第7話「分け前と、これからの戦い方」
## ■第7話「分け前と、これからの戦い方」
ギルドに戻ったとき。
三人の間には、戦闘前とは違う空気があった。
疲労。達成感。
そして――わずかな信頼。
「……オーク一体、討伐確認しました」
受付の女性が淡々と言う。
カウンターに置かれたのは、小袋。
「報酬、銀貨二十枚です」
「おお……」
セリスが小さく声を漏らす。
初心者にしては、破格だ。
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テーブルに移動し、三人で袋を開ける。
ジャラ、と音を立てて銀貨が広がる。
蒼真が言う。
「さて……どう分ける」
当然の話だ。
風太は即答する。
「均等でいい」
「いや、今回はお前の比重が大きい」
蒼真は首を振る。
「最後の一撃も、お前が合わせた」
セリスも頷く。
「上からの支援なかったら、押し切られてた」
風太は少し考え――
「じゃあ、こうしよう」
指で机を軽く叩く。
「基本は三等分」
「ただし、特別な役割があった場合だけ上乗せ」
蒼真が眉を上げる。
「成果報酬制か」
「シンプルで揉めない」
セリスが嬉しそうに言う。
「それいい。分かりやすい」
蒼真も納得したように頷く。
「……いいだろう」
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結果。
・基本分配:各6枚
・追加分(今回):風太+2枚
合計:
風太:8枚
蒼真:6枚
セリス:6枚
「……初報酬にしては上出来だな」
蒼真が銀貨を袋に戻す。
セリスは少しだけ笑っていた。
「……生きてるしね」
その一言に、全員が一瞬黙る。
――本当に、紙一重だった。
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やがて風太が口を開く。
「で、次だ」
蒼真が顔を上げる。
「何がだ?」
「戦い方」
短く言う。
「今日、バラバラだった」
否定しようのない事実。
蒼真が苦い顔をする。
「……ああ」
セリスも俯く。
「私、詠唱止まりかけた……」
風太は続ける。
「でも最後は繋がった」
机に指で簡単な図を描く。
円と線。
「俺が上から見る」
「蒼真が敵を固定する」
「セリスが魔法を通す」
「ここまではいい」
蒼真が頷く。
「問題は“繋ぎ方”か」
「そう」
風太は指で一点を叩く。
「合図が必要だ」
セリスが顔を上げる。
「合図……」
「タイミングを共有する」
風太は続ける。
「例えば――」
手を上げる。
「俺が“落ちる”動きを見たら、詠唱準備」
「蒼真はその間、絶対に敵を固定」
蒼真が腕を組む。
「固定時間を決めるか」
「そう。3秒とか、5秒とか」
セリスが真剣な顔になる。
「じゃあ、その間に最大火力出す」
「そういうこと」
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しばらくして。
蒼真がぽつりと言う。
「……面白えな」
「何が?」
「今まで、力任せだった」
盾で受けて、剣士が斬る。
単純な戦い。
「でも今は違う」
風太を見る。
「“戦ってる”って感じがする」
セリスも小さく笑う。
「ちょっと楽しいかも」
風太は肩をすくめる。
「空からだと、全部見えるからな」
「じゃあ指揮官だな」
蒼真が言う。
「は?」
「お前が全体を見る。俺たちは動く」
セリスも頷く。
「うん、それがいい」
風太は一瞬黙り――
「……責任重いな」
「嫌か?」
蒼真がニヤリとする。
風太は少しだけ笑った。
「いや、悪くない」
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その時。
近くのテーブルから声がした。
「……あいつらか」
「空飛ぶ新人」
「目立ちすぎだろ」
ざわめき。
視線。
風太は気づいていたが、気にしない。
蒼真が小さく言う。
「……もう噂になってるな」
「そりゃなる」
セリスが少し不安そうにする。
「大丈夫かな……」
風太は軽く言った。
「強くなれば問題ない」
シンプルな答え。
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席を立つ。
「次の依頼、探すか」
蒼真が頷く。
「もう少し難易度上げてもいい」
セリスも続く。
「……やれると思う」
三人の足取りは、戦う前よりも軽い。
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ギルドの掲示板の前。
無数の依頼書。
その中に――
少しだけ“危険”な匂いのする紙があった。
風太は、それに手を伸ばす。
「次は――これだな」
空を使う戦術は、まだ始まったばかり。
そして。
それを狙う者たちもまた――動き始めていた。
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