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第10話「空を守る翼たち」



## ■第10話「空を守る翼たち」


「……完全に対空されてたな」


宿の一室。


机の上に広げられたのは、簡単な図とメモ。


風太が描いた戦闘の再現だった。


蒼真が腕を組む。


「弓と風魔法。あれはきつい」


セリスも頷く。


「気流を乱されると、安定しない……」


風太はペンを走らせる。


「問題は三つ」


指を立てる。


「一つ。矢の直撃」


「二つ。気流妨害」


「三つ。空中での回避力不足」


蒼真が言う。


「全部だな」


「だから全部潰す」


即答だった。


---


風太は立ち上がる。


「創る」


セリスが少しだけ目を輝かせる。


「新装備……?」


「空専用だ」


---


町外れ。


人気のない草地。


風太は手をかざす。


「まずは――防御」


光が集まり、形になる。


機体の表面に、薄い膜のような層が形成される。


「魔力コーティング」


蒼真が眉を上げる。


「盾みたいなもんか?」


「近い。衝撃を分散する」


試しに石を投げる。


コツン、と軽く弾かれる。


「……いいな」


---


次。


「回避」


機体の後部に、小さな突起が増える。


「補助噴射」


セリスが首をかしげる。


「噴射……?」


「瞬間的に横にズレる」


風太が軽く操作する。


ヒュッ、と機体が横に跳ねる。


蒼真が笑う。


「それは厄介だな」


---


そして最後。


風太は少しだけ考え込む。


「問題は――これだ」


空を見上げる。


「気流妨害」


セリスが言う。


「風そのものを乱されると……」


「飛べない」


風太は頷く。


「だから――風に頼らない」


沈黙。


蒼真が言う。


「……は?」


---


風太はゆっくり手をかざす。


「推進力を強化する」


光が集まり――


機体の構造が変わる。


より太く、より強く。


「魔力直推進」


セリスが目を見開く。


「風じゃなくて……魔力で飛ぶ?」


「補助的に、な」


完全に風を捨てるわけではない。


だが――依存を減らす。


---


試験飛行。


風太は機体に乗り込む。


「いくぞ」


浮上。


安定。


「……いい」


少し高度を上げる。


「次――」


横移動。


ヒュンッ!


一気にズレる。


「おお……!」


蒼真が思わず声を上げる。


---


その時。


「試すか」


風太が呟く。


地上に向かって言う。


「石、投げて」


「おう」


蒼真が全力で投げる。


高速。


直撃コース。


――だが。


ヒュッ。


瞬間移動のように回避。


「……当たらねえ」


---


さらに。


セリスが言う。


「風、乱すね」


魔法を放つ。


気流が乱れる。


機体が揺れる――


だが。


「……いける」


風太は安定を保つ。


「推進があるから、崩れない」


---


着地。


風太は機体を消す。


「完成……とは言えないけど」


蒼真が笑う。


「十分すぎるだろ」


セリスも頷く。


「全然違う」


---


だが風太は首を振る。


「まだ足りない」


「え?」


「攻撃が単調だ」


今までは投擲中心。


「対策されたら終わる」


蒼真が言う。


「じゃあどうする」


風太は少しだけ笑った。


「空から撃つ」


「……何を?」


---


風太は手をかざす。


小さな物体が生成される。


細長い筒状。


「……それ」


セリスが呟く。


「投げるんじゃないの?」


「違う」


風太は構える。


「発射する」


魔力を込める。


次の瞬間――


ドンッ!!


一直線に飛ぶ。


遠くの木に突き刺さる。


「……っ!?」


蒼真が目を見開く。


「速え……!」


「弾速が違う」


投擲ではない。


“射出”。


---


風太は息を吐く。


「これで」


・防御

・回避

・安定

・攻撃


すべてが揃った。


「空戦、第二段階だ」


---


セリスが静かに言う。


「……次、勝てるね」


蒼真も笑う。


「ああ。今度はやり返す」


風太は空を見上げた。


広がる青。


だがもう、ただの自由ではない。


「――狩り場だ」


---


その頃。


別の場所で。


カイルは報告を受けていた。


「……新装備、だと?」


部下が頷く。


「動きが変わったらしい」


カイルは、静かに笑う。


「いいね」


剣を肩に担ぐ。


「じゃあこっちも、更新だ」


---


空と空がぶつかる日は、近い。


---


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