69話 Always
東聖大陸最大の湖【アイ湖】
海とも見間違う程の広大な湖からは豊かな海の幸、もとい湖の幸がふんだんに獲れ、地元住民はもとより、大陸各地の人々からも愛される名産となっている。
東聖大陸のほぼ真ん中に位置するカミノの街は、首都ケアルランドをはじめ様々な行商人が訪れる商業の中継地としても有名だ。
そんなカミノの街を堪能すべく、俺、ルビィ、ネオンの3人は東聖大陸最大の湖を見に湖畔へと足を運んだのだが…
「うーん、なんとも言えないな。」
「ちょっと予想外だった…かも。」
「まぁ、時と場合が悪かったと言うのもあるがな…」
と俺達3人の目の前に広がる光景はもちろん、遥か沖まで見えない海のような湖。なのだが、その湖畔で起こっている騒ぎが観光スポットを一気に台無しにする。。。
「「セイッ!」」
「「セイッ!」」
と規則正しい掛け声と共に、剣を振り下ろす姿の剣士達。
皆同じ道着のようなものを身に付け、一心不乱に剣を何度も振り下ろす。その数ざっと見渡す限り100人はくだらないだろう。
「あれか?剣咲流の修行現場に鉢合わせってか?」
「間違いなくそうだろうな。」
「まぁ、違ったとしたら逆に怖いしな…」
「あれって、いつまでやってるのかな?他の人達もゆっくり出来ないよね…。」
どう見ても今さっき始まったって感じでも無いから、そのうち帰るだろうとは思うけど、正直絵的にしんどいっす…。旨い食べ物に綺麗な景色、新しい街でのワクワクドキドキなんてモノが瞬間的に消え去ったわ…。
何が楽しくて汗だくで剣を振り下ろしてる奴等を傍目に観光しなきゃなんねぇんだよ。しかも後ほど先日の件で諸々あること分かってるのに、まさかのフライングだぜ、、、
「にしても、凄ぇな、男女問わずってのもそうだけど、年齢層もバラバラだ。さすが本拠地って感じだな。」
「ふむ、今あそこで修練を積んでる者達の実力は、軍の剣士には程遠いが、それでも剣筋は真っ直ぐで綺麗だ。もう少し鍛錬していけば直ぐにでも剣士を名乗れる程だな。」
なるへそ、って事は今あそこに居るのは門下生というか、見習い剣士達なんだなー。あんなに多くの人達が見習いって事は、本部に行ったら、実力者がゴロゴロ居るって事か…
先日の夜の時も、かなりの人数で行動してたし、もしかしたら門下生自体も、もっと大勢居るのかもしれないな。
『いやいや、アレではまだまだでゴザルよ。』
ん?誰だ?
ふと振り返ると、そこには1人の男が立っていた。
俺より一回りは大きな体格は、一言で表すなら肥満体型だと言える、そして薄く赤みのかかった髪の毛を眉毛の上で切りそろえた、見事なるオカッパ頭。光る眼鏡はサイズが合ってないのか、若干左右非対称。道行く人達とは明らかに違う奇抜なファッション。緑を基調とした雨合羽のようなマント。
かなり危なそうなイメージしか無いんだけど。誰だよコイツ。
「えっと…どちら様ですかね??」
「おっと、いきなり声を掛けてしまいました。是は失礼をば。拙者、名をジン・スターフィルと申します、知人からは名を長い事からジンと呼ばれております故に、気軽にそう呼んで頂ければ光栄です。」
おぉ、いきなり距離詰めてくるな。
話し方もなんか変だし。
目の前のジンは、ズレている眼鏡を直しながら早口で自己紹介を済ませる。
「あぁ、俺はマガミ・ユウ、んでこっちがネオン、そしてルビィだ。」
さらりと2人を紹介する。
「…スターフィル?」
「ん?ルビィ知ってるのか?」
「いや、何でもない。私の気のせいだろう。」
「これはこれは丁寧にありがとう御座います。拙者この見た目故に、なかなか人と話す機会に恵まれていない訳でして、我が日課でもある『剣咲流』の稽古観察の場にて、偶然にも同士である貴方を発見してしまい、つい気持ちが昂ぶってしまいました。」
「ちょ、待て待て、同士って?え?何?」
「ややや???マガミ殿は『剣咲流』の稽古を見に来た訳では?」
「んにゃ、俺達は観光がてら湖畔に来たんだけど、たまたま剣咲流の稽古現場だったってだけで、見に来た訳じゃないぜ?」
そんな俺の言葉にポカーンと口を開けたまま固まってるジン。と思いきや自身の発言を思い出し急に赤面し、その後血の気が引いたように真っ青になる。
なかなか面白い。
「こっ、こっ、こっ」
「こ?」
「これはっ!!たっ大変失礼しましたっ!拙者てっきり…」
あたふたしながら急に謝りだす小太りの男にルビィもネオンも若干引いてる。
「ねぇ、ユウ。この人ちょっと苦手かも。」
「奇遇だなネオン。私も少し苦手意識が…」
「うん、2人に同意だ、このタイプの奴は直ぐに暴走するぞ、方向の違うクラリスタイプだ。」
自分の感覚で周りを巻き込むタイプだな。
「いやはや、拙者のとんでもない勘違い御勘弁を。してマガミ殿ルビィ殿ネオン殿、お三方は観光と仰ってましたが、実際この現場を見て何か思われましたか?特にあの剣士達の一糸乱れぬ素振りも、然る事ながら。使っている剣!まだまだ門下生というのにアレ程の剣は連合軍の兵士ですらなかなか持てない一品ですぞ?大体市場価格でみてもかなりの値段が付くのは間違いありませんな。ちなみに首都ケアルランドで取り引きされている一般的な剣を基準としても倍程の価値があると思われます、もちろん!首都には今門下生が使ってる剣以上の業物も数多く存在していますが、それでもそれでも!平均的に見て彼等の使っている剣が一般以上というのが伝わって頂ければ何よりです。まぁ、かと言って一般的な剣を語りだすと鍛冶屋の方々も諸々言い出す故に、ここらで止めておくのが丁度良いかと…。」
「おぉう、そ、そうだな。」
「分かって頂けて何より!なかなか見る目がありますなマガミ殿!ちなみにちなみになんですが、彼所で監督役をしている方が持っている剣は、剣咲流の称号を与えられた正規の剣士が持つことを許された魔剣。いやー、遠目にも見られて拙者本日もここへ来た甲斐があったと言うモノ…さらに付け加えますと、、、、」
ヤバイ、止まらないぞ。
チラリと隣を見るが、ルビィもネオンもドン引きレベルだ。これは察しの悪い俺でも分かる。
未だに目の前でペラペラ剣について語るこのジンと言う男だけど…うーん、不思議だ何故だか親近感が湧いてしまう。
なんだろう、懐かしいというか、なんというか、何か思い出しそうなんだが、、、それを引き換えにここに滞在するのは嫁達が耐え切れそうにない気がする。
「な、なぁジン。」
「であるからして、今の形になったのが…っと、どうしましたか?マガミ殿。」
「あ、語ってくれてるところ悪いんだけど、俺達これからまだ見て回るところあるし、此処いらで失礼しようかなーって。。」
「おぉそうでしたか!これは申し訳ない。拙者つい熱くなってしまったようで。」
「あー、いや、まぁ、気にしないでくれ、そ、それじゃぁな。」
とそそくさとルビィとネオンを連れて湖畔から離れる。
ジンは最後まで俺達に手を振っていたが、これ以上は危ない。あんな濃い奴に絡まれたら精神的に疲れてしまう。
…
「ふぅー。色々と凄かったな。」
「あの手の奴は苦手だ。」
「悪い奴じゃないんだけど、途中から何言ってるか分からなくなってくるからな、あぁいうのは適当に切り上げるのが大事。」
アレだ、ヲタクだ。
俺もそこそこ二次元には精通していたから何となく分かるが、ジンはガチ勢だな、好きなモノに対する情熱故に、喋りが止まらないヤツだ。うん。なんだろ、先ほどのモヤモヤがスッと晴れたようだ。
「とりあえず、他も見ていこうぜ、どうせ宿に行っても今日中には進展も無さそうだしな。」
「そうだね!もう少し湖も見たかったけど、他の景色も見たいかも。」
ネオンはそう言いながら俺の右手を握る。
うーん、可愛いクッソ、なんだこの生き物は。俺を殺す新しい暗殺者…の下りは毎回の事だな…。
ニコニコしながらブンブンと俺の右腕ごと手を振りながら歩くネオン。
「ユウ…少し良いか?」
「ん?どうした?ルビィ。」
湖からそこそこ歩いた街道で、ふいにルビィが立ち止まる。
ふと、ルビィの目線の先を見ると、古ぼけた道具屋みたいな建物だ。
「ここがどうかしたのか?」
「うむ、少し気になったというか、私の感覚に何か引っかかるというか…。」
「この建物か?それとも中に何かあるのか?」
「いや、ハッキリとは分からないが、確かめてみたいのだが、構わないか?」
「まぁ、別に急ぎの用もないしな、寄ってこうぜ、良いよなネオン。」
「うん、なんかワクワクするねっ。」
そう言いながら目の前の建物へと足を運ぶ。
看板には『古道具屋』と書かれている。ぱっと見ただの道具屋だな、でもルビィが言うには何かありそうな感じ…か。
キィ…
と、古めかしい木の扉を押して店内へと入る。
店内は独特な匂いというか、古びた埃っぽさが鼻につく感じだが、品揃えは新品から珍品まで、店内を埋め尽くす程置いてある。俗に言う雑貨屋みたいな感じだな。
しかし、棚の陳列には統一性が無く、ペティーナイフの横に水のクリスタルだの、水差しの隣に盾が置いてあったり、本当にバラバラだ。
「なんか、ゴチャゴチャしてんな。」
「そうだね、でも、宝探しみたいで面白いかも。」
「ネオンはポジティブだな、でも宝探しは目的があるから成立するんだぜ?特に用も無いのにフラッと立ち寄った店内がこれじゃぁ何屋か分かんねぇよ。なぁ、ルビィ。」
「…。」
「ん?どうした?ルビィ。」
然程広くない店内を見渡し終えた後、一点をすっと見つめるルビィ。
「ユウ…すまないが、あの剣を見てもらっても良いか?」
そう言いながら、奥の棚に無雑作に飾られてる剣を指差すルビィ。
見るっても、普通の剣…
って、そうか魔眼で視るってことね。
「ちょいと待ってな、えっと、、、」
意識を眼に集中させながら剣をジッと見つめる。
うーん、コレと言って不思議な流れは視えないな。でもルビィには何か気になるみたいなところあるって言ってたし、、何なんだ?あの剣は、、
「特にコレと言って何も視えないな。何か気になるのか?」
「いや、私の勘違い…か?いやしかし。」
うーん、何やら俺まで気になってきたぞ。
「あのー、ちょっと聞いても良いですか?」
と店内に何時の間にか鎮座している、店の老人に話し掛ける。
「ん?何じゃ若いの、何かお探しかね?」
「あ、いや、奥の棚に飾ってある剣なんだけど、アレって…」
「ん?あぁ、あの剣か、アレは売り物じゃないんじゃよ。」
売り物じゃない?何でまた飾ってあるんだ?
まぁ、一応聞いておくか。
「あ、いや、別に特別欲しいとかじゃなく少し気になったんだけど、あの剣はどうして売り物じゃないのに飾ってあるんだ?」
「あぁ、そうかい、アレはとある客の要望でな、あそこに飾ってあるんじゃよ。」
「要望で?」
「まぁお得意様なので無下には出来なくての、正直ワシもあの剣の価値は分からん。」
価値も分かんない剣を飾ってくれと?絶対何かあるでしょそれ。
ヤバい気になる。
「って事らしいけど、どうするルビィ?見せてもらうか?」
「ふむ、ユウの眼にも何も視えなかったのだが、今ひとつ気になるな…。店主、すまないが、あの剣を手に取って見ても構わないか?」
「おぉ、それは構わんよ。ちょいと待っておれ。」
のらりくらりと奥に飾ってある剣をルビィへと渡す店主。
手渡された剣を鞘から引き抜きジッと見つめるルビィ。
剣自体はキレイな両刃の、どこにでもありそうな1本剣だ。
「やはり…そうか。」
「ん?何か分かったのか?」
「あぁ、スッキリした。なるほどな…私の感覚に引っ掛かる訳か…。」
どうやらルビィ的には納得いく理由が見つかったようで何より。まぁ、俺からしたら何がなんだか…。
「店主、この剣の所有者は今どこに?」
「彼奴なら、毎日街をウロついておるよ、そのうちここにも顔を出すはずじゃ、何か伝言でも頼まれようか?」
「いや、大丈夫だ。すまないな、変なことを聞いてしまった。」
「なぁに、お主のような美人に願われて嫌な事などあるかい、また何かあればいつでも来なさい。」
ふふっと微笑みながら店主に剣を返すルビィ。
「んで?結局何だったんだ?あの剣は。」
「あぁ、昔私が使っていた剣だ。」
「えっ?」
「柄の部分に特徴的な窪みがあってな、それで気付いたんだが、しかし随分昔の剣だが、何故こんなところに…。」
ルビィの昔使っていた剣、か。凄い偶然だな。そしてそれを飾ってくれと言ってたヤツも気になるけど…。
「邪魔したな、また機会があれば立ち寄らせてもらう。」
「あぁ、いつでもおいで。」
そう言って店内から外へ出る俺達。
薄暗い店内から外の光が俺の両目を痛いくらいに刺激する。
「いやー、眩しいねぇ、しっかし、凄い偶然だな。そしてルビィもよく気付いたもんだよ。」
「なんとなくの感覚だったんだがな、まぁ今となってはこの剣が1番しっくりくるが。」
チャキッと、愛用のロングソードに手を掛けるルビィ。
「俺もそろそろ愛用の剣とか探してみようかなー。コレもなんだかんだ言ってぶら下げたまんまだけど、禄に使ってないしな。」
封印の地で、稽古用にルビィから借りてる剣。
双頭の狼空いてくらいしか出番ないんだよなぁコレ。
シグマとのいざこざでもクラリスから借りた剣持ってたから使わなかったし、、
「ユウはもう少し腕前を上げてからだな。良い剣だけでは意味は無いぞ?」
「うへぇ、まーたルビィ先生のお稽古ですか、、」
「ふふっ、いつでも教えてやるぞ?」
「しばらくは遠慮しとくわ、最近物騒続きだったし、もう少しスローライフを満喫したいんだよ。」
いつ奴等が来るかも分からねぇからな、楽しめる今を大事にしなきゃ。
「まぁ、ユウは私が守るしな。」
「私もー!」
「くぅーっ!男として情けないけど、2人ともエグいくらいに最強だから何にも言えねぇ!!」
いつになれば「俺が守ってやんよっ!」とか言えるのか…この2人相手にそんな事一生言える気がしないな。あ、ネオンには言ってたっけ。
「さぁて、まだ時間もあるし、ブラブラの続きしますかー。ネオンはどっか気になるとこないか?湖はもう少し後にしても、丘の上からの景色とか、あっちの賑わってるとことか色々楽しそうだぞ?」
「うーん、迷うー。あ、でもでも!酒場には行ってみたいかも!」
「え?酒場?」
「うんっ!別にお酒飲みたいんじゃなくて、なんか見てみたいっていうか、、、ダメ?かな?」
そんな顔で言われて、ダメなわけあるかーい!
「意外過ぎて少しびっくりだったけど、ネオンが行きたいなら全然問題なしっ!ルビィも良いよな?」
「あぁ私は大丈夫だ。というか、少しばかり地元の酒を仕入れて行くのも有りだな。」
「おっ、さすがノリが良いねぇー、んじゃ行こうぜ、多分さっき通って来た道沿いにあると思うから。」
来た道の屋台が並んでた辺りに、それっぽいのあったし、あそこら辺まで戻れば何軒か建っているだろう。
それにしても、酒場ねぇ。ネオンはまた面白いところ行きたがるな…。
まぁ、お姫様には珍しいとこだしな。俺も嫌いじゃないし。
という訳で、俺達3人は元来た道を戻りつつ酒場を目指す。
道中もくだらない話で盛り上がりながら、のんびりとした空気を満喫していた。
…ドンッ
「っと、スミマセン。」
道中よそ見していた俺に、誰かがぶつかる。
「いや、こっちこそ、悪いなよそ見していた。」
細身の身体に、痩せこけた顔。手には物々しいオブジェの付いた杖を持っている男。術士のようなローブを纏いながら、軽く頭を下げる仕草に俺もつられて頭を下げる。
「それこそ、こっちも前を確認していなかったんだ、怪我はないか?」
「そんな気にするなよ、女連れに絡むほど腐っちゃいねぇさ、お互い怪我がなくて何よりだ。」
なかなか感じの良さそうな男、だけど顔色悪いなー。ちゃんと飯食ってるのか?
「ま、まぁ、んじゃぁ特に何も無かったんで、俺達はこれで。」
「悪いな兄さんの大事な時間を…。時間ってのは有限だ、楽しめる内に楽しんでおかなきゃな。」
そう言いながら去っていく男。
少しばかり気になる事言ってたけど、特に問題無くて良かったぜ、だいたいお決まりパターンだと、チンピラが絡んで肩がー、骨がーの流れになるかと思ったけど、現実はこんなもんよな。
チラリと後ろを振り返ると、先ほどの男に駆け寄る女性の姿が見えた。
大方相方とはぐれてたのかな?なんて考えながら俺達は何事も無かったように酒場を目指す。
…
「ちょっとぉ!やっと見つけましたよ!イーグ様っ!勝手にどこか行かないで下さい!」
「うるせぇな、タカユキ様の予想とは言え、こんなとこに魔眼持ちの2人は居ねぇよ、それよりアクアの伝手でここまで来たんだ、剣咲流の本部へ行くぞ。」
「もう、本部はそっちじゃないですよぅ。しかも一般人と接触してるし、、思いっきりぶつかってましたよねっ???
あーぁ、今の人の身体どれくらい触れました?ほんの一瞬程度なら1分間くらいは大丈夫かなぁ…。大方、そのうち倒れて騒ぎになって、結局ドタバタするんだよなぁ…。はぁ…」
「いやまぁ、、あの兄さんには悪い事しちまったな。ちょいと余所見してたら、うっかり避けそこなっちまった。。けど、仕方ねぇさ、こんなクソみてぇな連合国で生きてるのが悪い。それに冥土の土産程度には謝罪しといたしな。
ていうか、本部ってどこだよ?」
「いや、ですから私が案内しようとしていたのにイーグ様が勝手に1人で行ってしまうので、、」
「お前がチンタラしてるからだろ?まったく、、ビシャスのヤツはどこで何してんだ?お前と一緒に来るはずだったろうが。」
「ぇぇ!?ですからぁっ、何回も言ってるじゃないですかぁ!ビシャス様は後ほど合流されるみたいですよぉって、、何しろ四聖将の皆様がバラバラに世界中飛ばされる事態になってしまってから、もう帝国の上層部皆さん色々大変みたいで…。まぁ私もですけどぉ。」
「へっ!レイスの野郎が魔王討伐を急いだせいだぜ、もう少し楽にイケると思ったんだけど、話と違い過ぎた、ありゃぁ正真正銘の化物よ。。もう少し、念入りに作戦でも練って行けばこんな目に合わずにすんだのによ、、くそっ!」
「それで…イーグ様、話は変わりますが、私、詳しく聞いてないのですが、剣咲流の本部には何か用事なのでしょうか?」
「あぁ、奴等との交渉だ。コチラに引き入れる事が出来れば、かなりの戦力、いや、新世界への創造へまた一歩近づく。んでもって、もし交渉が決裂しても、未来の敵は早めに叩いておかなきゃだろ?」
「そ、それは、かなり重大任務です、ね。で、でも、なぜ私が…」
「お前はクラリスとかカレンとか面識あるだろ?もしも奴等がここに居た時の為の保険だよ。まぁ俺は向こうの顔なんて1人も分かんねぇんからな、ビシャスが来るまで標的なんていても素通りだぜ?だからせめてお前を、って訳だ。」
「あぁ、そういう事ですか、ええ、確かに面識はあります。けど、クラリスさんはともかく、カレンさんは本当に危険ですからね、エナが使えなくても本当に危険ですからねっ!」
「物騒な二つ名持ってるからな…危険なのは知ってるけどよ、そこまで警戒するもんか?」
「当たり前じゃないですか、私達術士では一瞬でスパーンッですよ、スパーンッ!」
「ふーん、まぁ、この街を発った後なのか、まだ到着してないか分からねぇが、クラリスとカレンを見つけたら即報告な。」
「ふーんって、私の言ってる事信用してませんね?本当に危険ですからねっ!」
「わーったから、ギャーギャー耳元で騒ぐな『死神』の名前が泣くぜ?」
「それっ!私が言ってる訳じゃないですからぁ!…軍に居た時に、皆が勝手に呼んでただけで、私は納得してないんですからね。そもそもですよ?こんな、うら若き乙女を捕まえて『死神』なんて酷くないですか?二つ名の前に親が泣いてますよぉ。」
「はっ、、何年生きてるんだよ。中身はババァだろが。」
「ちょっ!聞こえてますよっ!取り消しを進言しますー!!」
「それにしても、三英傑と魔王の娘も一緒か…。『混血の魔女』ね…同じ術士として興味があるぜ。俺とどっちが上かね…」
「そこは一緒に居る可能性があるだけで、確定では無いですからね?
それと、本っ当に油断しないで下さいね、いくらシグマ四聖将『聖級』とはいえ、相手は魔王の血筋ですから。」
「はっ、魔王のヤバさは身を以て知ってるさ。それに匹敵する水聖もいるんだろ?魔眼使いの2人に魔王の娘。なかなかシビれる展開になりそうだな。」
「私個人的には、水聖とは絶っ対に逢いたくないんだけどなぁ…。」
東聖大陸国境線『カミノ』の街。
ネオシグマ帝国の脅威が再び放たれようとしていた。




