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ここではないどこかへ  作者: ししまる
第三章 異世界 ~首都~
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55話 かけがえのない時

 









ケアルランドで開かれた連合国の定例会、五王と賢人会、種族の重役、軍の幹部等、様々な人達が会場で議論を述べる会議に、俺達も不本意ながら参戦していた、今回の目玉とも言える魔族との『親和条約』の結び直しは海人族が連合国入りするという前代未聞の案により可決され、ネオンは自由の身となる。まぁルビィの護衛は継続だが俺的には都合が良い。


 なんとか他の議題も難なく終わり、定例会は幕を閉じた。









 …








 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 









 …







「で?なんでこんな事になってるんだ?」



 目の前では数え切れない程の酒瓶がテーブルを埋め尽くす、ここまでの酒瓶を空けた犯人、いや犯人達は、そんな事構わず次の酒へと手を伸ばす…



「まぁ、そんな事言ってないでユウも飲みましょう!」


 と、相変わらずハイペースで飲み続けるマナ…


「このような美女を肴に飲む酒は、嘸かし美酒であろうに…」


 そんなマナに負けずとも劣らないペースでカブ飲みを続ける木王アイリーン…


「しかし木王の持つ酒はどれも美味だな…これなら少し身体を動かしてからの方が、良く染みるかもしれんな…。」


 んでもって、アイリーンの自慢の酒を一緒にグビグビ飲むルビィ。

 いつぞやエナ切れまで外で暴れてたのを考えると今すぐ止めなきゃいけないんだが…まぁケアルランド内でそこまで無茶しないだろう。というか、しないでくれ!


「ユウは飲まないの?」


 そう言って俺の腕にしがみついて離れない可愛い美少女はネオン。

 どうやら隣の部屋で飲んでいるヨラムの絡みから逃げて来たらしい…。



 …



『け、け、結婚んんんん!!!!!???』

『そうだよ、叔父さん、私ユウのお嫁さんになったの。』

『お、お、ち、おち、落ち着けネオンディアナ!ユウ…ってのはマガミだよな??』

『そうだよ?』

『お、お、お、お、おーーーーーいいい!!!!!マガミィィィ!!!!!話が有るっ!ちょっと来いっっっ!!!!!!』




 …



 と、まぁここから小一時間ヨラム叔父さんから説教を受けたんだが、多少の誤解もあったみたいで、俺達は健全な関係だ!と言い切ると大人しくなった…

 その後は、姪っ子が嫁に行くのが寂しいのかなんなのか知らんが、ずっーとネオンに絡み続けていたんだが、、、ネオンがここに居るって事は上手く逃げて来たんだな。


 チラッと隣の部屋を見ると、スネ夫に何やらぶつくさぼやいているのが見える…

 すまんなスネ夫、しばらくヨラム師匠に付き合ってやってくれ。


 隣の部屋の端っこでは、オヤジが獣王ライザックに接待している姿がある。

 相変わらず似合わない事してるなオヤジは…。




「さて…こんだけ広い部屋でも酒飲みばかりだと酒臭さが充満してくるぜ…ネオン、少し風に当たりに行くか?」

「うん!」




 そう言って、部屋の窓からバルコニーへと移動する。



「ありゃ?先客か…って、カレン。」



 バルコニーの手すりに座り、夜空を見上げるカレン…

 ここ何階か知らないけど良い子が真似する様な事をしないでくれ。


「あ、ユウちゃん!それにネオン!」

「いよう!良い風吹いてるな…。」

「カレンも風に当たってたのー?」


 そう言いながらカレンの横にピョンと座るネオン。

 ほら見ろ、良い子が真似してしまった。




「おい2人とも危ないぞ、下に降りなさい。」


「ふふっお父さんみたいだよユウ…」

「ホントだ、なんか可笑しいね。」



 ったく、誰がお父さんだ。

 ってかネオンとカレン、見た目は本当に同年代にしか見えないな…実年齢はさておきだが…。



「ユウちゃんは飲んでないの?」


「ん?まぁ少しだけ飲んだけどな、要介護が何人か居るかもしれないから、一応まだ深酒しないでおこうと思ってな…。」


「皆お酒好きだからね…」

「カレンもこの後いっぱい飲むよ-。」


 クスクス笑いながらネオンが呟くと、カレンも一緒にクスクスと笑う。

 いつの間にか仲良くなってるんだもんな、俺の知らないところで何があったのやら…

 ま、お互い波長が合ったってのもあるのかな。



「そういえばさ、なんでユウちゃんと結婚したの?」

「えっ!えぇっ!?急にどうしたの?」


 おい、本人の居る前でガールズトーク始めるなよ…。ネオンがチラチラこっち見ながら困ってるじゃねぇかよ。



「なんかいいなぁって…ルビィちゃんもユウちゃんも大好きだから、ネオンが羨ましいんだ。」

「そっかー…モテモテだなぁユウは…。」



「本人目の前にして、何話してんだよ、ったく、俺は中に戻るぞ。」



 と言い捨てて、そそくさ中へ戻る。

 さすがに恥ずかし過ぎる!カレン的には恋愛感情とかそういうのじゃ無く言ってくれてるのは分かるんだけど、なんか照れくさいからな…。








 …








 ふぅ。

 ようやく一人か…

 特別一人が好きな訳じゃないけど、なんか久しぶりな気がするぜ。

 特に宛てもないけど、城内をぶらつくのも悪くないな。





 酒臭い部屋を素通りして、廊下に出てプラプラ歩きだす。




 長い廊下には幾つもの扉があり、中からは誰かしらの話し声が聞こえてくる。


 定例会も終わって、皆さん話したい事も多いだろうしな…。








「何故ですか!クラリス様っ!」




 ん?

 クラリス?それにこの声は…


 ふと歩いていると目の前から、聞き覚えのある声が外に漏れる。

 てか声がデカいわ…。



 コンコン…




「おーい、邪魔するぜ…って、あらら。」



 大方下らない言い争いだろうと、何も考え無しに扉を開いた俺は後悔した。


 広い部屋の中には連合国軍の鎧に身を包んだ兵士や術士が多数立ち並びながら、先頭集団に向かっている。

 そこに見ず知らずの男が勝手に入ってきた図の完成だ。


 まいったな、完全に場違いだった。




「む?マガミか?」



 先頭集団の一人、木王アイリーンの側近、護衛隊長ルーメイが俺に気付き声を掛ける…。



「よ、ようルーメイ、お前のデカい声が聞こえたからよ、つい覗いてしまったけど、取り込み中みたいだな。」




「ん?なんだ、ユウか…こんなところで何をしている?ルビィ様の護衛はどうしたのだ?」



 同じく先頭集団の一人、連合国軍副長クラリス…



「あ、いや、ちょっと休憩中に廊下歩いてたら、クラリスの名前をルーメイが大声で叫ぶもんだから何事かと思ってな…」





 ザワザワと俺の顔を見ながら、兵士や術士が呟く。

「あの者は?」

「お二人に、なんという口の利き方だ!」

「要人関係か?それにしては…」

「クラリス様とルーメイ様を呼び捨て?何者だ?」


 はいはい、もう聞き慣れたぜ。



「なんか、忙しそうだし…また後でな…。」




 完全なるKYを発揮したまま、その場を去ろうとしたその時…

 またしても聞き覚えのある声が聞こえる。





「おいおいおーい!待て待て!!そこのお前には話があるから、そこで止まれ!」





 うっわぁー、もうケアルランド来てから連日このアホに絡まれてるよ…本当呪いみたいだな。



「なんだよ、特隊のお偉いさんが俺に何か用か?」



 そう、特隊のアホ代表エルマさんに毎度の事ながら絡まれる不運な俺。

 よく見たら何人かは特隊の鎧に身を纏ってるな…。





「今クラリス副長…いや、元副長か!その除名処分を発表したところだ!てめえも何だかんだシグマ容疑を逃れたらしいが、俺は認めねぇ!それに先日の女共にも用があるんだ!いいか!そこを動くなよ!!」


「また無茶苦茶言ってんな、お前が認めなくても定例会では認められたんだよ。

 てかさクラリス…コイツどうにか出来ないのかよ?毎度毎度迷惑極まりないぜ…。」


「そうなのか?おい…エルマよ、その者は私の部下だ、今の貴様の命には従わぬ故、話があるなら後日改めろ。」



 と助け船を出してくれたのは有難いが、このアホには通じないんだろうな…むしろもっとイチャモン付けて来そうな流れだぞこれは…。



「はっはぁー!アンタはもう俺の上司じゃ無くなったんだぜ?クラリスさんよ?いくら元副長の命とはいえども、俺様に楯突くゴミを放置する事は出来ねぇなぁ!」

「そうかならば命令はしないでおこう。しかしユウが貴様に楯突いたのには、なにか理由があっての事ではないのか?ユウはあぁ見えて、そこそこになかなかな感じだぞ?」


「おい、俺の説明が雑過ぎるだろ。

 エルマさんよ、お前定例会でネオンとルビィ見てたんじゃねぇのかよ?今言っていた女共って2人の事だろ?」


 コイツは本当に何を言ってるんだろうな…

 飯屋での事を根に持ってるのは分かるんだが、ネオンとルビィにも用があるって…何する気だよ。

 てかクラリスを前にルビィの名前はマズかったかな…いや…このアホがどうなろうと関係無いわ。



「あいにく、俺様は休養中で定例会には参加出来なかったんでな!!そのネオンとルビィって…あ?ネオン…?…ルビィ?」


 何かピンと来たのか、エルマの口上がピタリと止まる。



「エルマよ、今のマガミの話と照らし合わせると、お前が用があると言っているのは、ネオンディアナ子女と水聖ルビィの2人だと思われるが…」



 ルーメイの一言に、バッと振り向き顔を真っ青に染める芸達者なエルマさん。

 ガチガチと歯を鳴らしながら冷や汗交じりの表情で俺に問い掛ける。



「な、あ、あの時の、女共が?子女と水聖…だ…と?」

「まぁ、あの時は黙ってたけど、そうだよ。

 てかお前、定例会来てなかったのかよ。」

「馬鹿なっ!!恐怖の対象があの女ぁっ!?アレが水聖…しかしあの人間離れした動き…確かに…いやしかし…」



 おやや?何かを察したのか、ブツブツと呟いているぞ?

 というか、今のエルマの一言に誰一人驚いて無いのは皆定例会でのルビィの姿を見ていたからなんだよな…

 なんで皆教えてやらないんだよ、どんだけ人望無いんだコイツは…。





「エルマよ?私から少し聞きたい事があるのだが良いか?」


「なんだぁ? ……っっ!」


 不意にエルマの背後からそう言い放つクラリス様、そのお顔はとても健やかな笑顔で、今から人を痛めつけるようには見えませんでした。


 あの『闘女王の微笑(命名ルーメイ)』に俺達も心底恐怖したのは先日の事…。

 しこたまボコられたのは記憶に新しいな…。





「まぁ、此方へ…」

「ちょっ!てめぇ!離せ…っててて!!!」


 抵抗するエルマの肩を掴みながら奥の小部屋へと消えるクラリス…






 バコンッ!ガタンッ!



 と複数回物音が聞こえた後に、クラリスが何事も無かった顔で戻ってくる。


 奥の小部屋で何があったかは知らないが、多分新鮮な肉塊が1つ精製されたのは容易に想像出来る。





 …




「さて、あの馬鹿者は放っておいて構わん、先程の話に戻ろうか。

 皆の者よ、私はこの度連合国軍副長の座を降りる事となった。それにより新たに私の任を引き継いでもらう者を後日選任されると思うが、快く迎え入れてやってくれ!そして、ここに来ていない各地の幹部には各々伝えてもらえると助かる。」


 なるへそ、ここで冒頭のルーメイの大声に戻る訳か…。

 しかし部屋の中の兵士や術士の人達の顔を見る限り、クラリス以外に適任者なんて居ないって感じだがなぁ…

 それこそアホがしゃしゃり出る始末になるし…




「く、クラリス様は本当に副長の座を降りるのですか!?」

「我等は何があろうと、クラリス様に付いて行きますぞ!」

「貴殿以外に連合国軍を纏め上げる者など存在致しませぬ!何卒お考え直しを!」



 聞いてて気持ちの良い人望だな。

 んでもクラリスの一存で残留出来る訳でも無いし、定例会での決めごとだ、流石に覆せないだろうな。



「皆の気持ちは嬉しいが、コレは私の蒔いた種、しかと受け入れる。しかしながら今後の軍の方針や様々な案件には助言役として参加出来るようオルタナ王から恩赦は頂いているので、心配はするな…ただ役職名が変わる、それだけの事…皆は今まで通り連合国の為忠義を尽くしてくれ!」


「「「はっ!かしこまりました!」」」



 と一斉に膝を付きクラリスに跪く一同…。

 隣の小部屋で肉塊になった人の部下も一緒に跪いてる姿を見ると、やっぱりクラリスの凄さが改めて分かるな。




「よい…皆、表を上げ楽にしてくれ。

 さて…本日の定例会は無事に終わったのだ、そろそろ我等連合国軍も宴にしようではないか!!外の宿舎の者達には悪いが、ここでは無礼講!大いに楽しもうぞ!」


 そう言いながら、どこから持ち出したか分からない酒をグビグビ飲みだすクラリス…

 それに続いて部屋の人々は宴を始める…。


 定例会の議題や、最近の連合国の様子等、様々な話が飛び交う部屋はまさに宴状態だ。

 各要人関係が集まる定例会が無事に終わった喜びを、皆で大いに盛り上がる様子は正直見ていて心地良いもんだ。


 まぁタカユキの襲撃さえ無ければ、もっと気持ち良く盛り上がったんだろうけどな。












 …












 ふいー、結局なんだかんだ長居してしまった。

 ルーメイも今夜はアイリーンの元には戻らないって言ってたし、クラリスも珍しくリラックスして飲んでたな。


 ワイワイと盛り上がる部屋を後に廊下で一息。


 さて…今度こそのんびり城内散策しますかねー、今夜はどこの部屋も酒塗れだし飲みたくなったら、そこら辺に乱入すれば良いか…。



 バタバタと各部屋に料理や飲み物を運ぶ使用人を横目に、ゆっくりと歩を進める。






 しかし色んな事があったなぁ。


 半年前くらいか…。

 この世界に来て、色々手掛かりを探して…

 んでもって封印の地から旅立ち。

 マルティアで、カレン、オヤジ、スネ夫と合流。

 カリキでは何回も死にかけた。

 ライデンからキョウコの話を聞いた。

 ようやく辿り着いたここケアルランドでマナと再会。

 タカユキとの遣り取り。

 ルビィとネオンと結婚。

 元の世界への手掛かりは少しだけ見つかった、けど先は長そうだな。


 いや、濃いなぁ。

 1年経ってないのに3年分くらいの人生経験してるんじゃねえのかコレ。


 色々な憶測や考えもあるけど、今1番考えなきゃなのは俺がどこから来て、そして何者なのか、真実を見極めなきゃだな。

 タカユキとの話に感化された訳じゃないけど、どうしても頭から離れない…

 この世界の成り立ちと俺達元の世界の人間の関係…か…。


 今夜みたいに盛り上がってる人々を見ていて、その根源に俺達元の世界の人間が関わっているなんて…とてもじゃないけど信じられないな。



 この世界…



 不思議な力や、様々な能力、術。

 どれもこれも異世界満載なんだけど意外と住めば都って事なんだな、最近は慣れが強い。

 まぁ、家庭を築き始めてしまった今では本格的にこの世界で腰を下ろしても構わないって感じなんだけどな。


 なんて…

 マナが聞いたらまた寂しそうな顔するんだろうな。



 普通の生活…か…。



 いったいなんなんだろうな、この世界は。

 今後の事もそうだけど、解明出来るところは解明したいな、元の世界への手掛かりだって探したい。

 ネオンとルビィにも俺の居た世界を見せてやりたい。


 その為後日マナと封印の地へ舞い戻らなきゃ、マナなら俺の知らない真実を見つけてくれるかもしれない。

 新しい真実がどんなに辛くても乗り切らなきゃな…

 ポジティブが俺の売りだし、そこは気合入れてなんとかするぜ!













『何をブツブツ言ってるのだ?』









 毎度の事ながら独り言を呟いていた俺に、何とも言えない安心感のある声が頭を通り抜ける。


 ピンク色交じりの金髪を靡かせながら、ゆっくりと俺の方へ歩いてくる姿を見ると何故だか心底嬉しくなる。

 金色に染まる瞳は酒のせいか少しトローンと閉じているが、しっかりと俺を見据えている。








「よう、ルビィ。酒盛りはもう良いのか?」

「ふふふっ、気付いたらユウが居なくてな、少々席を外しているのだ。」


「あれま、俺を探しに来たのか…そいつは悪いことしたな…。」

「なに、丁度新鮮な空気を吸いたいと思っていた頃だったのだ。それにユウは放っておいたら何処かへ行ってしまいそうだからな…」

「まぁ、実際宴会場から何処か行っちゃったしな。」



 下らないやりとりをしながら、城の外へと続くスロープへ、ルビィと2人で歩く。













「何を考えていたのだ?」

「ん?まぁ今までの経緯とか、これからとか、あとルビィの事とか?」

「ふふっ、口の上手いところは相変わらずだな…」


 ニヤニヤしながら、スロープの脇に腰掛けるルビィ…

 どこ吹く優しい風が、ルビィの奇麗な髪の毛を揺らすと、普段隠れているルビィの左側の素顔が見える。




「なぁルビィ…その頬の傷って…」

「ん?あぁ、随分昔に苦戦した事があってな…その時のモノだ…やはり気になるのか?顔に傷がある女は……」

「馬鹿言ってんじゃねぇよ、そんなもん今更気にするかよ、ルビィは俺の嫁だぞ!気に食わないとこなんて無いからな!」


「ッ!」





 顔を真っ赤にしながら目を丸くするルビィ。

 勢い任せになかなかキザな台詞を吐いてしまった事に俺も気付き少し照れ臭い…。






「ん、まぁアレだ…。ルビィ相手に傷を負わせるような奴が居たって事が驚きだったな、うん。」


「酔ってる私を、更に熱くさせるな!ふーっ。」



 パタパタと顔を扇ぐルビィ…

 なんだかわざとらしいけど、まぁ突っ込みは無しにしておこう。








「して…ユウ。この1ヶ月、私達と離れてる間に他の者達と随分仲良さげにしていたみたいだが?」

「まぁ、それなりにコミュニケーション能力は、あるからな。」

「カレンやマナとも仲が良さそうだが?カレンとは何やら深い関係らしいと聞いたぞ?」


 ややっ?コレは何か誤解してますかね?

 それにしてもルビィって意外とヤキモチ焼きなんだな…。


「何も無いって、ったく心配性だな……ほれ。」


 とルビィの手を取って頭の近くに持って行く。



「何?を?」

「久しぶりに意識通信してくれよ、隠し事なんてしてないって分かるぜ?」



 まぁこんな事しなくてもルビィは分かってくれるだろうけどな。

 久々にあの不思議な感覚を味わうのも悪くないかな…





 なんて事を考えながら目を閉じてルビィの術を待つ。
















「ん!」
















 フワリと良い香りが脳を巡る。

その心地良さを頭ご理解するのと同時…




突如俺の唇に、柔らかい感触が訪れる。


 





その柔らかい感触は直ぐに離れてしまう。







目を開くと、ルビィの顔がすぐそこにあった。


突然のルビィからの口づけ…


いきなりの事に呼吸を忘れる程の衝撃だ。





 当の本人の顔は今まで見たことないくらいに真っ赤に染まり、なんとも言えない表情で俺の反応を覗っている。






「ぷはっ、、、ずいぶんいきなりだな。」


「ふ、夫婦なのだ!これくらいは普通であろう!」

「その割に顔が真っ赤だぞ。」




 そっとルビィの顔に触れると、本当に凄い熱だ。







「な、なんだ!?顔の事は気にしないと言ってたではないか!」

「ちょ、話の論点がズレてるけど、まぁいいよっ!っと…。」

「なっ……!?」


 


グイッとルビィを引き寄せ、背中越しに抱きしめる。





「うん、柔らかい。」

「ばっ!なっ何を!?」

「嫌なら止めるぞ?…なんてな、止めないけど…。」

「う、うむ、嫌な訳無い……が、恥ずかしいものだな…。」



 後ろから抱きしめてるだけなんだが、腕に重量感のある胸が乗っかってる…

 いや、この胸が柔らかいって言ったんじゃないんだけどな…。




 ルビィの身体が思ってた以上に柔らかくて思わず声に出たってところだ、もっと筋肉にまみれた引き締まった身体だと思ってたんだがな…。







「ユウ…。」

「ん?どうした?」

「私は…幸せだぞ。」

「奇遇だな、俺もだ…」

「ふふっ…。」

「ははっ…。」







 特に何か言いたい訳でも、したい訳でもない、ただルビィと2人で居るこの時間が幸せってのは俺の個人的感想だと思っていたが、目の前のルビィも同じ気持ちでいてくれる。

 それだけで意味の無い笑みがこぼれてくる、それは俺だけじゃなく、ルビィも同じ気持ちなんだなってのが分かるから、余計にルビィが愛おしくなる不思議。



 はぁー、コレがリア充ってやつか…。

 なかなか良いもんだな。







「で?俺の疑いは晴れたのかな?」

「そんなことはどうでも良い!大切なのは今この時だ!」

「やれやれ、さっきまで完全にヤキモチ焼いてたじゃねぇかよ…。」

「それは、もう良いのだ!何度も言わせるな!」


 





そうやって声を荒げるが、俺の腕の中からピクリとも動かないルビィに可愛さを感じてしまい、またクスクス笑ってしまう。


 まったくもって、何をどう間違えたらルビィが恐怖の対象になるんだ?

 俺が知らないだけなのかもしれないが、少し人付き合いが苦手で戦闘力高い美人な剣士って……うーん、やっぱり恐いのかな?

 この娘がねぇ?








「おい、ユウ…また変な事を考えてないか?」

「ホント俺の事分かってるな!びっくりだよ!」

「妻だからな!夫の事くらい造作もないぞ。」







 妻とか夫とか、その言語を聞くとムズ痒い感覚だぜ、結婚ってこういうものなのかな…

 


もう1人の嫁に見つかったら、それはそれでヤキモチ焼くんだろうな…








 何気ない夜空をルビィと2人見上げる。





 随分前に見た星空と変わらない、この世界の夜空はとても綺麗で、星の輝きと月の灯りが俺とルビィのかけがえのない時を照らしていてくれた…。





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