第11話「空を越える者」
---
## ■第11話「空を越える者」
再戦は、偶然ではなかった。
ギルドの掲示板に貼られた一枚の依頼。
**討伐対象:群生型中型魔獣(リーダー個体あり)**
そして――
「……来るな」
蒼真が呟く。
入口に立っていたのは、あの三人。
カイル率いる“ハウンド”。
カイルが口元を歪める。
「同じ依頼だな」
風太は静かに頷いた。
「ちょうどいい」
---
現地は、開けた丘陵地帯。
起伏のある地形。遮蔽物は少ない。
「空向きだな」
蒼真が言う。
「今回はな」
風太は答える。
だが――
「相手も分かってる」
---
戦闘前。
カイルが声をかけてくる。
「ルールは簡単だ」
「どっちが先に殲滅するか」
セリスが少し緊張した声で言う。
「……競争?」
「そうだ」
カイルは笑う。
「全力で来い。“空”」
---
魔獣の群れが現れる。
その中央には――
「……でかいな」
リーダー個体。
三メートル級。
明らかに格が違う。
「行くぞ!」
蒼真が踏み出す。
同時に――
両パーティ、動く。
---
ハウンド。
弓使いが即座に構える。
「上、警戒」
魔法使いが詠唱。
「気流、散らす」
カイルは前へ。
「俺が切り込む」
完璧な連携。
---
一方。
「いつも通りじゃ負ける」
風太が言う。
蒼真が笑う。
「なら?」
「変える」
短い一言。
---
風太、浮上。
だが――
「撃て!」
矢が飛ぶ。
しかし。
ヒュッ!!
「なっ!?」
弓使いの目が見開く。
(速い!?)
補助噴射による瞬間回避。
軌道が読めない。
---
さらに。
「散らせ!」
風魔法。
だが。
「効かない」
風太は安定している。
(推進が違う……!)
---
カイルが舌打ちする。
「更新してきたか」
---
地上。
蒼真が突っ込む。
「俺らも行くぞ!」
盾で弾き、押し込む。
セリスが詠唱。
「フレイムランス!」
一直線。
魔獣を貫く。
---
だが。
ハウンドも速い。
カイルが斬る。
一撃で仕留める。
「数で負けるな!」
---
空。
風太は狙いを定める。
「まずは――」
筒状の武器を構える。
「落とす」
ドンッ!!
高速射出。
「っ!?」
弓使いが回避するが――
地面が爆ぜる。
「威力が……!」
単なる投擲ではない。
“砲撃”。
---
「上、危険!」
ハウンドの魔法使いが叫ぶ。
「カイル!」
「分かってる!」
カイルが風太を見る。
(厄介だな……)
---
戦場は加速する。
両者、互角。
だが――
「リーダー、動くぞ!」
巨体が動き出す。
咆哮。
全員の動きが一瞬止まる。
---
風太が呟く。
「……あれ、鍵だな」
蒼真が答える。
「どっちが先に倒すか、だ」
---
カイルも同じ結論に至る。
「狙うぞ!」
---
リーダー個体へ、両者が殺到。
---
蒼真が正面を受ける。
「来い!!」
ドゴン!!
押される。
「重っ……!」
---
カイルも横から斬り込む。
「硬えな……!」
---
セリスが詠唱。
だが――
「間に合わない……!」
距離が足りない。
---
その時。
「任せろ」
風太の声。
上空。
高度を取る。
「全部、乗せる」
魔力を集中。
新装備、最大出力。
機体が震える。
「……いけるか」
---
カイルが気づく。
「何か来るぞ!」
---
風太、急降下。
風を切る。
「セリス!!」
「……っ!」
「最大、合わせろ!!」
理解する。
「――分かった!!」
詠唱。
炎が収束する。
過去最大。
---
蒼真が叫ぶ。
「3秒!!」
盾で押さえる。
限界。
「うおおおお!!」
---
カイルも動く。
「俺も乗る!」
剣に力を込める。
---
三者、同時。
---
「――今だ!!」
風太、射出。
セリス、発射。
カイル、斬撃。
---
一点に集束。
爆発。
衝撃。
閃光。
---
静寂。
煙が晴れる。
リーダー個体は――
崩れ落ちていた。
---
沈黙。
そして。
「……終わりか」
蒼真が息を吐く。
セリスも座り込む。
風太は静かに着地した。
---
カイルが歩いてくる。
しばらく、何も言わない。
やがて。
「……負けだな」
短く言った。
蒼真が笑う。
「認めるか」
「ああ」
カイルは風太を見る。
「空は、落とせなかった」
風太は答える。
「対策は効いた」
「だが、それ以上だった」
---
セリスが小さく笑う。
「……勝ったんだ」
蒼真も頷く。
「完全に、な」
---
カイルは背を向ける前に言った。
「次はもっとやる」
風太は答える。
「こっちもな」
---
こうして。
“空 vs 対空”の戦いは――
一つの決着を迎えた。
だが。
それは終わりではない。
ただの――通過点。
---
空は、さらに高くへ。
---




