19話 夜に遺す痕
マルティア城跡を出発し、廃れた集落で魔族達からの襲撃を受けた、クラリス、カレン、俺の3人は、難無く魔族達を撃退。敵のリーダー格の人物、準眷属継承権第9位ロレースに、情報を吐かせようとしていたが、他の仲間からの奇襲により逃げられてしまう。
遅れてやってきたビシャスさん達と交流し、廃れた集落で今夜は過ごす事に…
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「おい、マガミ……」
ん?誰だ?
「おい、マガミ…起きろ」
ん?夢の続きじゃないな?
「ふぁ…ビシャスさん?」
眠気眼で目の前のイケメンを確認する。
「シー!少し良いか?」
と口に指を立てながらヒソヒソと俺を起こすビシャスさん。
「ん?はいよ、っと。」
身体を起こし荷台の外へ出る。
クラリスとカレンは寝ているようだ…。
まぁ今のやり取りで、半分起きたんだろうけど、危険が無いと分かってまた寝た感じだな…。
「んでビシャスさん、こんな夜中にどうかしたの?」
「あぁ、今ザンザスと見張りを交代して、辺りを見て回ったのだがな…。
こっちへ来てもらえるか?」
そう言って歩き始めるビシャスさん。
馬車を停めてある集落から少し離れたところまでゆっくりと歩を進める。
こんな夜更けにイケメンに、呼び出されるシチュエーション…。
はっ!腐の方々が喜ぶ展開か!
少しドキドキしながらビシャスさんの後を歩いていく。
「ここだ…。」
まぁ展開的に違うよね…
分かってるさ。
ってかここは?ん?なんだ?アレ…
「うっ!コレ…は!」
目に映る光景に思わず声が詰まる…
在ったのは焼死体だった。
首が落とされた身体や、胸を貫かれた様な跡が残る身体、全て黒焦げで一箇所に纏められていた。
「コイツら、さっきの奴等だ…」
「やはりそうか…どう思う?」
「どう思う?って言われてもな…」
「マガミ…よく見ろこの死体は全て焼かれているのだぞ?」
焼かれてるのは見たら分かるよ、殆ど消し炭じゃねぇか…
って…
「え?あ!そうか、こんなところで夜に火を放ったら普通気付くよな!」
「そうだ、私達の知らない間にここで焼かれたのか…それとも焼かれてから運ばれたのか…。」
光の術で逃げた魔族達が焼かれて棄てられた?口封じにしちゃぁ適当だな…。
ん?
「ビシャスさん、これで全部か?」
「私が見つけたのはコレだけだが…。」
「数が合わないな…確か10人以上は居たぜ、リーダーっぽいロレースって奴もここには居ない。」
あまり見たくないが、死体の数は6か7ってとこだな…。
「覚えているのか!?」
「あぁ、それに何で俺を連れて来たんだ?なんならクラリスやカレンも起こそうか?」
「いや、後程報告する予定だが、マガミに確かめてほしい事があってな。」
「俺に?」
「その、マガミが使える魔眼でこの焼死体を見てもらえないか?」
焼死体を見る?なにか残ってるもんなのか?
「って言っても、俺のは皆が知ってるであろう魔眼って訳でもないし、この状態でエナの流れは残って無いと思うけどな…。」
そう言いながらも目の前の死体に意識を集中させる…
……
「んん?なんだ?」
死体の周りに薄らモヤが掛かって見える…
色は黒、初めて見る色だ。
「マガミ…何か見えたか!?」
「なんて言えば良いか分からねぇけど、多分何かしらのエナは残ってるな…。モヤっとしてて消える寸前だ…。」
「そう…か…見えるのか……それは術かどうか分かるのか…?」
「ん?術だと問題あるのか?この世界は殆ど術が使われてるんだろ?」
「この世界?あ、ああそうだ。
あ、いや……そう!術だとすると炎の術だということにならないか?」
「そういや、炎の術ってのは使える奴が居ないんだっけ?」
ルビィもクラリスもライターに相当驚いてたしな。
「厳密に言うとたった一人だけだが、使える者は存在する。」
「んじゃソイツの仕業か?」
「それは、あり得んな。」
「ん?なんでだ?使える奴がいるなら、この仕業はソイツしか出来ないだろ?」
「そうなんだが…」
なんかハッキリしないな?どういう事だ?炎の術を使えるのはたった一人。
目の前の死体は炎の術で燃やされたんじゃないのか?
「三榮傑が一人竜王メルカイザー。
この世の全ての術を網羅していると聞く。その者なら炎の術くらい可能だとは思うが…。」
メルカイザーってあれか?クラリスが逢いたがってる奴な…。確か……
「メルカイザーって見たら呪われて死ぬんじゃねぇの?」
「その通りだ…わざわざ炎の術で相手を殲滅する必要は無い。」
「んでも、目の前の死体は燃やされてるじゃねぇか。」
「ああ…やはり考えても仕方ないな。」
「ホント分からねぇな?なんで俺を呼んだんだ?」
「なに、少しマガミの魔眼というものに興味があってな。」
「はぁ、なんかよく分からないけど、この状態じゃこれ以上は何も分からないぞ?」
謎の焼死体…あの時魔族達は死体も含め一人残らず消えて行った。
だが目の前には、その死体が焼かれて棄てられている。どういうことなんだ?
「マガミ…夜分すまなかった、クラリス様には明け方起きたら報告しようと思うが良いか?」
「良いも悪いも好きにすればいいよ、俺はまた寝るからさ。ビシャスさんも見張り頑張ってくれよ」
「任せておけ、また何かあれば報告する。」
「何も無い事を祈ってるよ…」
そう言いながら荷台へ戻る。
……
「はぁ…くそっ、なんてこった!」
少しの間、荷台から離れた俺。
そんな俺を待っていたのは、寝床を占領した、クラリスとカレンだった。
マジかよ…迂闊に触ると斬られるからな…
てか、クラリスと2人でも狭かったのに、最近はカレンも加わって余計に狭いぜ…。
仕方なく布を身体に巻いて馬の横で休む事にする…。
「うう、寝にくいなー。恨むぜ…ビシャスさんよー。」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
翌朝、ビシャスさんから事の顛末を聞いたクラリスが現場検証をしていた、俺とカレンは朝飯作りに奮闘している。
「ちょい!カレン!焦げてる!焦げてる!」
「わわわ!どうしよ?どうしよ?」
「早く鍋を火から離せ!」
「わわ!ユウちゃんコレ真っ黒だよ?」
「お前もルビィと一緒で料理出来ないのかよ!?」
長寿種の共通点が増えていくぜカレン!
長生き、人外の力、大食い、料理オンチ
完璧だ!まだ出て来そうで恐いがな…
「おう、ボンズ何やら焦げ臭いけど、大丈夫かよ?」
「おうスネ夫、現場検証行ってたんじゃないのか?」
「ん?ああビシャスの旦那が、俺はいらないってよ…」
「あ、ファルコ!かわってー!」
そう言って俺達の会話に割って入りながら、スネ夫に鍋を押し付けるカレン。
逃げたな…。
「えっ?ってかコレ…真っ黒じゃねぇかよ!?代わってどうすんだよ?」
「俺に聞くな…。とりあえずどうにかしてくれ、鍋が空かないと次作れないんだよ。」
「ちっ!見事に貧乏くじ引いたみたいだな。しゃーねぇな、ちょっくら綺麗に捨ててきますか!」
焦げた鍋を持ったまま少し離れた所まで歩いていくスネ夫。
そこに偶然にもクラリスが通りかかる。
あ、なんか絡まれてる、ん?俺の方を指さして?あ、謝った。
クラリスはなんか怒ってるのか?お!スネ夫が帰って来た、なんかションボリしてるな…。
「ついてねぇよ。」
「お帰り、どうした?」
「今そこでクラリス様にコレ見つかってよ。」
「え?まさかと思うけど…。」
「そのまさかよ、『食べ物を粗末にするなど!恥を知れ!』だとよ?俺何か悪いことしたか?」
完全なる貧乏くじだな。スネ夫乙!
こういう時はネオン直伝のアレだな!
ポンッとスネ夫の肩に手を乗せる。
「どんまい!」
ビッと親指立ててサムズアップ!
もちろん笑顔のオマケ付きだ!
その後の朝食では、スネ夫が丸焦げの肉をガリガリ食べていた、俺とカレンは少し気まずさを感じながら、そんなスネ夫を見ていた。
……
朝飯を食べ終わり、出発準備を始める面々。
「クラリス、本当にもう調べなくても良いのか?」
「うむ。これ以上調べても仕方ない、一応カリキに着いたら何人かマルティア城跡へ送る予定だったからな、ついでに処理して貰おうと思う。それに、あの焼け方は魔族特有の…」
「ねぇ!難しい話はいいから早くいこうよー!」
と、クラリスが話している最中に割り込み出発を急ぐカレン…
「まぁな、どうにも出来ないのに、足止め喰らう理由も無ぇ、さっさと出発するか!」
そう言って集落を出る。
……
……
カタカタッ
カタカタッ
カタカタッ
「だから、コレは大事なんだって!」
「いいじゃん!一個くらい!クラちゃんにだけズルい!ズルい!」
「駄目だって!そんなホイホイあげられないってーの!」
「ユウ、一個くらいカレンに分けてやれば良いのではないか?」
「んじゃ!お前のをやれよ!余ってるだろが!」
「わ、私のは駄目だ!」
「お願い!ユウちゃん!何でも言うこと聞くから!お願い!」
「よし!その言葉が聞きたかった!」
「え?」
「ほらよ、やるよカレン。」
そう言って空のクリスタルをカレンに投げる、慌ててクリスタルを掴むカレン。
「本当にいいの?」
「ああ!そのかわりと言ってはなんだが、条件がある。」
「聞く!何でも聞く!」
おお!すげぇよクリスタル。マジで相当高価な物なのか?ルビィが適当に袋に詰めてたから大したこと無いと思ってたんだがな。
まぁ、なんにせよカレンの言質は取ったぜ!
「カレンよ。その若さで純潔を捨てる覚悟はあるのか?」
「こらぁ!クラリスてめぇ!俺を何だと思ってんだよ!」
「うー。でも、仕方ないよね。コレの為ならがんばるよ。」
「頑張らなくて良いから!な!な!」
「カレン気を付けろ!そうやってお前を安心させる手口だ!」
「おい、黙ってろクラリス!
えっとな、カレン。ちょっとしたお願いなんだ。」
「うん?」
「俺を殺さないでくれるか?」
「いいよ?殺さないけど?なんで?」
おや?もしかしたらこの娘ったら…
「もしかすると、クリスタル無くても殺されない?」
「殺さないよ?なんで?」
「初めて逢った日の事は覚えてるかな?つい最近なんだけど…」
「むー。あまり覚えてないかも?」
「よし、そんな気がした。じゃぁ俺が死なないようにしてくれるか?それで良いぞ!」
「ユウちゃんが死ななきゃいいんだね!分かった約束!」
クリスタル1個損した気分だな…まぁ良いか、とりあえず命の保障が出来た訳で、よしとしよう!
カレンは俺から貰ったクリスタルを嬉しそうに眺めている、クラリスはここからニヤニヤしたりしてたんだけど、カレンは無邪気に喜んでる感じだ、なんかこうピュアな感じだな。
「カレンはそのクリスタルにどんな術式を組み込みたいんだ?」
「ん?カレンはルビィちゃんの1番になれるやつがいいなー。」
「漠然としてるけど、伝わったわ」
カレンも結局はルビィか、まぁなんか可愛いもんだな。具体的な事言ってる分クラリスの方がタチが悪い。
「ふふふ甘いなカレン、私は男になってルビィ様を娶るぞ!」
「出たよ変態が。」
「おいユウ、死にたいのか?」
「ユウちゃんは殺しちゃだめだよー!約束したもん!」
「なっ!カレン!裏切る気か!?」
「どんな茶番だよお前ら…。」
ふう…とため息を一つ吐きながら荷台から外を見る、見渡す限りの砂漠地帯も、今や廃れた集落がチラホラ見える…
カリキが近づいてきたって事か…
ルビィ達の所から長いこと旅して来たけど、ようやくカリキに辿り着けると思うとテンション上がってくるな…
「そういえば、カリキってどんな場所なんだ?食い物とか何か美味いのあるのか?」
「んーとね、船が凄いよ?」
「船?」
「ああ、カリキは港があってな、連合国になってからは港も忙しいのだ、もうすぐ街から都市へ発展するしな。」
「おお!そっか船か。港町っていいよなーロマンがあるぜ!」
「あとねー大っきい屋敷に偉い人が集まるの。」
「屋敷?」
「ああ、イグザ連合国の5王が顔を揃えてもおかしくない、由緒正しき建物だ随分昔に造られたと聞くが…。」
わざわざカレンの適当な説明にフォローを、入れてくれるクラリス。正直助かる。
カレンはこういうところでも話が通じないからな…ホントこいつと2人っきりで旅してたら、いつか発狂してたな。
「カリキからマルティア城跡に経路を作り、行く行くはマルティア城跡を復興させる計画だ。」
「マジか!アソコは光の襲撃あるから気を付けないとな…はっはっは」
とふざけながら話す俺に2人ともつられて笑う。
「もーユウちゃん笑わせないでよ!」
「まったく、緊張感の無い男だ。そういえば、オルタナ様に逢うのだったな。」
「ん?ルビィがそんな事言ってたな…オルタナ、様?」
連合国軍で隊長のルビィを除けば実質ナンバーワンのクラリスが、様付け?
ルビィが呼び捨てだったから、適当な有名人かと思っていたけど、あれ?
「正式にはイグザ連合国5王の一人オルタナ・クードシャンス様だ。」
「出た!王様!ルビィなんて呼び捨てだったぞ?友達かなんかだと思ったじゃねえかよ!」
「ルビィ様なら、誰を呼び捨てにしようと問題ないからな、勝手に勘違いしたのはユウだろう?」
「へいへいそうですよ!てかカリキに居るのか?王様が?」
「オルタナ様は南部方面を主に管轄しているからな、カリキに居なければ中央都市だろうが、滅多な事ではカリキから離れることはないな。」
「そうなのか、まぁ5人も王様居るんだから全員首都で王座に座ってる事も無いだろうしな。」
「連合国の重大事項が無い限り5王が揃う事はまず無いだろう…私が全員揃ったのを見たのは6年前くらいか…。」
「へー。んじゃカリキってのは街よりも発展してて、尚且つ王様が居る所なのか?」
「ユウの中での街の規模が分からんがな。大方間違ってはいないぞ?」
「ふーね!ふーね!おいしい!ごはんっ!」
「カレンは楽しそうだな、んでこのペースならどれくらいで着きそうだ?」
「そうだな、集落も増えてきたし1週間というところか…。」
「ようやく現実的な日数が聞けたな。なんか俺も楽しくなってきたぜ。」
あと1週間か…。逆に考えたらもう2週間も砂漠の旅してるんだよな…。
「カレン!毎度の事だが、くれぐれも問題は起こすなよ?」
「はーい!わかってるよー!」
「お?良い返事だなカレン。てか毎回問題起こしてるのか?」
「ユウ!お前もだぞ!カレンと一緒になって問題を起こすなよ!」
「え!?俺も?」
「当たり前だ!マルティア城跡での事を忘れたのか?」
「あれはルビィの事を言われて、少しカッとなって…。」
ルビィを普通って伝えるのが、あんなに難しいと思わなかったしな…。
「わかるわかるー!」
「良いか?2人とも、ルビィ様の事で問題を起こすということは、ルビィ様が問題を起こすということと同一だと思え。」
「よくわかんなーい!ルビィちゃんの事悪く言ってたら許さないしー!」
「カレン、ルビィ様を悪く言ってたら斬る。これを繰り返す内にルビィ様は、より一層民から恐れられていくのだぞ?」
「確かにそうだよな…てかクラリスはよく耐えられるな。」
「クラちゃんもたまに暴れてるよ?」
「ま、ま、まぁそんな事もあったような…」
「おい…。」
でも気を付けるか、俺はともかくカレンが暴れたらルビィかの周りは危ない奴等ばかりって噂立ってもおかしくないしな…。
いや、でも危ない奴等しか居ないから間違って無いのか?
「と、とにかくだっ!ルビィ様親衛隊として恥じぬ様、行動するように!」
「はーい!」
「了解だよ隊長さん。」
俺のすることは、ルビィの悪口で怒らない事、カレンを止める事、後者が1番難易度が高いな…。
「んで、ちなみになんだが、王様と逢う時の作法みたいなのあるのか?俺ホント何も知らないから無礼にならないかな?」
「ユウちゃん、作法なんて子供の頃に教わるでしょ?」
「カレンが言っても説得力ねぇよ!それに言ってなかったけど、俺この世界の人間じゃないんだよ。」
「ふぇ?」
「カレン、そうらしいぞ?私も未だに信じきった訳では無いがな。」
「クラリスお前まだ信じてなかったのかよ。」
「だからユウちゃんは術とか使えないってことー?」
「あぁ、エナ自体分からん!クリスタルも使えない!」
「へー、なんか大変そうだね。」
なに、その超他人事的な感じ…まぁ、カレンはこんな感じか…。
「そう、それで作法ってのがあるなら教えてくれよ。」
「仕方ないな、我が親衛隊の沽券に関わるからな。では、今夜から作法を身体にたたき込んでやろう。ふふふ」
「カレンも手伝うよー。ふふふ」
「え?なに、なんで笑ってるの?2人とも…」
「いやなに。昔を思い出してな…。」
「カレンも作法覚えるの嫌いだったなー。」
2人とも遠い目をしている…。
作法ってそんなに大変なのか?
へっ、こちとらワビサビの日本で生きてきたんだ、多少の異文化の作法なんてお手の物だぜ!
……
その夜…。
「違うっ!何度言えば分かる!このクズがっ!」
「こう?か?」
「ユウちゃん!違うよ!足の角度きをつけて!」
「こう?」
「ゴミ以下だな、もう一度やり直せ!」
「ちょっ!クラリスお前口が悪いぞ!」
「悪いのはユウの覚えだ!さぁ!やり直せ!」
とスパルタ教育を俺に施すクラリスとカレン、少しでも違うと直ぐさま檄を飛ばす。
難しいぞこれ…立ち振る舞いだけならなんとか覚えれそうだけど、この動きのタイミングが何とも分からないんだよな…。
そして、クラリスの口が悪すぎる…。
「もう一度だっ!カスがっ!死ねっ!」
「あぁっ!!!やってらんねぇよ!」
もう限界だぞ!死ねまで言われたら、こっちも怒るしかねぇよ!
「クラリス様、少しよろしいですか?」
と作法の練習中にオヤジが入ってきた。
「なんだ?ザンザス。」
「いえ、差し出がましい様ですが、少し見るに耐えなくてですね…。」
「オヤジぃ、そうなんだよ、コイツら限度無いんだよ!」
「クラリス様は優し過ぎです。そのガキはもう少し厳しくしねぇと、いけねぇと思うんですが…。」
「おまっ!ふざけんなよっ!」
「分かった、ザンザス。助言感謝する。」
「待て!オヤジ!助けに来たんじゃねぇのかよ!?」
「あのな、おれの教えられた時はこんな生易しいもんじゃなかったぜ?まだ小さかったおれの教育に、大人が数人で剣を突き立てながらだったからな…」
遠い目をするオヤジ…。
おいおい、マジかよ…作法ってそんな厳しい試練なのかよ?
「さて、ユウ!続きを始めようか?」
剣を構えながら俺に笑顔で言い放つクラリス。
こうして俺は1週間みっちりと作法を叩き込まれた。
長かった砂漠の旅もようやく終わりを迎えようとしている…。




