50話 小さな再会
ケアルランドを襲った謎の術、その膨大な範囲内に居た人達は、その場に倒れ意識を失い眠ってしまった。
甚大なる被害は、東聖大陸の北の国ネオシグマ帝国によるものだと知った俺達は、元凶とも言える人物と対峙する。
ネオシグマ帝国には、俺やマナと同じく元の世界から来ていた人物タカユキが居た。
タカユキはネオクリスタルの力を使い様々な研究のため長年この世界に留まっているらしい、俺やマナの知らない過去を知る人物に度々追い詰められるが、なんとか撃退に成功する。
事が済んだ後、元に戻ったケアルランドで木人族女王アイリーンへの報告の最中、人王オルタナと連合国軍副長クラリスと再開を果たす。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「あー、くそっ、もう動けないぜ。」
ケアルランド城外演習場のど真ん中で空を見上げる俺。
痛てて…
んの野郎、模擬剣とはいえ、思いっきり叩きやがって…
ルーメイなんて3回転くらいしながら壁に飛ばされてたじゃないかよ…
「さて、ユウよ。話をしようか?」
「話そうとしたらクラリスがいきなりタコ殴りにしてきたんだろがっ!」
「そうだったか?私はあまり記憶に無いがな…ユウがそう言うならそうなのかもしれんな。」
そう言いながら、俺を見下ろす連合国軍副長クラリス。
アイリーンの部屋から連れ出された俺と、アイリーンの側近ルーメイはクラリスの摂関タイムに付き合わされていた…。
「ちっ、ルビィと逢ったら覚えておけよ!」
「ふふふふ…ユウ。まだどこか悪いところが在るようだな、私が叩き直してやろうか?」
地雷踏んだー!!
もう…反抗する力もねぇよ、口は災いの元ってよく言ったもんだぜチクショウ。
…
「さて、ユウよ。話をしようか?」
「クラリスと話してると変なループに入ること多すぎだわ…。」
「また訳の分からん事を…」
「何回も謝ってるけど、今回クラリスに黙ってたのは、俺得とかクラリス損とかじゃねぇから、お前の体調とか魔族絡みとか色々あって言いそびれてたの!!」
「まぁ、その点はオルタナ様から多少なり聞いている。まさか封印の地にネオンディアナ子女がいらっしゃったとはな…ルビィ様が彼処に籠もっていた訳がようやく理解出来た。」
そこまで聞いてたんなら何でここまでボコボコにされたんだよ、このクソ、クラリス!いやクソリスがっ!
「何か言ったか?」
「いえいえ!何も!?」
危なく命を丸投げするとこだった…。
「んで?」
「ん?」
「惚けるなよ、わざわざ演習場まで連れて来て、ただ俺とルーメイをボコる為だけじゃないんだろ?」
そうなんだよな。
クラリスがアイリーンの部屋を出る時に何か変な感じがしたんだよな。
「ふむ、いやなに、明日ルビィ様と逢えるなら服装は派手目より大人っぽい感じが良いか少し考えていてな…。」
「おい!クソリス!マジでふざけんなよ!」
「誰がクソリスだっ!まぁ本音は置いておいてだ。」
本音かよ!置いとくなよ!放り投げろそんな本音は!
「ユウ…ネオンディアナ様の件、ユウの他に誰が知っている?」
「ん?ネオンの事は、スネ夫とオヤジ、それにカレンには少しだけ話したかな?後は誰にも言ってないぜ?あ、ヨラムとオルタナは別だけどな。」
「そうか…」
「ネオンがどうかしたのか?」
「此度の定例会、連合の魔族達を排除したいと思ってる国もあり、その議題もあるのだ、、、以前にも魔族の連合国入りはなにかと問題があったしな…。」
「カリキでは過激派の魔族も暴れてたしな…。」
「簡単に言ってしまえばそういう事だな。」
「んで?魔族からも連合国からもネオンが狙われてるって事か?」
「公式ではこちらが魔族の姫を人質として預かっている、それ故に魔族は人族に手を出せない。この話は知っているな?」
「勿論だ、大戦抑止の為に魔王とか考えたんだろ?んで、それを守ってるのがルビィってな。」
「ふむ。」
と少し考えながら、寝ているというか気絶しているルーメイの元へと歩き出すクラリス。
「ルーメイ起きろ。」
「はっ!ここはっ!」
「目が覚めたか?」
「クラリス様っ!!」
目を覚ますなり、姿勢を正すルーメイ…
「木王アイリーン様は、ルビィ様の来訪は存じていたか?」
「…。私的な判断で申し訳ありませんが、多分存じ上げないと思います。」
「そうか、ルーメイ…今言ったことは連合国軍の機密事項だ、例え王であろうと漏洩は許さぬ、分かったな?」
「はっ!かしこまりました!」
アイリーンには気付かれて無いってとこか、まぁ他に危険な輩も現れないだろうし、心配しすぎだよクラリスは…。
「クラリス、言ってもルビィとネオンの2人だぜ?そこいらの敵なんて相手にならないって、心配すんなよ。」
「ユウ…貴様低脳なのか?仮に敵無しのお二方だろうと、返り討ちにした事実があることが問題に発展するのだ。なので出来る限りルビィ様やネオンディアナ子女へ危害が及ばないように私が密に動いているのが何故分からん?」
「ん、馬鹿にされたけど、ちゃんと説明してくれてありがてぇわ。確かにな…。迂闊に手を出したら反魔族派の思うつぼか…。」
「それだけでは無い!魔族は今回のプレーリー王子の件でも怒り心頭なのだぞ!?もう少し事態を重く捉えろ!!」
「う…確かに言うとおりです。すみません。」
いつもアホな事ばかり言ってた変人クラリスにマジ説教されてる…おかしい、いやコレが本来の有るべきクラリスの姿なんだよな。
「ところでユウよ、明日ルビィ様に逢った時でも良いのだが、メルカイザーの居場所を聞いておいてくれないか?」
「は?何でだよ…。」
「またいつルビィ様と離れるか分からんからな、その前に早く術を組み込んで……
っ!いや、忘れろなんでもない。」
「おい、もう遅ぇよ…。」
少しでも見直した俺がバカだった…
いや、クラリスはコレが通常運転なのを忘れていた。
真面目な時は無理してるんだな。うん、きっとそうだ。
「ともかくだっ!明日到着のルビィ様とネオンディアナ子女に粗相の無いようにしておかないとな!」
「てかさ、明日来るのは確定なのか?」
「ん?ユウはそれを知っていたからカリキを出発したのではないのか?」
「いや、定例会が2日後だろ?その前には着くかなーとか、そういうレベルだぞ?」
オルタナやヨラムとかと話してても、詳しくこの日に来るなんて知らなかったしな。
「オルタナ様の予想では定例会前日には到着する予定だ。」
「ちょっと待て、予想じゃねぇかよ。ルビィとかネオンなんて時間にルーズなんだから下手したら当日の可能性もあるんだぞ?」
「ならば、なぜユウは私達と共にカリキを出なかったのだ?ん?」
う、あわよくば出し抜こうって考えがバレバレだな…。
「へいへい、俺が悪ぅござんした、、、んじゃ明日ルビィ達がケアルランドに来る前には起こしてくれ、俺はもう眠いからな…。」
「おい、何処へ行くつもりだ?」
「あん?宿舎に戻るよ、さっきアイリーンから施しを請けて寝床は確保してあるんだ。」
カレン達も、もう寝てると思うけど、俺の寝床くらいは空いているだろう…。
「お前は私と同じく城内の部屋で就寝しろ、明日の起床の時間には迎えに行く。」
「マジ?冗談で言ったのにしかも城内とか待遇良いな、おい。」
「話を聞く限り、お前達が街中を彷徨くのは良くないからな。あと、アイリーン様と一緒に居るユウの同郷の者も、そちらに通しておけ。」
「マナも泊まって良いのか?」
「今回の功績も兼ねてだろうな…。私はまだユウからの話にしか聞いてないが、なかなか良い働きをしてくれたのは確かだ、尚且つ木王の客人を蔑ろには出来んからな。」
マナは客人というより、アイリーンに絡み酒しに行っただけなんだけどな…
そういう事なら、さっさと酔っ払いを連れて部屋に行きますかね。
クラリス様の説教タイムが終わり、ようやく長かった1日が終わろうとしている。
というか、多分もう日は跨いでるんだろうな…。
…
後ほど、クラリスとアイリーンの居た部屋へ戻ると、ベロベロに酔っ払ったオルタナが、マナとアイリーンに酒を勧められていた。
あんな酒を飲み続けて元気な女性2人と違い、人族の王様は終電帰りのオッサンみたいに頭をフラフラさせながら訳の分からない話に付き合わされている。
どうにもこうにもならない状況だが、俺は無理矢理マナを連れ出し、クラリスはオルタナを連れ出し、ルーメイはアイリーンの相手をさせ、その場をなんとか凌ぎきった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
…
そんなこんなで、翌日。
起こしに来るクラリスよりも、先に目覚め軽い朝食を済ませたんだが、一向に迎えが来ない。
扉向こうの兵士に話を聞くと、色々とバタついているからそれまでは部屋から出るなと言われ、仕方なく待機しているのだが…
「あーホント遅いな…何やってんだよクラリスの奴…。
てかさ、アイリーンと凄え盛り上がってたけど、何話してたんだ?」
「別にたわいもない話よ?」
「例えば?」
「連合国の戦力の問題とか、明日の定例会の話とか、良い男の条件とか色々よ…。」
なんか政治的話からのシフトが凄いな…
「話戻すけどさ、結局ゲートシステムの問題って何なんだ?一方的干渉ってのは分かったんだが…。」
「簡単に言ってしまえば、掃除機よ。吸い込む事は出来ても吐き出す事は出来ないでしょ?そして無理矢理中の物を取ろうとすると他の物まで全部出て来ちゃうのは分かるわよね?」
「滅茶苦茶分かり易いな!んじゃ結局なんで、俺達はこの世界の掃除機に吸い込まれたんだ?」
「そこはまだ謎ね。タカユキも分かってないみたいだし。」
「そうだよな…原因が謎なんだよな…。そういやマナはさ、タカユキの術受けた後って何か思い出したのか?」
俺の時は意味の分からない言葉の応酬だった…。
「うーん、私の失っていた記憶はあの一瞬で相当戻って来た…と思う、でも今となっては朧気だけどね…それでも残っている懐かしさっていうのかしらね、それはあるわ…。」
「懐かしさか…。なぁタカユキの言ってた俺の罪って何か思い出したか?」
「今は何も覚えて無いけど、あの時は全部思い出した…意識を取り戻した後に、ゆっくりとまた頭から抜けるように記憶は流れて行ったけどね、、、だけどユウに対する嫌悪感や憎しみは一切感じなかった、そう思うわ。」
「やっぱりタカユキが適当言ってたって事か…。あの野郎。」
「でも…。」
「ん?」
「覚えて無いけど、タカユキと話してた事を、あの一瞬は納得してしまったの…」
「どういう事だ?」
「分からないけど…あの時は確かに『あぁ、そういう事なんだ…』って思ってしまったのよ。」
一瞬とはいえ、記憶の戻ったマナ。
その膨大な量の全てを覚えてる訳も無いけど、本人的には何か残ってるんだろうな。
「まぁこんなところね、ユウは?何か思い出したとこないの?」
「俺に関しては思い出すとかじゃなくてさ、映像なんて無く音声だけが永遠と流れてる感じだったぜ?」
「音声だけ?」
「何か話してたんだけど、それこそ内容なんて覚えちゃいないな…でも、話してるシーンは飛び飛びだった気がするな。」
「ユウの記憶に映像が無いってどういうことかしら?」
「さぁな、マナの記憶は俺に対して嫌悪感は無くて、俺の記憶は知らない音声だけ、タカユキの思惑通りにはならなかった、それだけは確かだな。」
「記憶を元に戻すはずなのに、音声だけ…何か引っかかるわね。」
「細かく気にしてたらキリが無えよ、とにかく今回は2人とも無事で良かったじゃねぇかよ。」
頭パンクするとか言われてたし、正直今までで1番恐ろしかったわ…
「あ、あと、マナも治癒使えたんだな、助かったぜ。」
「あれは治癒じゃなくて、緩和の術、ケアルランドに展開してたのと一緒よ…」
「そうか、てっきり治癒の術も組み込まれてたのかと思ったぜ。」
「そもそもその考えが違うわね、ネオクリスタルは元々たくさんの術が組み込まれているのよ。それの引き出し方が難しいの。治癒の術も使えるはずよ、、多分…。」
パソコンみたいなもんか?
元々のスペックは使う人次第みたいな…。
「んじゃぁ、ケアルランド全域に放った術も、普通のクリスタルでイケちゃうのか?」
「そこがネオクリスタルの違うところよ、普通のクリスタルでは効果は1つだけ、ネオクリスタルは複数の効果を織り交ぜて使えるの、だからあんな事が出来るのよ。因みに私が使ったのは『範囲拡大』と『効果緩和』と『効力増大』とかその辺ね。」
「よくよく考えたら、本当におっかねぇなソレ。マナの持ってるので、結構な術式が詰め込んであるなら、封印の地のネオクリスタルなんてとんでもないじゃねぇかよ…。」
「あれは規格外よ…でもおかげさまでタカユキを出し抜けるわね。」
「その話なんだけどよ、マナは封印の地に入れないじゃねぇか、何か方法があるのか?それともネオクリスタルの扱いは俺がやるのか?」
昨日タカユキ相手に啖呵切ってたマナ。
他に方法が無いならやっぱり俺なんだよな…。
「方法ね…一応賭けの要素が強いけどあるわ。」
「はぁ…」
「問題はそれをする事によってタカユキに知られる事ね…生憎今は結界が張ってあるからタカユキには封印の地での事は分からないんだけど…」
とブツブツ独り言を始めるマナ。
まぁ、なんにせよ方法があるなら良かったぜ、てか、また彼処に戻るのか…
今後はルビィもネオンも居ないんだよな…それはそれで寂しいというか、なんというか…。
「…っと!聞いてるの!?」
「うん?ゴメン、少し考え事してたわ、何だっけ?」
「全く、良い?今回の定例会が終わったら、何としても水聖ルビィを封印の地に同行しなさいっていう話よ!」
「ん?ルビィを?何でまた?」
「とりあえずの保険もあるけど、、、いえ、いずれ分かるわ。」
「なんかよく分からないけど、話はしておくよ。」
どうやら寂しい想いはしなくて良さそうだぜ。
てか、ルビィだけってなると結構難易度高いな…諸々付いて来そうなイメージ…というか絶対付いてくるだろな、あの2人は確実に。
…
コンコン…
と扉からノックが聞こえる。
クラリスめ、ようやく来たか…。
「入ってますよー、どぞー。」
とふざけた返事をすると、ゆっくりと扉が開く。
次の瞬間、黒い影が俺目掛けて体当たりを仕掛ける…
「うぉぉぉっっっ!!!????」
と、突然のタックルに押し倒される。
ガラガラとテーブルと椅子を倒しながらも、何とか受け身を取れたのは奇跡的だ。
「痛ててて…何だよいきなりっ……」
急なタックルから起き上がり何が起きたのか確認する俺は言葉に詰まる。
タックルを仕掛けた主が俺の上に覆い被さりながら満面の笑みを浮かべている。
そう、たった1ヶ月しか離れてないのに随分と懐かしさ溢れるその瞳は紅と紺のオッドアイ、忘れもしない笑顔だ。
「ネオンッ!!!!」
「ふふふ、驚いた?久しぶりだねユウ!」
「え!?ちょっ!声!?」
「ん?あ、そうか、私喋れるよ。」
初めて聞くネオンの生声は、想像していたよりも幼く透き通った美しさがあった。
「なんだよー!ネオンッ!!喋れるネオン-!!久しぶりも何も、驚いたに決まってんだろ-!このこのー!可愛いなぁー!チクショウ!逢いたかったぜー!!」
と感情を丸々ぶつけるように抱きしめながらネオンの頭をクシャクシャと撫で回す。
「ちょっ、ちょっとー!や、やめてよー!」
「やめないね!やめないともさ!もっと声聞かせろー!このこのー!」
「もーっ!ルビィも立ってないで何か言ってよぉー!」
ネオンのその一言に、ピタッと動きを止める。
ゆっくりと視線を扉に向けると、そこには金髪をなびかせながら、いつも通り腕を組みつつ仁王立ちの美女が立っていた。
「ふぉっ!ルビィッ!!!!」
「ふふっ、相変わらずだなユウ…元気そうでなによりだ。」
ネオンを起こしながら、ゆっくりと立ち上がりルビィの元へ歩いていく…
どうしよう、様々な感情が溢れそうだ。
ネオンとの再会の後に直ぐさまルビィと来たら頭パンクしちまうぜ、チクショウ。
ええと、なんて言おう。『愛してるぜ。』
いや、これじゃ頭のイカれた奴だ。
「ルビィ…久しぶり、なんていうか、その、相変わらずそそるな。」
「なっ!何を言ってるのだっ!?」
いかん!いきなり頭のイカれた奴になっちまった-!
「違う!いや違わないけど、なんかなんて言えば良いのか分からなくなっちまった…てか、ホント逢えて嬉しいよルビィ。」
「まったく、相も変わらずだなユウは…。
そして、お前は落ち着けクラリス…」
とルビィの後ろから俺を狙ってるクラリスが視界に入る…。
「ルビィ様、あの男は悪影響の塊です。殺しましょう、任せて下さい、そして近づいてはなりませぬ。」
「おい、クラリス、折角の再会に水を差すんじゃねぇよ。」
「黙れ下郎!叩き切るぞ!」
「お前、出会った時と同じキャラに戻ってんぞ…。」
「まぁ、それはさておき、ユウ…。」
「ちょっ!?ルビィ様?」
グイッとクラリスを後ろに、はね除けながら扉を閉めるルビィ…。
もうこの部屋に邪魔者は居ない…。
久しぶりの3人の再会に花を咲かせようじゃないか!
「そこの者は誰なのだ?」
「ん?え?あ、マナ…居たのか、忘れてた。」
すっかり存在を忘れてたマナ…
突然の出来事に人の存在が消える瞬間を自ら体験した気分だ。
「あのねぇ、最初からずーっと居ましたけど?
初めまして、水聖ルビィ…そしてネオンディアナ子女。私はカイバラマナ。ユウと同じ世界から来た者よ、気軽にマナと呼んでくれると嬉しいわ。」
「そうか、ではマナと呼ばせてもらおう、ユウと同じ世界の人間とはな、それはさぞかし面白いのであろう。」
ちょっと?ルビィさん?それじゃ俺が面白さで出来てるみたいだから、言葉選ぼうね。
「ふふふ、噂とは違って随分と気さくな勇者様なのね。」
「そ、そうか?私は何もいつも通りだが、なぁネオン?」
「ルビィはユウと逢ってから変わってきたところもあるからなー。」
「お?なになに?俺のおかげ的な?」
「ユ、ユウは黙っていろ!まったく!」
と顔を赤くしながら照れているルビィ…
やべぇ可愛い。
「それにしてもユウと仲が良いのね?」
俺の腕にしっかりしがみついてるネオンを見ながらマナが言う。
「まぁ、色々あってな、、そうだルビィ…お願いがあるんだが。」
「私にか?勿論良いぞ!!」
「まだ何も言ってねぇよ、まぁ今回のケアルランドの件が終わったらさ、また封印の地に行きたいんだが…ルビィも付いてきてくれないか?」
「私からもお願い、ルビィ…どうしても貴女の力が必要なの…。」
「ふむ、何やら訳ありのようだな。そのかわりと言っては何だがネオンも一緒に同行させてもらうが良いか?」
あれま!勝手に決めちゃって大丈夫なのかな?
まぁルビィの言うことに文句言うやつ居ないか…。
「ネオンも一緒なら尚更だ!問題無いだろマナ?」
「勿論オッケーよ!ありがとう、じゃぁ定例会が終わったら宜しくね。」
「任せろ、何事も無く終わる。定例会など、ただの話し合いだ。」
その話し合いが結構複雑なんだがルビィは分かってるのかな?
「という訳で、また戻る事になっちまったけど、ネオンは良いのか?」
「うん。だってお兄ちゃんの事が無かったらユウを待ってる予定だったもん。」
「プレーリー…。すまねぇな、俺が見つけた時にはもう…。」
「ううん…。ユウのせいじゃないよ、それにお兄ちゃんの残したのは私の中にちゃんと在るし寂しくないんだ。」
「そっか…。強いな、ネオンは…。」
ホントに強い子だ、いつかネオンを守れるくらい強くなりたいと思っていたけど、またネオンに離されてしまったな。
いつまで経っても追いつけないぜ、、、
「それにしてもユウ…このひと月で顔付きが変わったな。」
「私も思った、なんか大人っぽくなったよね。」
まぁ、色々と死にかけたしな。
カレンに殺されかけて、魔族に殺されかけ、って、両方2人に由縁してるから言えないけど。
「そうか?俺は元々こんな感じだぜ?2人の方こそちょっと逢わないうちに俺の事忘れたんじゃないかと思って心配してたんだぞ。」
「何を馬鹿な事を…私とネオンが忘れる訳あるまい…」
「そうだよ、どれだけ寂しかったか…」
嬉しい事言ってくれるぜ、まったく。
コンコン…
とノックと共にクラリスが顔を出す。
「ルビィ様、あの、オルタナ様がお見えですが…」
「今忙しいから後にしろ。」
「っえ…?」
扉をピシャリと閉めるルビィ…
いやいや、王様が来てるのにその態度は如何なものかと…。
しかし分かってはいたけど、クラリスもルビィ相手にはタジタジなんだな。
「おいルビィ、大丈夫なのか?」
「構わん。どうせ下らない事だろう。それよりも今日は何処へ行くのだ?」
「んん?」
「ねぇ、ユウ!私東聖大陸の街初めてなの!ルビィと一緒にお出掛けするんだ。ユウも一緒に行くでしょう?」
「観光かよっ!!もう少し自身の立場を考えろ2人とも!」
と思わずツッコミを入れてしまうマイペースな2人。
「じゃぁ私のオススメのお店に御飯でも行きましょうか。」
と乗ってくるマナ…
「ほぅ、私もケアルランドは随分と久しいからな、楽しみだ。」
「楽しみだなー、ねぇ!早く行こうよ!」
「あれー?俺の発言聞こえてました?」
『マガミの言う通り自重せよ2人とも。』
と再び扉が開き、痺れを切らしたオルタナが部屋に入ってくる。
「なんだ?今忙しいのだ、後にしろ。」
「ブレねぇな!おい!」
と入ってきたオルタナを邪魔者扱いしながら手を払うルビィ…ホントこの娘は安定感抜群だな。
「やれやれ、相変わらずよのう水聖ルビィ…」
「ふん、どうせまた下らん話だろう。今言ったように私とネオンは忙しいのだ、他を当たれ。」
忙しくもないし、他を当たれの意味が分からない…
ちょっとオルタナが可哀想に見えてきたわ。
「んで?オルタナは何の用だよ?お前がアイリーンと飲み始めたから、俺はクラリスには呼び出しくらうわ、城に缶詰で散々なんだよ。」
「はぁ…マガミ。主には今回の定例会の話はしたであろう、、、それにしても、久しぶりじゃのぅネオンディアナ。」
「オルタナ王は少し老けこんだね、、お仕事忙しいの?」
「ふぁっはっはっは、余は人族じゃからな、継承権魔族や長寿人族と比べると老けたかもな!はっはっはぁ。」
「ふふふ、色々ありがとね、私も頑張って魔族の皆を抑えるから…。」
「助かるわいネオンディアナ、その一言を伝えるのにルビィを通すと中々伝わらんのだ。」
あ、それちょっと分かる。
ルビィは意識通信あるからなー、人と上手く話せないところがたまにあるんだよな…。
「ふん、私が悪いみたいな物言いだな、、、話が済んだならさっさと出て行け、定例会は明日であろう!」
「分かった、分かった、、、マガミ、スマンがルビィとネオンディアナを宜しく頼む。」
「頼まれなくても、この2人に何の心配して……」
そんな事を言い掛けた俺を、ジッと見るオルタナ。
昨夜クラリスが言っていたアレか…そうだな、警戒はしておくか。
無言で頷き、オルタナに伝える。
オルタナも察してくれたようで、少しだけ表情がホッとしたようにも見える。
「さて、余は邪魔者のようじゃから、そろそろ暇するとしようかの…」
「うむ!ようやく分かったか、、、さて、話の続きだ。マナの勧める店というのは近くなのか?」
「おーい、ルビィ、もう少しオルタナと話してやれよ。」
「む?ユウがそこまで言うのなら仕方ない、オルタナ明日の定例会には各国の王は全て揃うのか?」
「急になんじゃお主は、、まったく、、
明日居るのはフエンネル以外の4人じゃ、三榮傑のメルカイザーとアイザックは欠席じゃな、、ルビィ…主は連合国軍隊長として、ネオンディアナの警護兼部隊の指揮を取ってもらうぞ。」
「ネオンの警護は了解した。他はクラリスに任せろ。」
オルタナもいきなりルビィのスイッチが入ってビックリしてるじゃねぇかよ、てか話聞いてたんなら最初から構ってやれよ…んで、面倒くさいところはクラリスに丸投げしやがったし。
隊長さんが仕事しないってのも分からんでも無い…かな。
「ルビィ様!お呼びですか!?」
と扉が開くと共に現れる変人代表クラリス。
すでに若干はぁはぁしてるのが気持ち悪いな。
「うむ、明日の定例会連合国軍の指揮をクラリスに全権を預けようと思うのだが、やってくれるか?」
「なっ!なんと!勿論でごさいます!!このクラリス・ナクシャ!!全身全霊を持って望む所存でございます!!」
「なるほど…こうやって、クラリスが頑張ってたのか…納得したぜ。」
「む?ユウ、お前も私の部下としてルビィ様に御使いするのだぞ?」
「はぁ!?ふざけんなよ、なんで俺が!?」
「貴様!親衛隊副長の任を忘れたのか!!」
「えぇーー???だってさ、部隊の指揮を取るのはクラリスで良いだろ?俺のする事なんて無いだろがよ。」
「貴様、上司に逆らうだけでは無く、ルビィ様の目の前で恥を晒すつもりか!この穀潰しがっ!」
お?下郎から出世したな、しかし穀潰しって久しぶりに聞いたけどな。
「ふむ、ではユウには私から別の任務を与えよう。」
「なんと、我が部下にまで寛大なる御心感謝致します。」
「う、うむ、ユウにはネオンディアナの付き人を願おうと思うのだが、どうだ?クラリス。」
「おぉ…それでしたら、その魚の骨以下な我が部下でも可能な任務で御座います。」
「こらぁ!魚の骨にネオンの付き人は出来ねぇよ!訂正しろ!この変人が!」
ワイワイと1室で盛り上がる面々。
「盛り上がってるところスマンが、クラリス、マガミ含め5名は定例会の尋問会に出なければなのでな、今言った任は難しいと思うが…。
忘れておるまい?クラリス、マガミ…?」
「…。」
「…。」
オルタナの一言によりクラリスの表情が凍る瞬間を見た。




