17話 平和とはほど遠い
マルティア城跡にて、問題児カレンと遭遇してしまった俺とクラリス。
カレンをルビィ様親衛隊へ引き入れたことで、命を取り留めた俺…ルビィを侮辱したことにより、俺と揉め事を起こした、ビシャス、ザンザス、ファルコの3人もなぜか親衛隊に加入。
合計6人で砂漠の結界を抜け、俺達が向かうのは西の街カリキ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「はい!俺の20連勝!」
「おかしいよ!なんでユウちゃんばっかり20言わないの?」
「ははは!造りが違うのだよ!頭の造りがな!」
「もう止めておけカレン。ユウは奇妙な術で私達を操っているのだ。」
「法則ってやつだぜ、なんでもかんでも術で片付けるなよ。」
「もう1回!もう1回!」
「よし!私も混ざって3人でやろう!さすればユウの息の根を止めれるかもしれん!」
「え!?3人か…。」
えっと?3人だと、18で勝利だろ?だから、13から15踏むと…だろ?やべぇ計算しろ!俺!
「じゃぁ私からな…1、2、3」
「次カレン!4、5」
「えっ!?ちょっと待て!6」
「ふふふ、予想外の攻撃に驚いてるな、今回は勝機が見えた!7、8、9!」
「ユウちゃんの命運もここまでだね。10、11」
「お?大丈夫っぽいか?これ。12」
「決めるぞ!13、14、15!」
「16、17、えっ!?クラちゃん?」
「悪いなクラリス…18、19」
「ばっ、バカな!カレン!お前が刻み過ぎたんだ!」
「違うよ!その前のクラちゃんが悪いんだよ!」
「ふぃー。いきなり3人は辛いな、次は負けそうだぜ。」
危ねぇ…ぶっちゃけ3人だと必勝が無いから2人のミス待ちなんだよね…。
またもや数取りゲームで遊んでいる俺達…。
マルティア城跡を出てから3日…
日の暮れ具合から見て、そろそろ今日の旅も終わろうとしている。
「お楽しみ中失礼します、クラリス様。」
と荷台の外から声がする。
「どうした?ビシャス?」
「そろそろ日も暮れます故に馬を休ませようと思うのですが…。」
「前日もそうだが、少し早くないか?まだ距離を稼げると思うぞ?」
「申し訳ありません、如何せん馬の方に限界が来ていまして…。」
「そういえば、お前達の乗っている馬は此方の馬と違ったんだったな。すまない此方の速度に合わせてもらい、この3日間さぞかし馬も疲れたであろう。」
「いえ、勿体ない御言葉。例え馬が潰れようとこのビシャス走ってでもお供致します。」
とこっちの馬車と併走しながらイケメンは語るが、他の2人は確実に走って来ないだろうな…。
「んじゃそろそろ休もうぜ、腹も減ったしさ…。」
「今夜のごはんは何かなー?」
「多少なり食料も追加したからな、少しくらいなら贅沢するか。」
「やったー!ユウちゃんの料理美味しいから、また作ってよ」
「了解!んじゃ向こうで、ちょろっと準備してくるわ!」
と荷台を降りて、男臭い馬車へ向かう。
「おーい、飯作るから材料分けてくれー。」
「なんだボンズか、持ってけ持ってけ、どうせこんなに沢山食いきれねぇんだ。」
「それよりよ、おれ達にも一緒に飯食わせろよ!ガキだけ女2人と飯ってのは納得いかねぇぜ!」
「んじゃ後でカレンをこっちにやるよ。」
「ふざけんなよ!てめぇ!どうせならクラリス様だろ!」
ギャーギャーうるせぇな…どっちでも一緒だろが…まぁ、コイツらなんか知った事じゃねぇし。
むしろ一緒に食いたいなら、こっち来れば良いのに…
「なんでもいいや、とりあえず貰ってくぞ…」
「おい!ガキ!話は終わっ…」
さっさと食料を確保して、クラリス達の所へ戻る。
オヤジが何か言ってた様な気がしたが気にする必要もないだろ…
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「おーい、そろそろ出来るぞ?そっちは終わったかー?」
「あー!まってー!もうすぐ終わるからー食べないでー!」
「食わねぇよ!てかアイツらも呼んで皆で食わないか?いちいち文句言われる身にもなってくれよ、カレン。」
と荷台の裏に居る2人に話し掛ける、只今女性陣は水浴び中で、荷台の影で素肌を露わにしているに違いない。
「うーん。ルビィちゃんの事認めてくれたら良いんだけどね-。なんか3人共イマイチなんだよね。」
「確かに、もう少しルビィ様に対する想いの強さが欲しいところだな。」
「いや、それと飯は関係ないだろ…」
「いやいやいやいや、ユウちゃん!関係大有りだよ!」
と濡れた髪の毛を下ろしたカレンが荷台の裏から戻って来る。
髪の毛は濡れた重みで腰まで伸びていて、先ほどの2つ縛りのイメージとは違う感じに、少し反応してしまう。
「お?髪の毛下ろすと雰囲気変わるなカレン。」
「そ、そうかな?えへへ。どう?どっちが良いかな?」
「どっち?うーん、どっちもどっちかな?」
「え?どういうこと?」
「縛ってると元気な少女で、下ろすと大人しい少女って、感じかな…。」
「はぁ…乙女心がわかってないなー、そこはどっちも好きとか言ってくれなきゃだよー!あとカレンは少女ではありませんよー!」
出たよ、面倒くさい系女子。
実際そんな事言ったらドン引きするだろうが、そもそも俺にそんな事言える甲斐性なんて、ねぇよ!なめんな!
「そうか、ユウは幼い身体が好きなのか?」
「お前何を聞いたら、その解釈になるんだよ!?」
クラリスも荷台の裏から戻ってくる。
「てかカレン少女じゃないとか言ってるけど年幾つだよ?」
「うーんとね、いち、にぃ、さん、28かな。」
「え!?年上かよ!?」
いやいや、身長140くらいだし、この幼児体型でねぇ?
と足先から頭の先までしっかり確認するも成人女性には見えないカレン。
「どういう意味かなー?」
ニコニコしてるが、全身からエナが滲み出てくるカレン。
「わー!やめろ!やめろ!ゴメン!悪かった!」
「そっか、ユウちゃんには見えるのかー。その魔眼ズルいよね-。」
とエナを引っ込めるカレン…。
見えなきゃ死ぬんだ、ズルいとか言うなよ。
「カレン、ユウに説明してやらねば…。」
「あっ!そうかー知らないのかー!私もルビィちゃんと一緒で長寿の血引いてるんだー!」
「前にクラリスが言ってた種族か…なんか話半分で終わった気がするけど、普通の亜人と何が違うんだ?」
「普通だよ?何も変わらないよ?」
「いや、明らかに戦闘能力おかしいだろ、ルビィもカレンも…。」
「ユウ、長寿族は一般的な亜人の5倍から10倍は長生きと言われている。それ以外はなんら普通の亜人と変わりない。」
「カレンはー少し血が薄いから、2年に1回歳取るんだよー。」
ん?てことは28÷2だから14歳くらいか?中学生くらいなら、見た目、発育、こんなもんか?ネオンの方がまだ成長段階にあったような気もするが…。
「ユウちゃんカレンのこと見すぎ!」
「年を聞いてから態度が変わるとは、まるで獣だな」
「だから!俺はロリコンじゃねぇっての!」
「なんだ?その、ろりこんというのは?」
「幼い娘や成長前の身体が好きな特殊な方々のことだよ!」
「じゃぁユウちゃんロリコンだね?」
「おかしいよな!?話聞いてたか?お前!」
だめだ、まともに相手しても仕方ない…。こいつらには話が通じないのを忘れていたぜ…俺はこう、もっとルビィみたいな…えへへ
「おい、ユウ気持ち悪い顔だぞ。」
「カレンもその顔は気持ち悪いとおもうよ?」
「くっ!どいつもこいつも!仕方ないだろ!この顔は生まれつきだよ!」
「ねぇ!それよりごはん!ごはん!」
「はいはい、もう出来てるよ。んで、男3人は呼んで良いのかしら?」
「んー、ルビィちゃんの良いとこ10個言えたらいいよ!」
「なるほど、それは良い考えだな。まぁ、私ならルビィ様の良いところなど千は答えられるだろうがな…ふふふ」
「カレンは一万答えられるよ!」
「ふん、カレンよ私は実は10万は言えるのだ!」
あぁ…下らない争いが始まったぞ…。
とりあえず俺はアイツら呼んで来るか…
アホな言い合いをしている2人を後目に、男連中の馬車へ向かう。
……
「ビシャスさん、スネ夫、オヤジ、飯一緒に食って良いってよ?」
「マガミ!本当か!?」
「ヒャハ!ボンズいい仕事するじゃねぇか!おい、オッサン!いこうぜ!」
「お、おう!クラリス様と一緒に飯を囲めるなんてな…出世したもんだな、おれ達。」
そんな喜ぶことかね?
「あ、そうそう、条件があってな?水聖ルビィの良いとこ10個だとよ?なんか考えておけよ?」
「…………。」
急に固まった様に3人共に沈黙してしまう。
「おい?大丈夫か?」
「どうするよ?」「何かあるか?」「いや、さすがに10個とはな…。」
とヒソヒソと何か相談している3人。
とりあえず3人を連れてクラリス達の所へ戻り、飯を囲むことにする。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「では、私からだ!まず、ルビィ様は髪の毛が美しい!あれだけでパンが進む。」
「はい!次はカレン!えっとね、ルビィちゃんは強い!」
「んじゃ俺で良いか?ルビィはスタイルが良いな。はい、次オヤジ!」
「あ、あ、えっと、眼が鋭い…?」
「は!?何を言っている貴様!?あの方の愛くるしい瞳が鋭いだと?死にたいのか?」
「はっ!失礼しましたぁ!!」
はい、オヤジ脱落。
次スネ夫。
「えっと、あれっすよ!ほら!えっと…。」
「はーやーくー!」
「声が綺麗ですよね?」
「ルビィちゃんの声良いよねー。カレン凄い好きなんだ-。」
お?スネ夫上手いな、セーフ。
次ビシャスさん。
「そうですね…ルビィ様は誰よりも聡明で在られる事ですかね…故にその叡智を讃えるのは当然…の…」
「……?」
「…。」
カレンとクラリスの難しい顔…これはやってしまいましたねビシャスさん。
なんか格好いい事言ってるけど、ルビィは聡明というよりは少し抜けてるからな…でもまぁここは、フォローしておくか。
「ん、まぁ良いんじゃね?ほら、ルビィ意外と物知りじゃん?」
「そう…だな。ルビィ様は賢い方だからな!ビシャスなかなか良い意見であったぞ!」
「う、うん、そう…だよね?ルビィちゃん頭いい?よね?」
カレンが疑問形になってるし…やっぱりルビィは抜けてるイメージがあるんだな。
ビシャスさんもセーフ。
「ところでお前達はルビィ様を見たことがあるのか?」
「!!?」
クラリスの言葉に3人共驚いた表情だ…
え?まさかコイツら見たことすらないのに、褒めようとしてたのか?
「た、大変申し上げにくいのですが、私は噂にしか聴いたことがなく、その、実際己の眼にルビィ様を視認致した事は…ゴニョゴニョ」
「おれもです。スミマセン。」
「俺も見たことないです。」
「えー?ルビィちゃん見たこと無いのに褒めるのってズルくなーい?」
ってなるよね?俺もそう思うよカレン。
「ふむ。いや待てカレン!こうも考えられるぞ?見たことも無い者にまで、伝わる素晴らしさ。それだけルビィ様が凄いということだ!」
「そう?なの?」
クラリスは何でもかんでもポジティブだな、ルビィに関してだけだが…
3人の表情がホッとしている、俺から言わせりゃ見たこと無いのに「悪魔的」だの「恐怖の対象」だの言ってたコイツらは許せないけどな…
スネ夫に関しては今目の前で、声が…とか言ってたぞ!
「んじゃとりあえず3人共飯一緒で良いのか?もう殆ど出来てるから早く食べようぜ。」
「そうだな、先ずは食事にしよう。3人共座って構わないぞ。」
「はっ!有難き幸せ!」
「いちいち堅苦しいんだよ、まったく。ほらクラリスの分。」
「おお!すまないな、今夜の煮込みはまた旨そうだな。」
「マガミ!もう少しクラリス様に敬意を持ってだな?」
「へいへい、はいビシャスさんの分。」
ビシャスさんはクラリスの事になると話が長いからな…。
昨夜も出発前に色々話したけど、クラリスの武勇伝が殆どだったしな…ただの変態だぞ?この女は…。
「む、マガミ。これはまた新しい味だな。」
「ボンズ、これ魔大陸の味付けに似てるな…。」
「ん?なんでぇファル、おめぇ魔大陸の味なんか知ってんのかよ?」
「あぁ、俺ぁ元々魔大陸の出身なんだよ、連合国になって東聖に渡ってきたからよ。」
「ふーん、んじゃスネ夫は魔族なのか?」
「純血種じゃねぇけどな、これでも祖父ちゃんは継承権168位だったんだぜ!」
「だぜ!って言われても凄さが分かんねぇよ。」
ネオンが2位だっただけにな…。
「ほう?だとするとファルコは風の術を使えるのか?」
「へい!一応は使えますが、まぁ風の術なんてのは攻撃に向いてないんで、俺ぁあまり使ってないですけどね。」
いやいや、風の術ヤベェから!遠距離攻撃なら最強クラスだろ、ネオンの風球はマジ凄かったしな。
「ユウちゃんおかわり!」
「早いな!俺の分まだよそってねぇよ!」
「育ち盛りですからね-!それよりもユウちゃんは魔大陸の料理も出来るんだ、今度中央大陸の料理も食べたいなー」
「28の女が育ち盛りっておかしいだろ。
てか、さっきの話しの続きだ、長寿種は長生きだけで、戦闘能力に違いは無いって言ってたけど、マジなのか?」
「まじだよー?なんでぇー?」
「マガミ!カレンやルビィ…様が異常なのだ、それこそ偏見だぞ?」
「そうなのか?俺こっちの人と関わり少ないからさ、どうしても種のせいにしちゃうわ。」
「本当におめぇは、どっから来たんだよ。まぁおれぁこう見えて獣人族なんだがな!はははは。」
「いや、オヤジが獣人族なのは、なんとなく分かるよ」
オヤジの見た目は、獣人族の血を引いてたらこんな風になる見本みたいなものだからな。
「んじゃクラリスとビシャスさんだけ人族ってことか?」
「カレンも人族だよー!」
「そっか、わりぃなんか混乱してたわ。」
面倒くさいな。見た目は人なのに族分けが違うのは…。
なんか俺のイメージではこう、見た目からっていう…
「まぁ、族分け等は自己申告みたいなものだからな。マガミも人族?なんだよな?」
「俺みたいな特殊能力ゼロの男に人族以外何があるんだよ!」
「いや、ユウには魔眼があるからな。」
「!!!!???」
クラリスの言葉に男3人が驚いた様に動きを止める。
「あん?どうかしたか?」
「ボンズ…魔眼って。」
「おいおい本当かよ?」
「マガミ…お前はいったい何者なんだ?」
「ん?魔眼について何か知ってるのか?ってか、『魔眼』なんて勝手に俺が名付けただけなんだけどな…一応、今後はケアルランドに調べに行く予定なんだが…」
おかしな反応をする3人に話を聞いてみる。
もしかしたらメンテナンスの情報とか知ってるかもしれない。
「いや、私は何も知らない。すまないなマガミ」
「おれもだ、まぁ魔眼って言葉をどっかで聞いたことがあるってくらいだ。」
「俺のとこもそうだな。魔大陸広し言えど魔眼持ちなんて居なかったぜ?魔眼なんてものは伝説級の噂話だからな。」
「へー?カレン知らなかった-。」
「まぁ私も魔眼に関しては名前以外詳しく知らないからな。」
「あれ?いや、多分その噂話や伝説的なのとは違う気がするんだが、歴史書読み漁っておけば良かったかな…」
「なっ!まさか!私の集めた書物はユウが読む為だったというのか!?」
「あ…やべ」
そうだ、確かルビィが
中央に知り合いが居てクラリスがー
って言ってたよな…。
ルビィの為に集めた書物が、まさか見知らぬ男に読み漁られてるとはな…さすがのクラリス様も想像出来なかっただろうな。
「おおおい!ユウ!貴様は私を小間使いにしたというのか!?」
プルプルと震えるクラリス。
やっべぇ…久しぶりに踏んだなこれ。さて、どうするよ?俺。
目の前の肉の壁(3人)を使って逃げるか?
または口八丁で丸め込むか…
まぁ、間違いなく後者だな。
「いや、クラリス落ち着いてくれ、たまたまルビィが読み終わった歴史書を俺が夢中になって読んでいただけなんだ。」
キリッと真面目にクラリスに告げる
「そ、そうか?そうだろうな、ルビィ様がユウの為に私を使って本を取り寄せるなど…ふふ。大方光の襲撃にでも調べていたに違いないな。」
ちょろい!さすが隊長!ぱねぇっす!
「てか、光の襲撃ってなんだ?マルティア城跡でも耳にしたけど…。」
「あぁ…マガミ私が説明しよう。」
とナイスタイミングで割って入ってくるイケメンビシャスさん。
「確か半年ほど前か…突如マルティア城跡の一部が光の襲撃にあってな、南部の家屋が壊滅したのだ、それに伴い第三部隊は戦力を率いてマルティア城跡へ調査にむかったのだ。」
「でも結局なんもなかったんだよねー。」
「そ、そうだなカレン。確かにマルティア城跡より南は大砂漠と封印の地だ、人の立ち入る事が困難な場所からの襲撃、連合国軍も頭を悩ませていたんだがな。」
「まぁ、私がルビィ様のところに行くまで何も無かった、それだけで十分だ。」
「ふーん。結局分からず終いで部隊は縮小って事になったのか?」
「まぁ、そうだな。我々第三部隊は元々北のシグマ国境の警備が主だからな。第三部隊の他の者は北に残ったままだよ。」
「へぇー、皆国境辺りで警備か…。
俺…今まで静かなとこばかりだから、そんなゴタゴタ想像出来ないな…。」
「だぁから!ガキは何者なんだよ!?」
「ったくだぜボンズ、こんな平和とはほど遠い所で俺達は毎日ドンパチやってたんだぜ?」
「しかし、南は静かで良いな…」
ビシャスさんが穏やかな表情で呟く…
「ああ、違ぇねえ。」
「そうだな…。」
この3人も、今まで連合国軍という組織の中で多くの戦いをしてきたんだろうな…
カレンやクラリスからは、あまり感じられないものがあるぜ…
「しかし、腑に落ちんな。ルビィ様の居た方からの襲撃。しかもマルティア城跡の一部を壊滅させるほどの腕前だ。」
とクラリスが空気を読まず話を変える…
今せっかく、ほんわかだったのに、まったく…
でも光の襲撃か…
「確かに俺とクラリスが旅してきたあの砂漠に人が居るなんて思えないよな…
てか、クラリスなら砂漠からマルティア城跡の破壊くらい出来るんじゃねぇの?」
「エナを全開で放てば届かぬ距離では無い。だが身体がキツいな、エナを使いすぎて動けなくなるぞ。」
「うえ、でも出来るんだ。」
って…あれ?待てよ?
「なぁ、その光の襲撃って半年前って言ったよな?」
「そーだよー?どしたのユウちゃん。」
「ちなみにその日って雨降ったか?」
「カレンは中央都市に居たからだけど、一応降ったよ?2~3分くらいかな?」
「私はカリキに居たが確かにその日は雨が降ったな…。」
「マガミ、確かに襲撃のあった日は雨が降っていた。それは私が後日現場を確認した。」
はい。犯人解りました。
でも可能なのかな?
「なぁクラリス、カレン。」
「ん?なんだ?」
「なーにー?」
「例えばだけど、封印の地から、マルティア城跡まで攻撃出来るか?」
「さっきも言ったが、不可能では無いと思うぞ?しかし難しいだろうな。」
「カレンも、マルティア城跡まで攻撃届くかなぁ?本気出せばなんとか届くかもしれないけど、多分無理だよ?」
「おいおいボンズ、封印の地ってのはマルティア城跡から10日は離れてる位置なんだろ?さすがに無茶だろが。」
「いや、その日ルビィが外で暴れてたの思い出してさ…。」
俺の一言に全員黙り込む。
「なんか、新樽の開封だかで疲れてた方が酒が旨いとかなんとか言っててさ、外で暴れてたんだよ。」
「水聖ルビィ…様が暴れてたのかよ?おいガキ!それは本当か?」
「マジだよ。家の中からでもルビィのエナが光って飛んでったの見えてたからな…しかもその後雨降ってきたし、間違いなく光の襲撃ってのは…。」
皆の顔が固まっている。
クラリスもカレンまでも完全硬直だ。
確かに、距離があり過ぎるし、普通に考えたら襲撃ってなるよな…
ただ話を聞く限りルビィならやりかねないって事な。
「確かにルビィ様なら可能か…。」
「ルビィちゃん凄いね!」
「…。」
「ヒャハ…凄いなんてもんじゃねぇよ…。」
「水聖ルビィ…様。恐ろしいな…。」
「いや!待て!私がルビィ様に確認したところ何も言わなかったぞ!?」
「うーん、多分だけど、ルビィ本人もマルティア城跡まで届くと思ってなかったんじゃないかな…。」
「た、確かに。そうだな…」
「ちなみになんだけどな。」
「なんだ?マガミ。」
「もうすぐ樽空くから例の新樽開封だぞ?」
ビシャスさんの顔が青くなる。
「ま、まぁ、大丈夫だろう。前回はたまたまルビィ様が北に向かって放っただけだ、今回はまた違う方向かもしれないしな。」
相変わらずポジティブ思考だなクラリスは…
今までマルティア城跡に当たらなかっただけで、毎回新樽開封の度に暴れてたのは間違いない。
ルビィならやる。
「しかし信じられんな。」
「あぁ、化け物染みてやがる。」
「水聖ルビィだってんなら納得だがな。」
男3人の中でルビィの株が暴落したな…。
すまねぇルビィ…!
「では光の襲撃の正体も分かった事だ、後日ゴーダに部隊解散の旨を伝えるか…」
「今度ルビィちゃんに逢ったらカレンからも言っておくよ。」
「そうだな…頼んだぞカレン。」
そんなこんなで、光の襲撃の正体も分かり、砂漠の旅はまだまだ続く…。
翌日砂漠の結界に光の襲撃があった事を、後日ゴーダ副長から聞いた…




