけどね。
「ハハハハっ―」
「はい、お待たせー!!」
シャワーを浴びて、部屋に戻った私は言う。
そういえば…バリアが体表に張られていましたけど、普通に浴びられましたね。流石は、高性能なバリアですね!!
あとですが…
私が着ている白いパーカーとか、カーキーズボンとか、などなどですが…
この異世界に来てから、一度も洗濯をしていません。ですが、その服達はとても綺麗な状態が保たれていました。例えば…汚れが目立ちそうな白いパーカーですが、その真っ白な色は全く汚れる事が無く、新品同様の純白が保たれていました。そして、汚れもそうですが…臭いもしません。汗も沢山、掻いていると思うのですけど。
「私が着ている服だけど、全然汚れていないわね~」
「これも、バリアのお蔭なの?」
私は、ゼニィーに聞く。
「これは、バリアのお蔭というよりね」
「服に付与されている魔法の効果だね~!!」
「えっ、そうなの…!?」
「うん、そうだよ~!!」
ゼニィー曰く、私が着ている衣類は、清潔の魔法が付与されていて、汚れや臭いがつきにくい仕様になっているみたいです。この様な洗濯がほぼ不要な衣類ですが、よく旅人達が好んで、身に付けているとか…
「へぇ、便利な魔法ね…!!」
私は、素直に感動して言う。
私が…地球にいた頃は、部屋に洗濯物を山積みに溜めていましたからね。
そんな私にとったら、大助かりの魔法ですね。
…もしかしたら、果ての魔法よりも便利な魔法ですね!!
「ハハハハっ―」
「バサアアアアアアアアアアア~ン!!」
私は、綺麗になった身体でベッドにダイブします。
とても簡素なベッドですが、私はまるで…天使の羽に包まれている様なフカフカの感触を味わい、感動していました。
今までの硬い地面から、やっと解放されたのです!!
「あの~、食べないの!?」
「うん、食べるわよ…」
そう言いながらも、私は久しぶりの布団の温もりに包まれて、ウットリとしていました。そして、次第にウトウトとしてくる。
「じゃあ、先に食べちゃうよ~!!」
「うん、分かったわ…」
(ウトウトウトウト…)
急に訪れた強い眠気が、ゼニィーの囁く声を掻き消していく。
「ZZZ…」
○
「チュンチュンチュンチュン―」
「「イブ、もう起きる時間だよ!!」」
「「起きてよ~、何でこの人…全然起きないの!?」」
「ムニャムニャ、あともう少し…んっ?」
「あっ…おはよう…」
私は、白い日差しとゼニィーの必死の声で目を覚ます。
(ハァ、もう朝ですか…)
「んんんん~!!」
そういえば…昨日の私は、ベッドに倒れた途端にあまりの気持ち良さに、そのまま眠ってしまったのですね。私は、あくびをしながら思う。
「やっと、起きたね!!」
「目覚ましが鳴っても、全然起きないんだから…」
「もう、村人達との約束の時間だよ~!!」
「んっ、約束…?」
私は、ボンヤリとしながら窓の外を眺めると…
村人達が、村の真ん中の広場に集まっているのが見えました。
(なんで、皆さんは集まっているのでしょうか…)
「!!」(私)
「もしかして、これからラジオ体操の時間なのね!!」
「とても、健康的じゃないの、フフフっ」
「いや…これから、村人達とスライムを討伐するんでしょ…」
「あっ、そうだったわね。すいません…」
ゼニィーは、息を切らしながら呆れた顔で言っていた。
「ゼニィー、貴方…」
「今、とても息を切らしているけど、もしかして夜中の内にスライムを倒してきてくれたのかしら?」
私は、有難い感じで言う。
「いや…これは、全然起きない貴方を起こして、疲れているからだよ…」
「あっ、そうなのね。すいません…」
「ハァ…」(私)
「だけど、最近なんか忘れっぽくなった感じがするわね」
「それから性格も大雑把になったというか、細かい事を気にしなくなった感じも…」
私は、窓から入る光を浴びながら眠そうに言う。今日は、澄み渡る快晴でした。こんな天気が良い日の朝に皆が集まってする事は、ラジオ体操以外に考えられなかったのです…
私は、最近の私自身の変化について、気になっていた。
「ふ~ん、そうなんだ。でも、少しそれ分かるかも!!」
「ボクもそうだけど、やっぱり長く生きていると細かい事とかは、あまり気にしなくなってくるからね~!!」
「イブも160歳だし、そんな感じなんじゃないの~!?」
「そ、そうなのね…」
まぁ、私の場合は、160歳ですけどブランクがありますので。
ゼニィーの言う事が、どこまで私に当てはまるか分かりませんが…
「…」(私)
「ところで、昨日の夕食って、まだあるの?」
私は思い出して、ゼニィーに聞く。
「あんまり、覚えてないや…」
ゼニィーは、目を逸らしながら言う。
「イブ、それよりも時間を見てよー!!」
「もう、8時過ぎているよー!!」
「「あっ、しまったアアアア―」」
「「ビョイイイイイイイ~ン!!」」
私は、部屋に掛かっている時計を見て、天井にぶつかりそうな勢いでベッドから飛び上がる。ヤバい、依頼の時間に遅れてしまう!!
…というか、もう遅れている。
私は、急いで広場に向かいます。




