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ここではないどこかへ  作者: ししまる
第三章 異世界 ~首都~
47/78

43話 突入

 


 マナの昔話を聞いていた俺達に突如謎の現象が襲撃した。不気味な光と頭に突き刺さるような音によって、殆どの人達は行動不能になってしまう。

 かろうじて意識を保っていた俺とマナ、そしてなぜか元気なカレンの3人は皆を元に戻す為に行動を起こす…。








 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 





 不思議な術によって、殆どの人が倒れている静まり返った街中を3人で歩く…。



「それで?いったい何処へ向かってるのかしら?」



 そんなマナの問い、目の前の建造物を指さしながら俺は答える。


「まずは城だ。」


「さっきも言ったけど、この術の発動は国外からよ?わざわざ城へ向かう理由を聞いても良いかしら?」

「まぁさっきは時間の都合で説明不足だったんだが、俺なりに今回の事を少し考察してみたんだ。まず今回の襲撃がマナの言ったように様子見だと仮定しよう…味方まで被害を受けるような術の発動だった訳なんだが、奴等が何の計画も無しにぶっつけ本番を試すだろうか?」


 その言葉を聞いて、少し考えるマナ。


「確かに…そうよね…。でもそうなると他に目的があったということかしら?」

「そこはまだ分からないけど、もしもネオクリスタルの試運転以外にも何か狙いがあるなら…って考えただけさ。特にこのタイミングが何か引っ掛かるんだ。」

「試運転以外…ね。定例評議会を狙ったって事かしら?」


「多分な…軍の副長さんに、話を聞いた事あるんだけど、5人の王様全員集まる事は滅多に無いみたいだぜ?今回も全員集まるかどうかは分からないが、いつもよりは重要人物がケアルランドに集まるのは間違いない。奴等が動くならこのタイミングだと思ってな…。」

「じゃぁまさか、今この時にも間者を放ってるってこと?」

「可能性の話をすれば、そうなるな。」



 そして最悪この術が既にシグマ国内で試されてるなら、間違いなく暗殺者は潜入しているはずだ…なんせ、気絶しているだけの人間の息の根を止めるだけの簡単な仕事だしな。

 願うのは、この術内で動ける駒が向こうサイドに何人も揃ってない事なんだけどな。




「要人が居る可能性を考えたら、城へ向かうのは正解ね。でも相手の戦力が分からないのに大丈夫なの?」

「それこそ言い出したらキリが無いからな…大丈夫とは言えないけど、本気モードのカレン任せって感じだな。」

「なんだか不安になってきたわ…」



 と、ため息まじりに不安を見せるマナ。

 確かに、もっともらしいマナの質問だが、2度に渡り術を緩和されてしまった今、もしも暗殺者なんてものが居たとする、敵からしても予想外の事態に案外撤退している可能性の方が高い。

 戦力も油断は禁物だけど、グレンはあの時クラリスとカレンの戦力を封じたと豪語していた、逆を返せばシグマの連中は油断しているって事だと俺は考える。

 もしも特別なロッドを持つ人物、又は結界術の使い手、この2パターンどちらかをクリアしているヤツが居たとしても、カレンの見えないエナの剣で遠距離からスパっとやれるはず。


 うむ。我ながら穴だらけの作戦だな。


 まぁ、これはあくまでも暗殺者が居た場合の話だし…俺の予想は少し違った方向、その為の城内潜入ってとこだ。




「マナの言いたい事も分かるけど、とりあえず物騒な展開にならなかった後の事を考えると城に向かうのは間違ってないぜ?」

「そうね、足踏み状態状態で何もしなかった時の方が後悔しそうだし、どうせならアイツの策に少し触れてみるのもありかしら…。」


 未だに少し納得のいかない表情を浮かべながら、俺達に付いてきてくれるマナに感謝しつつ歩みを進める。






 …





 …





「さて、到着したのは良いけど…」

「おっきいねぇ-。」

「大きさもそうだけど、この物々しさも凄いわね…。」


 そう言いながら目の前の建造物を見上げる3人…

 当然と言えば当然なんだが、大きな塀に囲まれた城は、容易に侵入する事が出来ない。

 勿論俺も城門から入るつもりだ、未だ術の効果で門兵もダウン真っ只中だろうしな…。



「まぁ、突っ立ってても始まらないし門の方へ行ってみようぜ?」

「そうね、危うく観光巡りになるところだったわ。」

「ん?何か言ったか?」

「なんでもないわ。」



 …。

 マナなりのボケなのか?難易度高すぎだろ、俺には上手くツッコめる自信がないぞ…。


 そっぽ向いて1人塀伝いに歩き出すマナ。

 カレンはエナの剣を出しながら伸ばしたり縮めたり調子を確かめているようだ。




「どうだ?流れ的にカレン任せになっちまったけどさ、無理そうなら言ってくれよな?」

「んー?カレンは大丈夫だよ?でも本調子ってほどじゃないかもー。」

「お前の本調子が恐ろしくて想像出来ねえよ。この前のシグマ艦くらいって想像してれば良いのか?」


 少しなにかを考える素振りを見せるカレン。



「あの時は、ちっと疲れてたかも…」

「うぇ!?あれでかよ!?」

「だってー。ユウちゃんのとこまで飛んでったでしょー?その後船いっぱい斬って-、その後もいっぱい斬ったからー」



 確かに…あの時のカレンはエナを無尽蔵に使えると思ってたから気にしてなかったけど、よくよく考えたら、ずっと術を発動していたよな…

 それで、最終的にはグレンやビシャス相手にあの立ち振る舞いか…。



「凄えなカレン…底が知れないとは、正にこの事だぜ。」

「えー?カレンなにか変な事言った?」

「あぁいや、俺が勝手に思ってただけだ、気にすんなよ。」



 どこか納得のいかない顔で首を傾げるカレン…



 まぁ、このデカい連合国の有名人だ、シグマの幹部だかなんだか知らんけどグレン相手に引けを取らない力量はあるんだなぁ…

 って事はクラリスも相当ヤバくて、ルビィに関しては更に凄いって事なんだよな…。

 なんか、一発目にチートキャラに遭遇とか物語のバランスおかしくねぇ?って考えちまうぜ…。



「ちょっと、ユウ。なに考えてるか知らないけど、城門を通り過ぎるのは如何なものかしら?」


 と、マナの一声で我に返る。

 よく見ると、城門を素通りしていた俺。そして、城門の前で腕を組みながら立っていたマナ。



「あ、悪い悪い、少しだけ考え事しててさ。」

「あのねぇ、作戦の立案者がそんなことでどうするのよ?しっかりしてよね。」

「うっ…ぐうの音も出ないとは、この事だ。」


 ついつい考えこんでしまった。俺の悪いクセだ、気を付けないとな。


 通り過ぎてしまった所からマナの立っている所まで急いで戻り、周囲を見渡す。




「さて、辺りは相変わらずの静けさか…目の前の門は開放済み、んで、その横には寝ている兵士が2名っと…。」

「何を見たら分かることを言っているの?」

「あれ?また声に出てたか?気を付けねえとな。」



 また声に出してたのか…本気で気を付けよう。


 ともあれ、目の前の門は見事に入ってくれと言わんばかりに大開放だ。

 そして、それを拒む者も今や術によって身動きが取れない状態か…。

 こりゃホントに狙われてたら完全にアウトじゃねぇか。


 自分で立てた予測だが、いざ目の当たりにすると実感が湧いてきてなんだか寒気がする。





「よし…ここら辺からは慎重に行くぞ…。」

「そう…ね、もしも敵が侵入するにしても、ここまでザルな警備は無いものね。」

「ホントにここまで想像通りだと泣けてくるぜ、ったく。」



 辺りに気を配りながら門を潜る俺達。


 正直カレンは敵意や殺意には敏感な一面もあるから、カレンの様子もチラチラと覗う俺。ぶっちゃけソナー代わりにしてるのは内緒だ。



「どうやら、ここら辺は特に変わった所は無さそうね…。」

「そうだな、このまま上手いこと城内まで入れりゃ楽なんだがな…。」

「当然そう上手くは…ね。」



 俺の考えを多少理解してくれてるのか、マナはそれ以上は口をつぐむ。


 門を抜け庭園を歩きながら城へ歩みを進める。

 見上げる目の前の城の窓からは、灯りこそ見えるが、人の動いている気配は無い。

 街の状態が城の中でも起きていると考えて間違いないだろうな。




 …





 その後も何事もなく城内入り口まで辿り着く俺達3人、やけに大きな門が固く閉ざされ俺達の侵入を許さない。


「うーん。やっぱり城まで大開放とはいかないか…」

「どうするの?言っておくけど私はケアルランドの警備事情なんて知らないわよ?」

「まぁ、こんだけデカい建物だ。正面玄関だけが入り口って事は無いだろうよ?」


 普通に考えれば、兵士や従者の詰め所や城内への出入り口は他にあるはずなんだが…。




「カレンは他の入り口に心当たり無いのか?」

「ん?あるよ?東口のことでしょ?」

「やっぱりあるのかよ、まぁ想像通りだったけど、カレンが覚えてくれてて助かったぜ。んじゃ、一応その東口を目指しつつ他の入り口も検索しつつって感じだな。」



 簡単に東口と言ってたが、どうせすぐに辿り着ける距離でも無いだろうし、他にも通用口とかあってもおかしくない大きさだしな…。



「了解よ、行きましょう。」

「おぅ、カレン…方向的に東だからこっちで大丈夫だよな?」

「東口なんだから、そうだよ?」



 と念のために確認するが、さすがのカレンもそこまでアホでは無かったか…





 …






 …




 さてさて、なんだかんだ歩いてばかりだが、ホントにこの静けさには時間の感覚が分からなくなりそうになるな…

 幸いにもマナとカレンが近くに居てくれるからマシだけど、1人でこの空間は耐えきれないぜ…




 そんな事を考えながら先頭を歩いていると、後ろのカレンが俺の肩を突く…







「ユウちゃん、前の茂みから人の気配がする。」

「……ッ!?」


 その言葉に俺もマナも口を閉じる。




 カレンは静かにエナの剣を形成し、警戒態勢をとりながら、囁くように口を開く…


「敵意は感じない…なにかに怯えてる感じ。」

「怯えて?一般人か?」


 ヒソヒソとカレンに聞いてみる、カレンは言葉を発さず首を縦に振る。



「ちょっと、どうするのよ?」

「そうだな…。

 んじゃ、カレン…生かしたまま捕らえる事は可能か?」


「問題ないよ。」


 と一言告げて、目の前から姿を消すカレン…



 次の瞬間には、前方の茂みからガサガサッと、草葉が動く物音が聞こえてくる。




「凄いわねカレン、一瞬にして消えたわよ?」

「だよな、マナも俺と同じ感覚で助かったぜ。」


 まぁ、魔族達もカレンの動きに付いていけないみたいだったしな、やっぱり末恐ろしい娘だわ…。


 マナと前方の茂みを遠目に見ながら、カレンの姿を待っていると、茂みからこちらを覗くカレン。軽く手を上げ俺達に合図を送る。


「どうやら上手くいったみたいだな。」

「そうね、行ってみましょうか。」




 …






 …





 カレンの立っている横の茂みには、ボロボロの衣服を纏った少年がいた…見るからに貧相な、その出で立ちでカレンに対し怯えてる表情を浮かべる。

 そう、その怯えている少年の首には刺青のような模様があり、それは先刻マナを待っている間に見た『シングル』と呼ばれる少年だった。


「この子は…さっき橋のとこに居た…。」

「知ってるの?」

「いや、見かけただけなんだが、ロッド分けだかなんだか知らないけど、この世界で虐げられている人種らしい…。」

「ロッド…ねぇ…」




 何かを思うように呟くマナ…

 正直俺も思うところはある。

 何故ここに『シングル』と呼ばれる子が居るのか…そして何故周りが動けない状況下で動いてるのか。


「カレン、この子と少し話したいんだが…」

「うん、大丈夫だよ、見つけた時から攻撃の意志はないみたいだし、武器も持ってないよ。」



 その言葉を聞いて、目の前の少年に近寄り腰を落とす。

 少年は地面に座り込んだまま俺を見上げる様に少し震えている。



「えっと…怖がらずに聞いてくれ、俺はユウ、こっちはマナ、んでいきなり君の前に現れたトリッキーな娘はカレン。少し聞きたいことがあるんだが、言葉は通じるか?」


 目を丸くしながら、コクコクと頷く少年。

 よし、疎通は出来るみたいだな、まだ少し怯えてるみたいだけど、そこはある程度目を瞑ろう。



「まず、君はここで何をしてるんだ?他にも動けるヤツはいるのか?」




 俺の質問にゆっくりと口を開く少年。



「ボ……ボク…は宿舎に…戻ろうとしてた、そしたら空が赤くなって、それで…」

「それで?」

「兵士の人達、動かないから…なにかあったと思って…それで…皆の様子を見に…部屋に行ったんだ。」

「ん?皆ってのは??」

「ボク以外のシングルの皆…」


 あぁ、オヤジが言ってたな…シングルは国で保護されているんだっけな…



「んで他の皆はどうしたんだ?やっぱり動けなくて気絶したまんまなのか?」

「違う…よ…なんともなかったんだ、皆元気だった。けど、ザイルとケミーが居なくて、それでボクは…」


 なんともなかった?動けるって事だよな?


「皆元気?って事は今その宿舎には人が何人か居るのか?」



 そんな俺の詰め寄る言葉に、ビクッと身体を強張らせる少年。怯え方も先ほどより酷くなり、自らの肩を抱きながら震えだす。



「ごめんなさいっ…ごめんなさい…」

「あ、いや!俺は別に怒ってるんじゃないんだ、何もしないさ、な!落ち着けよ?」

「ほ…本当に…ッごめんなさいぃ…。」


 そう言って震えながら涙を流す少年に、何故だか胸が苦しくなる。

 多分この子は罰を与えられるとでも思ってるんだろう…だけどその罰を受けるのも承知で他の仲間を探しに外に出たんだな…。


「なぁ、安心してくれ、俺達3人はお前に酷いことはしない、約束だ。むしろ居なくなった2人を探してやれるかもしれないぜ?」

「ほ…本当に?何も?」

「あぁ…こう見えて約束は守る男だ。それに、お前達が置かれてる立場も正直俺は納得してないしな。」

「……。」


 まだ少し不安が残るのか、チラチラと視線を合わせては外す少年。


「4人…。」

「ん?」

「部屋には4人…でも…このままザイルとケミーが居ないと明日皆怒られる…。」




 連帯責任…ってやつか…。

 オヤジの言ってた通り奴隷以下の扱いってのもまんざらじゃないかもな…クソッ!




「そっか、2人もここに戻って来る最中にどこかで倒れちゃったかもしれないしな、なにか心当たりとかないのか?」

「違うんだ…。2人…は宿舎に居たみたいなんだ…でもボクが戻る前に部屋から居なくなって、それで…」


 脱走…?

 こんな扱いなんだから今がチャンスとでも思ったのか?

 いや、何か腑に落ちないな…。


 とそんな事を考えていると、後ろからマナが俺に声を掛ける。


「ねぇユウ…ちょっといい?」

「ん?」

「本気なの?あの子の友達を探すって…」

「ん…あ、あぁ…成り行きってのもあるけど、なんかさ可哀想じゃねぇかよ。」

「本来の目的忘れてない?私達は何の為に城へ来たの?」


 何の為にって…そりゃぁ…ネオクリスタルの術により、機能停止しちまったケアルランド。もしコレがシグマの狙いの1つなら要人を狙っ…




 その時俺の頭に1つの仮説が浮かんだ。




「ねぇ!聞いてるの?」

「なぁ…マナ、お前言ってたよな。」

「何よ?いきなり…」

「シグマの放った術はロッドに関係するって言ってたよな?」

「アイツの持ってるネオクリスタルの事だから、詳しくは分からないけど、多分そうよ。」



 生まれつき持ってる人種の格、ロッド…

 奴隷以下で国に保護されている最下層ロッドのシングル達…

 術が発動しても動ける…

 居なくなった2人…




「マナ……。マズい…シングル達だ。」

「え?」

「要人を狙った暗殺者だよ!」

「それ…って…!まさか!?」


 その、まさか!が、あるかもしれねぇ!

 もし今回の術をシグマが前もって試していて、術の効果が無いシングル達の存在を知っていたら…

 そして、ケアルランドにシグマの内通者が居てシングル達何人かを手駒にしていたとしたら…

 シグマの奴等は、わざわざ攻め込んで来る必要無く、身動きの取れなくなったお偉いさんを始末出来る寸法だ。


 もし失敗しても、罪は奴隷以下のシングル達に…


 おいおい…ホントにこんな、えげつない作戦が実行されてるなんて考えたくないぜ…クソッ!



「カレン!マナ!時間が無い!急いで城内に入るぞ!」

「ユウちゃん、そんなに焦ってどうしたの?」

「最悪のシナリオね。急ぎましょう。」


 理解の早いマナと、どこか追いついてないカレン…

 そして何がなんだか分からない顔の少年。


「悪いな、少し急用が出来た!でもお前の友達2人は必ず見つけて来るから安心して部屋で待っててくれ。」


 そう言いながら少年の頭に手をポンっと乗せる。

 そんな俺の仕草に混乱気味の表情で、ゆっくりと頷く少年。




「よし!んじゃちょっくら行ってくるぜ!!…あ!あと、他の子達には絶対に部屋から出ないようにって言っておいてくれ!」



 と、少年を置き去りに走りながら声を上げる俺。そんな俺の言葉が届いたと言わんばかりに手を振りながら合図を送る少年。





 …





 なんだか訳の分からない事になっちまったけど、これはこれで気付けて良かったと考えなきゃだな…!

 しかし、シングル達が特別なロッド持ちか…扱いが奴隷以下なシングル達だ、戦闘訓練は疎か、ましてや人を手に掛ける事なんて簡単には出来ないはずだ…。

 ってのは安易すぎるか…




「ねぇ…ユウ少しいいかしら?」

「どうした?マナ?」


 東口に向かう道中マナが俺に声を掛ける。



「本当にシングル達がネオシグマ帝国に唆されて暗殺をすると思ってるの?」

「どうだろうな…可能性の話をすれば有りだと思うぜ?マナは何か引っかかる事でもあるのか?」


 多少強引な考えでも、お偉いさん達が危険な目に遭うかもしれない…

 まぁ、それ以上にシグマの連中に好き勝手されてるのも釈然としないってのが本音なんだがな。


「本当に深読みかもしれないけど、コレが私達を誘い出す罠の可能性も考えただけよ。」

「!?」

「色々と出来過ぎな気がしない?今日偶然ユウと逢って、そして探していたアイツが仕掛けてきて…」


 確かに…

 俺にとっては、シグマ絡みのいざこざなんて最近から始まったみたいなもんだから、そんなに気にしてなかったけど、マナからしてみたら、いきなりの事が連発で起きてるって事なんだよな…。

 確かに深読みも納得だ。

 が!しかし!


「マナ、今回に限りその線は薄いと思うぜ?」

「何かあるの?」

「俺達はケアルランドに来る道中、木人族に襲われているんだ、なんとかカレンのおかげで、やり過ごしたけど、カレンが居なかったら俺は今日ケアルランドに着いてないぜ?元々計画されてるなら俺とマナがケアルランドに居なきゃ成立しないだろ?」

「…じゃぁ、ユウが私を騙してるって案はどうかしら?」

「…ッ!?おいおい…ここまで来て、それはないだろうが…。」

「アイツと繋がってない事は、証明は出来ないわよね?」


 ちっ、確かに俺が清廉潔白である事は間違いないけど、それを証明する手立てが無いのも事実…か。


「分かった、分かったよ、んじゃぁマナは城内に入らなくても良いから、ここら辺で身を隠しててくれよ。んで、ヤバいと思ったら何か合図でもくれ。」

「いいの?行かなくて?」

「正直付いてきて欲しいのは山々だけど、ここでグタグタ言ってても仕方ないってだけだ。俺はシングル達が何かしでかす前になんとかしたいだけだからさ、マナは付き合う必要は無いだろ?違うか?」



 上手く言葉を纏めてる時間も無く、思った事をマナにぶつける。

 そんな俺の言葉を黙って聞きながら、何かを考えるマナ。




「そろそろ時間も怪しい、俺とカレンは先に行くぜ?」

「私…は、ごめんなさい。ここで待ってるわ。」

「それも良いと思うぜ?

 んでも、1つ頼まれてくれるなら俺達以外の不審者に目を配っておいてくれると助かるな。」


「いいわ…それくらいならお安いご用よ。」

「悪いな、只でさえ巻き込んだ形になってんのに。」

「私だって元々は1人でも行くつもりだったのよ、こんな術だって分かってれば…」

「オッケー、んじゃすぐ戻れると思うから待っててくれよな。」



 と、サラリとフラグを立てマナを背に城内へと向かう。

 この先は街中と同じように、静まり返った空間だろう。

 多分カレン程の実力者じゃなくても、物音1つなら俺だって聞き分けられるはず…





 俺とカレンはマナを中庭に置いて城内へと向かう。


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