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ここではないどこかへ  作者: ししまる
第四章 異世界 ~聖地~
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68話 カミノの街

 



 カリキを出発してから街道をひたすら進むこと数日、俺達の目の前には、第一の目的地【アイ湖】が見えてきた。

 小高い丘からゆっくり下るように【アイ湖】まで延びる街道、その様に思わず息をのむ。


 眼前に広がる青。

 空の青色と水の青が視界を2色に染め上げる。

 果てしなく広がる湖は、まるで海のように広く対岸など見えるはずもなく、ひたすら続く水平線。湖畔に栄える町すら小さく見える。


「いや、凄えな、これホントに湖かよ…」


 思わず言葉が漏れるが無理もない。

 対岸が見えないのも然る事ながら、視界に映る全てが湖なのだ。というか、この規模なら海って呼べるだろ。


「うわぁ…綺麗だね。」


 白い髪の毛を風に靡かせながら、馬車の窓からヒョッコリ顔を出すネオン。


「いや、ホント絶景だ。ネオンの国には、こういう感じの名所は無いのか?」

「魔大陸も大きな湖はあるけど、自然に出来たヤツじゃないらしいから、なんか違うかも…」

「自然に出来たヤツじゃないらしい…か。確かに、この景色は自然の力をビシバシ感じるな、まさにビバ!自然ってヤツだ。」

「よく分かんないけど、自然に感謝だね。」



 いまいち要領を得ない顔で頷くネオンと外の景色を堪能する。

 テンションマックスで丘の上から見る馬鹿でかい湖も、目的地へ近くなるにつれ徐々に感動が薄れて行くのは、まぁしゃーない。

 むしろまだ着かないのか…


 目を凝らせて街道を追うが、湖畔の町へと続いているように見える…続いているんだろうが、その程度しか分からない。即ちまだまだ距離は有る。


「逸る気持ちは分かるけど、まだまだ掛かりそうだな。」

「そうだね、湖の町って何があるかなー?楽しみだよ。」

「よし、余裕あったら、うまいもの巡りしようぜ!観光も楽しまなきゃだ、気ぃ張ってても保たないし、少しリラックスしようぜ!!」



 どうせ先日の奴等が絡んでくるイベントも確定してるだろうし、ある意味退屈はしないだろうな。

 というか、目的地は封印の地だし、ここにはあくまでも立ち寄るってのを忘れるとこだったぜ。いかんいかん、観光じゃないぞ!気を付けろ俺。

 でも少しくらいなら良いよね?どうせクラリス様からグチグチ言われるだろうけど、息抜き必要だし、ネオンもせっかく色んなとこ見られるチャンスだし、やっぱり俺が観光堪能したいし。






 馬車に揺られながら街道を進み【アイ湖】湖畔の街【カミノ】へと辿り着く。

 カミノの街は巨大な塀に囲まれており、入り口と思われる門には沢山の待ち人の姿が見える。


 勿論俺達もその待ち人の群れへ向かう訳だ。クラリス様くらいになれば顔パスもあるかなー、とか思ったが例の「剣咲流」の本拠地で大きな顔もしないだろう。多分。


「んーっ!!っぷぁー!!!」


 馬車から降り、身体を伸ばす。自然に声が出てしまうのは何故だろうか。

 他の面々もすっかり固まった身体を解すようにストレッチ運動をしている。流石に旅慣れしていても、馬車の中に缶詰めは身体に悪いよな。


「さて、私は列に並んでくるが…」


 チラリと俺とカレンの方を見ながら何か言いたそうなクラリス様。


「何もしねぇよ、まだ中にすら入ってねぇだろが。」

「ふん、ユウとカレンには言っても無駄だが、一応釘は刺しておかないとな。いいか、くれぐれも問題は起こすな。」

「カレンも?」


 いや、むしろお前が問題児なんだよカレンちゃん。


 へいへい。と片手を振りながらクラリスを見送る。スネ夫とオヤジもクラリスの後を付いていき、門から少し離れた場所で残された俺達は待つことになる。


 ただ大人しく待つのも性に合わないので、近くの塀へと足を運ぶ。




「うーん、しかしこの塀はデカいなー。『結界柱』くらいの高さあるんじゃねぇか?」


 目の前に立ちはだかる巨大な壁、高さはそれこそ10メートルはあるだろう、人が簡単に飛び越えられる大きさじゃないのは一目瞭然だ。灰色を基調とした壮大な建造物はまるで刑務所を連想させるけど、コレを乗り越える勇気はねぇな。


「ここカミノは昔、戦の拠点でもあったからな、その名残だ。」



 と俺の横で塀を見上げながら応えるルビィ。


「んでもよ、陸は囲まれてるけど、湖側から攻め込まれたら意味ないよな、コレ。」

「ふふ、確かにな。だがこの【アイ湖】を渡るのは中々難しいぞ?対岸は『シグマ』の地だが、お互い攻め倦ねて今の現状なのだ。」

「確かに…。長いこと争ってるのに、この形に落ち着いてるって事は、そういう事なんだな。」


 うんうん。と納得しながら何の変哲もない塀を見上げる。ちょっと首が疲れてきたぞ。

 視線を落とし、塀と地面、そして門へと並ぶ人達を見ながら無駄な時間を過ごす。

 今後の旅の物資の補給や、経路確認もあるし、今日急ぎで立つ訳でもないから、そこまで焦りは無いけども、中に入れないというストレスは中々しんどい。ネオンやマナは平気そうだけど、ライナスは既に暇を持て余してるように見える。というか完全にダレている。



 …ん?


 ふと、ネオン達が集まっているすぐ近くの塀。その壁にモヤッとした違和感が視えた。


 今のは…まさか…

 見間違い?いや、そんなはずはない、アレは間違いなく…



「マナ!塀を視てくれっ!」



 俺と同じようにエナが視る事ができるマナへ、咄嗟に声を上げる。



「ぇ、何よ急に…」


 と否定的な目を向けられるが、俺の真剣な面で冗談ではないと察してくれたのだろう、直ぐに塀を視るマナ。

 たが俺が視たモヤは既に消えている。ほんの一瞬の出来事だったが、確かにあの違和感には覚えがある。


 元の世界で視えた『ゲート』

 そして封印の地に聳え立つ4本の『結界柱』


 間違いなく何かしらのエナが関係している事は明らかだ。


「あそこら辺で今確かにエナの流れがあったんだ。」

「…うーん…私には何も視えないわよ?」

「見間違え…いや、でも…」


 そんな俺達のやり取りにライナスとネオンも、何かを察したのか近寄り状況を確かめに来る。


「ユウの眼で何か見えたの?」

「あ、あぁ…封印の地で見たような、なんて言うか違和感って感じのが壁の方で一瞬…な。」


「視る事が出来ない俺が言うのもアレなんだがよ、見間違いって事は無いのか?ババァはたまに見間違えとかしてたぜ?」

「ライナス。後で裏に来なさい。」

「あ、違っ、今のは、つい本音が、、」

「へぇ?語るに堕ちるとは、この事ね。ちょっと人より裂けてるその口を縫い付けてあげるわ。」

「ちょっ…目がマジじゃねぇか!っておぃっ!!!落ち着け!!!」



 そんな事を言いながら全力疾走で逃げるライナスと、それを追い掛けるマナ。2人のやり取りを見て、先ほどの緊張感は一気に吹き飛んだけど、どこかにモヤモヤとした引っ掛かりを残したまま、俺は街への入場を待っていた。









 …







 着々と進む列にクラリス達が流れて行く迄に30分くらい掛かっただろうか、ルビィとネオンの3人で街の名物を想像したり、明日からの予定を話したりしていたので、それ程長くは感じなかったが、並んでる連中には退屈な時間だっただろうと、遠くから眺めながらしみじみ思う。


 昔から遊園地とかのアトラクションに並ぶ事すら嫌いだったしな…行列の出来る店なんか以ての外、そんな俺には並ぶのは拷問と一緒だぜ。

 いや、待てよ。今後ルビィやネオンに子供が産まれたら、パパとしては並んで待つのも…


「ねぇ…ルビィ。ユウがまた変な顔してるよ?」

「アレは何か妄想している時の顔だな。」

「くっ、正解だけどさ。変な顔とか言うなよ、正解だけどさ。」


 相変わらず辛口の嫁2人。

 そこまで変な顔じゃないよね?あれ?もしかして俺って普通以下通り越して不細工部類なの?ちょっと自信無くなってきたぞ?





「おーい、ボンズー。準備出来たらそろそろ中に入るぞー!!」



 門の方からスネ夫が何か言ってる。

 とりあえず皆連れて来いと言うニュアンスなんだろ?分かってるよ、このパーティーを纏めるのは俺しかいませんよね。



「おっし!ルビィ、ネオン行こうぜ、あとカレンもそろそろ起こしてやるか…あとは、アッチからライナスだったモノを回収して…っと。」

「おい、普通に生きてるからな。勝手に残骸にすんなよ。」


 背後から五体満足なライナスが口を挟む。


「おお、マナ相手によく生き延びたな、とりあえず無事でなにより、もう入れるみたいだから行こうぜ?」

「あのねぇ、私を何だと思ってるのよ、流石に命までは取らないわよ。」

「いや、普通に死にかけたんだが。」


 いつの間にか現れたマナに一歩退きながら、ネオンの影に隠れるライナス王。いったいマナのお仕置きとは…まぁ深く考えたら薮蛇だから突っ込む事は止めておこう。


 そんな面子を引き連れ、門へ向かう。


 クラリス達の先導の元(カレンの寝ている)馬車を引きながら門をくぐり抜けると、目の前に広がる光景は、情緒溢れる彩り豊かな街並みだった。

 湖を半円で囲むように造られた塀の中に広がる賑やかな街並み。遠目から見ていたから知ってはいたが、屋根は赤やオレンジを基調としたヨーロッパ風な家の造りだ。【カリキ】でも似たような色を使っていたけど、ここまでではない気がする。港町と湖畔の違いなのか?

 因みに【ケアルランド】は青が基調となっていたけど。



「ふぉー。これまた賑わってるなー。」

「この湖のおかげで他の国境付近の街よりは安全故に商業が盛んだからな。賑わってるのも無理は無い。」

「ん?って事は何かルビィ、この湖の向こうはシグマなんだろ?って事は、この先立ち寄る街ってのは殆ど国境付近で警戒態勢みたいな感じなのか?」

「そこまでではないと思うが、まぁここ最近私も連合国内を見て回ってないしな。というか、元々ここまで来るのも珍しいと言うか…うむ…そんなところだ。」



 あ、自らの職務怠慢を認めたな。



「おい、ユウ、ルビィ様に代わり私が答えよう。」

「へいへい、頼みますよ。クラリス元副長様。」


「国境線付近はザンザスやファルコもそうだが第3部隊が見廻りをしているが、ここカミノは比較的安全な土地であるのは間違いないだろう。」

「ほほー。その理由ってのは?」

「まず、ルビィ様も仰っていた通り、広大な湖を渡って攻めて来る事が稀…いや、先日カリキの件も有るから一概には言えんが、陸上よりは遙かに攻めにくいのが1つ。そしてもう1つは、連合国屈指の戦力がここカミノに本拠地を構えていることだな。」


 あぁ…『剣咲流』の皆さんか。


「んでも『剣咲流』の本部があるなら、他の国とかに居る奴等も普通にスパイとかで潜入出来そうじゃねぇか?現に『剣聖アクア』なんて奴もシグマに居たんだぜ?」

「確かにその可能性は否定出来んが、基本的に『剣咲流』は連合国の軍という訳でも無いからな、かといって本部があるこの街を脅かすような輩を招くような事もしないだろうが…。」

「あまり自信なさげだな。」

「いくら連合国とはえ、全てを把握出来ている訳でも無いからな。」


 確かにね、どこにでも不安の種はある訳で。


「それよりも、この後はどうするんだ?たしか旅の予定では1~2泊して、その間になんたらーだった気がしたけど。」

「うむ、私はこの後立ち寄る地域への通行証の発行手続きだな、それがどの程度の時間にもよるが、まぁ1~2泊程度の滞在となるだろう。」

「おっし、期待はしてなかったけど、充分観光は楽しめそうだな。」

「何度も言うが、くれぐれも問題を起こすなよ。」

「それこそ何度も言うけど、俺は問題起こしてる気はさらさらねぇからなっ!!!」


 うん、間違いない。とは言い切れない。

 大丈夫、今回はルビィにネオンも居るんだから、暴走はしないで済みそうだ。引率のクラリス先生も、たまには休ませてやらんとね、大変ですね、問題児を連れてると。





「さぁ!安いよ、安いよー!」

「いらっしゃい!焼きたてだよっ!買ってきな!」

「はい!お待ちどおさまっ!お次はっ?何人前だいっ?」

「西の港で有名な串焼きはいかがですか?」

「採れたて新鮮だよー!」



 街の至るところから活気ある声が飛び交う、そんな街並みをただ歩いて通過するわけもなく、フラリと目に付いた屋台に足を運ぶネオン…。


「まったく、仕方無い…ユウも行くか?」


 そんなネオンの引率ルビィが俺に指差す方向、即ちネオンが引き寄せられていた屋台に目を向ける。


「なっ!ま、マジかよ…。」

「ん?どうしたのだ?」


 あまりの事に俺は思わず声を上げてしまう。それもそのはず、その屋台にデカデカと書かれている商品名もさることながら、所狭しと建ち並ぶ屋台、その一画の中に見覚えのある面が…


「いや、ちょっと疲れてるのかもしれない…。」

「ふむ、あぁ…なるほどな。ユウが何か言いたいのか分かった気がするぞ…。」


 苦笑しながら屋台に目を向けるルビィ。

 ここまで条件が揃ってしまえば、俺の見間違えじゃないって事がハッキリ分かる。

 はぁ。と小さくため息を付きながら、ネオンの後を追い掛け屋台へと顔を出す。



「いらっしゃいませ。西の港で有名な『英雄の串焼き』はいかがですか?1度食べたらクセになる味間違いなし!2号店を記念して今なら10本買うとチケットが1枚付いてきます。チケットは10枚集めると、なんと串焼き3本無料です。」


「よう…チボル。何やってんだよ。そして還元率が微妙だ、改善しろ。」


 そう、目の前の屋台にはデカデカと『英雄の串焼き』と書かれた文字、そしてその屋台で串焼きを焼いてるのが、カリキで妙な縁のある、サイ面が印象的なチボルだった。


「おや?これはこれはまた珍しいお客様ですね、こんなところでお逢いできるとは…。」

「その台詞そのまま返すよ、何やってんだよカリキで繁盛してたんじゃねぇのか?いつの間に2号店とか出店してんだよ。」

「ふふふ、愚問ですねマガミさん、カリキで繁盛したからこそ更にこの味を広める為、カミノで2号店を出店したのですよ。」

「それにしても早過ぎだろ、お前瞬間移動とか転移とか出来んのかよ。」


 つい先日マナミ屋敷で盛大にパーティーしていたのは、記憶に新しい。俺達より早くカミノに到着して2号店を出してるなんて夢にも思わない訳で…


「商売人たるもの、フットワークの軽さが大事ですからね。」


 どう見ても重たそうな身体で、ウインクをキメるサイ面の店主にイラッとしてしまう。


「ん、まぁ、、お前の串焼きは食い飽きたし、他のところにしようぜネオン、他に食いたい物ないか?」

「ちょっ、、マガミさん?それは酷くないですかねっ!?」

「事実だ、正直絶品なのは認めるがカリキで散々食った味だ、それなら他の料理も食ってみたいと思うのは普通だろ?」

「ふふ、言いましたね、他の味、そう言いましたね?」

「いや、他の料理って言ったんだけど。」

「そんな事もあろうかとっ!このチボル・トダ!秘伝の製法以外にも用意しましたっ!!ご先祖様には申し訳ないですが、私の挑戦の意味も込めて創り出された新たなる味!!コレを2号店の目玉として私はこの串焼き人生を謳歌しますよ!」

「いや、熱く語ってるとこ悪いんだけど、後ろにお客さん来てるぞ?」


 チラリと振り返ると何人か並び始めた。

 まぁ、ホントに串焼きは旨いから繁盛するのは分かるけどね。


「あっ…い、いらっしゃいませ、『英雄の串焼き』へようこそ、何本ご入り用ですか??」


「んじゃな、また機会があれば顔出すわ、行こうぜルビィ、ネオン。」

「うん、またねーマスター。」

「すまんな、また会おう。」


「あっ、ちょっと、皆さんっ!  あ、少々お待ちくださぃ…」


 後列の客に飲まれていくチボルを傍目に、建ち並ぶ屋台や店を見回す。とりあえず、ちょっと小腹程度に入れられる物とかがベストなんだけどなぁ…。ネオンはともかく、ルビィとかアホみたいに食うから、小腹程度がどの程度って話になるしな。



「あっ、ユウ!あそこは?」

「んー?おっ、なんか面白そうだな、なになに『海戦屋』って書いてあるのか?海戦って、海鮮って事なのかね?」

「ほぅ、なかなか興味深い看板だな、よし、行ってみるか。」


 とまぁ、慣れ親しんだ串焼きよりも、目新しいモノへと俺達3人は歩き出す。

 因みにマナやライナス、クラリス、カレン(寝てるはず)の面々は、寄り道せずに宿の手配や、通行証の手続きへと向かって行った。




「いらっしゃい!何にするかい?」

「ちわ、俺は初めて来たんだけど、何かオススメとかあればお願いしたいかなー?因みにここって何を売ってるんだ?」

「ウチは湖で捕れる魚介類をメインに、焼き物、炒め物、スープってとこだな!まぁ、海の幸ってよか、湖の幸ってとこだ。」

「へぇー、旨そうだな。ちなみに店の名前の由来は?海戦って書いてあるけど…。」


「あぁ、昔の名残だ。その昔は、ここ【アイ湖】は海だと思われててな、その当時のいざこざで戦があって、それが海戦って呼ばれていたってわけさ、最も今じゃ湖ってことも当たり前になっちまったし、未だに海戦ってのもどうかと思うけどな、一応代々やってんだ、名前はそのまま使わせてもらってるぜ!それに、あんた達みたいに興味本位の客も来てくれるしな。」


 ほほー。なるほどね。確かに目の前の湖を海と勘違いってのは分かるな、昔の名残ね、封印の地でもなんかそれらしい本に書いてあった気がするな。


「んじゃ、俺は海老のスープをもらおうかな。」

「ふむ、では私はそこの炒め物を二皿ほど、、」

「2人とも決めるの早いよー、えっと、じゃぁこの『海戦煮込み』を下さい。」


「はいよっ!!んじゃ、サクッと用意するから、ちょっと待っててくれよな。見ての通り1人でやってるもんでよ、お代は釣りが出ないように出してくれると助かるぜ。」

「オッケー、んと、全部でピッタリ銅銭1枚か、、なかなかリーズナブルだな。」


 というかチボルのとこが高いのか?1本鉄銭2枚だしな。。

 まぁ、この世界の物価基準がおかしいのは今に始まった事じゃないから、敢えてツッコまないけどさ、、、


 衣・食・住の中でぶっちぎりで安いのが食だもんな。

 適当な宿屋で銀銭1枚とか聞いた時には驚いたわ、カリキのマナミ屋敷とか、ケアルランドの王城とか、1泊いくらだよって話だ。

 んでもって、衣もヤベェ。まぁこれは装備品とか特別な細工がしてあるモノが主流だから仕方ないけど、普通の肌着でさえ銀銭1枚が軽く飛んで行く…。

 買い食いばかりしていた俺の感覚的に、銀銭1枚は一万円くらいの価値だと思ってたから、食以外の物価基準が違い過ぎるのにはかなり驚いた。



「はいよ、お待たせ!」

「ありがとさん、会計はそこ置いておくぜ。」

「確かに、また来てくれよな。」


 海戦屋の店主から商品を受け取り、近場の椅子に腰掛けながら、買ってきた料理に舌鼓。

 もちろん、ルビィの炒め物も、ネオンの煮込みも、チョイパクしながら、のんびりと過ごす。


 そよそよと吹く風が心地よく、海辺とは違った水の匂いを運んでくる。



「さてと、腹ごしらえも済んだし、ウロウロしますかな?」

「そうだな、夕飯まで時間もあるし、丁度良いな。」

「湖の方とか行ってみたい!!」

「おっ!さすがネオン。やっぱりそうだよなー、この広大な景観を目の前でしっかり納めなきゃだせ。」

「よし、では宿の場所だけ確認してから湖畔へと向かうとしよう。」



 そう言いながら、俺達はのんびりとカミノの街を堪能すべく、湖畔へ足を運んでいった。


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