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ここではないどこかへ  作者: ししまる
第一章 異世界 ~封印の地~
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11話 真心と恋心

 明日、封印の地を旅立つ俺は自室で荷造りをしていた。

 封印の地最後の夜に俺の部屋へ来たルビィが真剣な眼で俺を見つめる…。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 いつも通りのルビィ、寝間着というか部屋着というか、いつものグレーの肌着を身に着け、無防備な姿で夜の俺の一室に立っている。

 酒瓶とグラスを片手に色っぽい仕草だ…。



 ゴクリ



 やべ、展開的になんか期待しちゃう。

 落ち着け俺の中の悪魔よ!


「明日…旅立つのだな…」

 ルビィがそっと口を開く。



「そう、だな。まあ、長旅になるかもだけど、その内帰って来るよ」

「帰って来る…か。」



 開けた窓の外を見ながら感慨深い表情だ。

 部屋の蝋燭の灯りが揺れる、柔らかく吹く風に乗ってルビィの香りが部屋いっぱいに満たされる。

 フェロモンとでも言うのだろうか、夜に見るその女性は魅力的で、立ち振る舞い一つで俺の脳内を浸食していく。


「ユウも飲むか?」

「ああもらうよ…。」


 グラスにワインを注ぐルビィ。

 ぶどうの香りが心地良く鼻を抜ける、チンっとグラスを軽く当て乾杯、ルビィのお気に入りだけあって旨い。


「やっぱり旨いな…。」

「ああ、私の秘蔵の品だからな。」



 ツマミも無く、2人ワインを口にする、たわいも無い話をルビィとしながら飲む酒も良いものだ。


 ルビィのグラスが空になったら注いでやる、俺のグラスが空になったら注いでもらう…


 そんな中、ふふっと、ルビィが笑う。


「ん?なんか変なこと言ったか?」

「いや、な。最初ユウが庭で火を放ち気絶していたのを思い出してな」

「俺の中で歴代トップ3に入る黒歴史だからな。」


 懐かしいな、まだ半年しか経ってないのか。


「ふふっ。その後この部屋でユウが目覚めて…」

「そうそう、いきなり頭の中覗かれてな。あれにはビックリしたよ、夢かと思ってたくらいだ。」

「ユウの頭の中は……何度も見させてもらったからな。」


 視線を合わせ笑顔で俺に言ってくるルビィ。



 ドキッとするからやめてくれ。



「ドキッとしたのか?」

「へ!?いや!なんで!?あれ?能力使ってないよな!?」

「ユウの、ユウの考えてる事なら分かる。」


 言い切るんだ、顔に出やすいのかな俺。


 窓を閉め、ゆっくりとこちらを振り向き、そっとベッドに腰掛けるルビィ。

 いつもは一つに纏めている髪の毛を下ろし、掻き上げた桃色混じりの金髪がサラサラとルビィの身体に舞い降りる。

 俺を見つめる瞳が蝋燭の灯りに反射して揺らいでいる。


 あれ?ルビィってこんなに良い女だっけ?いや、いい女なんだけど、なんだ?この感じ…。



「ん!で!なんだっけ?そうだ!いきなり俺の頭覗いてきて、それで俺が違う世界の人間ってわかったんだよな!」



 やっべテンパって何言ってるかわからなってきた、どうした俺。落ち着け俺。くっそ良い匂いするし!



「そう、だったな。「じっぽ」に驚いた記憶はまだ新しいな。」

「その後の美味しいご飯もな」

「あれは!少し焼き過ぎただけだ!」

「少しどころか消し炭だったじゃねえかよ。」


 プッと

 お互いに吹き出して笑う…



「そういや、風邪ひいた時も酷かったなぁ」

「私は完全に舞い上がっていたな…今思うと恥ずかしいぞ?」

「俺も無知だったしな、まぁ、だから水に流せよ。」

「……あの時……いや何でもない!」


 ん?今なんか言ってたような?

 あ、そうだ…。



「ルビィ…」

「ど、どうした?」



 笑いも落ち着き、俺は真剣な顔でルビィを見る。

 そんな俺を見てルビィも緊張混じりの声をあげる。



「今さらなんたが、改めてありがとう。本当なら俺はこの世界に来て何も出来ず、何も残せず、死んでいた。それを助けてくれた恩はこの先絶対に忘れない。」


 深々と頭を下げる。

 命の恩人にこれしか出来ないが俺が出来る精一杯の感謝。



「あと、コレ。受け取ってくれ、多少ボロいかもだけど真心込めて磨いたんだぜ?」



 元の世界に居た頃から大事に使っているZippoをルビィに手渡す。

 細かい傷や元の色も褪せてオンボロだが俺の愛用品だ。



「コレを…私に。」



 両手で丁寧に受け取りキュッと握りしめる。

 笑顔で眼を伏せ、祈る様に胸の辺りで大事に握る


 なぜだろうその笑顔は寂しそうな嬉しそうな難しい表情だ。



「ふふ。御守り代わりだな。」

「そんな大層な物じゃないけど、大事にしてくれよな。御利益や加護なんて付いてないから、もしかしたら呪われるかもな」


 ははっと、軽口を叩く。

 ルビィは握りしめたZippoから俺へ視線を移す

 笑顔で細待った眼は徐々に開き、グッと口をつぐみながら、また目を閉じる。

 何かを決心したように、ゆっくり瞼を開くルビィ…


「ユウ、聞いて欲しい話がある。」




「お、おう。俺で良ければ聞くけど…。」

「ちょっとした昔話なんだがな…」



 ……




「私は昔、東聖大陸のとある施設で育っていたんだ…。

 様々な民と過ごし毎日剣を振るう事しか能が無かった私は、いつの間にか大陸最強剣士とまで呼ばれるようになっていった…。」

「凄いな…さすがルビィって感じだ。」

「私を慕って集まる者達もいたが、そんな者達ともいずれ別れ、気付いた時には多くの人達が私の力を恐れていた…水聖を名乗る時には恐怖の対象になってしまったよ。」


「まぁ、人の噂は、元の本質から離れてしまうところがあるからな…。実際のルビィと話したら恐くないって分かるのにな。クラリスが良い例だ。」


「ふふっ。ユウのその言葉で何度私が救われたか…。」

「そうか?全然当たり前の事しか言ってないさ、どんなに恐がられていたって、俺の中のルビィはルビィのままだしな。」


 胸にZippoを握りしめたまま嬉しそうな顔をしているルビィ。目の前のいい女を見て誰が恐怖するというのか…。



「戦争に私が出るようになりイグザの民の多くは救われたと自負している。だが、それ以上に多くの命を奪っていったこの呪われし手は恐怖の対象なのだ、一生消えないさ人を殺すとは、そういう事だ…。」

「……。」

「人は私を恐れ、私も人との繋がりを恐れ、戦争に明け暮れた。戦争が終わり『勇者』ともてはやされもしたが、結局残ったのは変わらない、恐怖の対象だ。」

「ルビィだって…そんな…」


「良いんだ…ユウ聞いてくれ。私の悪名は全世界に知れ渡った、街に寄れば住民は隠れるし、店に入ればその店から客は消える、イグザ連合国の軍でさえ、私が顔を出すと緊張が走るのだ。」



 戦争を終わらせた勇者が恐怖の対象なんて、馬鹿げてる。

 そんな理不尽あってたまるかよ…

 仕方ないのか…ルビィ達が人を殺さなきゃ戦争は終わら無かった、その後正義や悪なんて決めるのは結局は民衆だってことなのか…


「早く寝ないと水聖が来るぞ!などと子供達の躾に言うこともあるみたいでな、さすがに知った時は落ち込んだものだ。」

「ルビィは、それでいいのかよ。」


「そう…だな…当時は、構わない、そう思っていたよ。

 私達三榮傑が恐怖の対象となることによって、戦争が起こらない…それなら…私は構わない!とな」

「でもそれは…」


 俺の言葉をさえぎるようにルビィは口を開く。


「私も昔はな…憧れていたんだ。

 学友と勉を励む日々。

 友人とまだ見ぬ伴侶への想いを語らう日々。

 こんな私にも仲良くしてくれる異性がいたり。

 結婚して子供も生まれ、家族で過ごす日々。

 年老いて、自分の人生を満足しながら去る事も。

 憧れていたんだ…。」


 普通の感覚、当たり前の憧れ。

 それをさせなかったのが剣の才能と戦争…か。


「どこにでもいる普通の女の子。」

「ん?」

「ユウが私に言った事だ…あの時は思わず笑ってしまってな。まさか、恐怖の対象である三榮傑を知らない人間に会えるなんて思ってもみなかったしな。」

「懐かしいな…目潰し尋問の時な。」

「めっ、目潰しは、初対面で私の胸ばかり見てたユウが悪いのだ!」

「ははっ。違えねえな。」


 ははっと2人で笑う。


「私はあの時、何か新しい気持ちが生まれたような気がしたのだ。今までの私を完全に否定してくれたユウの一言が、私の中の楔を抜いてくれた。」


「そっか、でもルビィ…。それは俺だけじゃない。」

「どういうことだ?」

「今までルビィが接してきた人達全てがルビィを恐怖してたわけじゃないだろ?同じ三榮傑の2人も魔王も、ネオンだってそうだ、ルビィの事を恐がってなんかいないさ。

 楔が抜けるきっかけは今までいっぱいあったんだよ、たまたま俺がフィニッシュ決めただけだ。」

「…。」


「確かに人が恐れるくらいの活躍もしたんだろうけど、それを見てた人達全てが恐怖なんてしないぜ、なんていうか格好いいとかさ、美しいとかさ、そういうところルビィにあるしさ。」

「そう…だな。私を恐怖しない人達……か。」


「あぁ、俺だけじゃない、まだまだいるぜ!探してみろよ、勝手に決めつけないでさ、私は恐くないって大声で教えてやれよ。」

「しかし、私の犯してきた罪は、過去は消えないのだ。それに恐怖の対象であった方が治安も安定するしな…。」

「じゃぁさ、俺が皆に教えてやるよ!」

「ユウ…」


「三榮傑水聖のルビィは、どこにでもいる普通の女だってな!少し剣が使えて、人見知りで、料理も出来ないけど、皆が恐がるような存在じゃ無いって、俺が言いふらしてやる!約束するよ!」

「…ゅ……ぅ。」


 瞳に涙を浮かべ、掠れた声で俺の名前を呼ぶルビィ。


 手を取り小指を結ぶ。


「覚えておけルビィ。俺の世界の約束の仕方だ。俺は約束は守る男だぞ!」

「ありがとう…ユウ…」


 金色の瞳に溜まっていた涙が限界を向かえ、こぼれ落ちる。



「諦めんなルビィ!お前は普通で良いんだよ!叶わない事なんてないぜ?今からでも普通になればいいんだ!恐怖の対象?馬鹿言うなよ、こんな美人捕まえて何言ってんだ?って俺が言いふらしてやるよ!だから諦めんな!」

「…。…。」


 無言で涙を流しながら頷くルビィ。


「命の恩人なんたぜルビィ…俺だけじゃない、世界中の恩人なんたぜ。感謝されようぜルビィ…恐れられるなんて勿体ない、ルビィが居なくても戦争が起きない世の中になったら、いつでも笑って過ごせるように、今からでも普通に生きて行こうぜ!」


「ありがとう、ユウ…こんな話をしたかったわけじゃないんだ…ただ、私はこの地以外でそういう対象として見られている…ユウがそれを知った時、私を恐怖していくのが恐くなって……それで…。」


 ルビィの頭に手を乗せ撫でてやる。


「俺がルビィを恐がるわけ無いだろ?まあ、そういう心配するのが普通って事なんだけどな。」

「ふふっ。凄い男だ…。まったくユウには、かなわないな」

「何言ってんだよ、今更気付いたのか!なんせ俺は炎の術の使い手だぜ!」


 とルビィの握ってるZippoを指さす。


「大事にするよユウ…大切に肌身離さず…」

「あ、そこまでしてくれると、ホント呪いのアイテムみたいだから適度に大事にしてくれよな。」

「呪い…か。確かにな…コレを持ち続けている限り永遠の呪いだな。私はユウを忘れられない…そしてユウへの想いが消えない…から……な」


「えっ?」

 今物凄いこと言ったんじゃ…





 次の瞬間

 伸ばされた手が俺を掴む、どこにこんな力があるのか?その細く引き締まった腕は簡単に俺の身体を引き寄せる。

 態勢を崩した俺を優しく包み込むように受け止めるルビィ…


 柔らかい感触が顔に触れるや否や頭の中が真っ白になる。



 息苦しさと、甘い香り、顔面全てに触れている柔らかい感触、俺の脳内を簡単に攻め落とす…。


 トクン…トクン


 と心臓の音が直接響いてくる、ルビィの抱擁はとても優しくて、それでいて力強く、俺をギュッと抱きしめる。



「……ん…んむ。」


 苦しくなってきて思わず俺から離れる。

 ベッドの上のルビィは、開いた瞳を潤ませながら苦笑にも似た恥じらうような顔で俺を見ている。

 その姿はとても綺麗で俺の思考回路を徐々に破壊する。

 一動作毎に波打つ暴力的な胸、首元も赤く染まり少し呼吸も荒いルビィ。






「ユウは私の事嫌い…か?」



「答え一択の質問だぞ!それ!ズルいな!」



「茶化すな!ユウの言葉で聞きたいのだ。」



「嫌いな訳無い…好きだよ。」



 あーもう。いいよね。悪魔降臨しちゃうよ、しょうが無いよ!コレで何もしない方が悪魔的だよ。



「嬉しいものだな。ユウに想われてるのか…そうか。」


「ルビィ…は、どうなんだよ、俺のこと……」



「この状況で気付いてないほど、ユウは愚かではないだろ?」


 そう言って頬に手を伸ばしてくる…

 金色の目を潤ませながら顔が近付く…

 俺も手を伸ばし顔に掛かったルビィの髪を優しくどける。

 ピクッと身体が反応するルビィ、髪をよけた手を頬に添えながら、お互いの距離が縮まっていく。


 頬から頭の後ろへ手を回し距離を縮めようと力を込める。

 何の抵抗も無くルビィの顔は近くなる。

 金色に輝く瞳をゆっくり閉じ、顔を少し傾けながら俺に身を委ねる、ルビィと反対方向に少しだけ顔を傾け、ゆっくりルビィへ近付く。



「ルビィ…お前が俺のこと忘れられないって言うなら、俺もルビィの事忘れない様に、強めの呪い…」

 かけてくれよ。





 と言いかけた時…





 トテトテトテ…


 部屋の外から特徴的な足音が響いてきた。




 だんだん近づいてくるその音に反比例するかの如く、俺のマックスデビルは心の闇へと帰って行くのだった。



 ルビィも、ハッと入り口を振り返り、即座にその場から立ち上がる。





 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




 コンコン

 と部屋の扉をノックしながら、少女は部屋に入ってきた。




「……?」


 俺と一緒に荷造りしているルビィを見て首をかしげるネオン


「お、おおおおう。ネオンか、どうした?」


 自然に反応したつもりなのに、何故か口が上手く回らない…。


 何だろう、何も悪いことしていないのに罪悪感が…。


「……」

(明日旅に出るから何か手伝おうと思ってきた)

 慣れた手つきで筆談するネオン。

 その紙を俺達に見せる。


「ネオン奇遇だな。私もユウの荷造りを手伝っていたのだ。」

 となぜかシーツを畳んでいる。


 ルビィ凄ぇ!

 声と台詞はまともなのに、行動がおかしいし、目が尋常じゃないくらいに泳いでる。



「そっか、ありがとうネオン。んじゃ少し手伝ってもらおうかな」

「…」

 笑顔で頷くネオン。




 ふう…危うくルビィに手を出すところだった。

 ネオンの存在を普通に忘れてた、理性が飛ぶって恐ろしいな。

 少し残念な気もするが、それこそ最中にネオンが来ていたら、2人ともどうしようもない状態だっただろうしな。



 しかし、ルビィが俺を?夢か!?いや現実だな。

 今俺ニヤケ顔になってないかな?大丈夫かな?





 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




 黙々と荷造りを進めていると、トントンと肩を叩くネオン。

 振り返りネオンを見る。



 ん?顔が少し赤いぞ?



「…。」

 スッと紙を差し出してきた。

 あれ?いつの間に筆談したんだ?

 ん?でもよく見ると紙がクシャクシャだ。

 多分最初から持ってきた手紙かな?

 なになに……

(今夜は一緒に寝たいから来た。)




 ブッ!

 思わず鼻水が出た



「ちょっ!おま!ストレートすぎるだろ!」


 少女の持っていた手紙の唐突な内容に思わず声をあげる。



「どうした?ユウ。んー?何々?こんやはいっしょにねたい……」

「…。」

 顔を赤くしながらルビィに何か訴えるネオン。


「ふふっネオンも隅に置けないな、よし!今夜はユウを挟んで3人で寝るか!」

「……!」

 満面の笑みで頷くネオン。



 !?

 なんだよ普通に寝るってことなのか。

 ルビィとさっき、あんな事あったからてっきり…


 って!


「え!?マジで?」

「?」

「なんだ?嫌なのか?最初で最後かもしれないぞ?」

「……」

 そうだそうだ!とネオンが口をパクパクさせている。



 なんだこの連帯感、俺が変なこと言ってるみたいじゃないか。

 両手に花だぞ!夢のハーレムだぞ!?

 片手に少女でもう片手に俺のこと想ってくれる巨乳だぞ!?

 やっぱり夢か!死んだのか!死後の世界なのか!?


 頭がオーバーヒートしそうな俺を、ネオンが首を傾げながら不思議そうに見つめてくる。


 この純粋な眼を見たら変なことする気も失せるよ…ちくしょう!



「まあ、今夜は役得だな。なんだかんだ信用されてるみたいだし、裏切れねえよ!んじゃ!せっかくだし今晩くらいは2人に甘えるよ」


「ふふっ。ユウのそういうとこも好きだぞ…」


「!!!!?」

 ネオンが口を開けたままルビィを見ている。


 そりゃな、いきなり目の前で好きとか言われてみろ、俺だって驚くわ。

 さっきのことが無ければだが。





 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




 そんなこんなで荷造りも終わり、眠そうなネオンと欠伸をしているルビィが部屋に残る。


 やっぱり本当に一緒に寝るつもりだ。


「んじゃそろそろ寝るけど、2人とも本当に一緒に寝るのか?」

「そうだが?…ネオン手前と奥どっちが良い?」

「……。」

 スッと奥を指さす。

 マイペースか!この2人は。


 コロコロっとベッドの奥で布団を被り顔だけチョコンと出してるネオンの横に俺が添い寝する。



「……」

 少し顔を赤くしながら笑顔で俺を見つめるネオン。

 可愛いな、と思い頭を撫でてやる、小動物の様に目を伏せながら御満悦な様子だ。



 ムニューーーー!!




 うおっ!?


 背中に恐ろしい感触が!

 コレは!まさか!アレじゃないか!


「ルビィ…さん?ちょっと近いですよ?」

「なに、無性にユウの背中が恋しくてな。少しだけ、こうさせてくれ。落ち着いたらそのまま寝ると思うから、気にするな。」


「お、おう。ちょっとビックリしただけだから……」


「…。」

 プーっと

 頬を膨らませて何か言いたそうなネオン。


 うん、顔に出てたね。

 だって凄いんだ、背中がなんか大変なんだよネオン。





 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




「……」

「スースー」

「クークー」


 もう寝てら、二人とも寝付き良いな。


 さて、と。


 仰向けになり天井を見つめる。

 ネオンとルビィ2人の手を握る。

 2人とも満足げな寝顔で寝息をたてている。



 いよいよか…

 まずは情報収集だな、その後は手がかりを見つけて。

 そして、ゲートを見つける…だな。



 『その後…は……どうする?』



 頭の中で声がする。

 紛れもない俺の裏の声だ。




『ここに戻って来られるのか?そのまま元の世界に帰るのか?2人に何も言わず元の世界に帰るのか?』



 と煽るように俺を詰め寄る。



 そんなこと!する訳ねぇだろうが!


 独り頭の中で自問自答。

 それを繰り返しながら瞼を閉じる。



 最後の夜にはしないさ。

 必ず帰ってくる!



 ……




 うつらうつらと意識が遠ざかる…。



「んん……ゆ…ぅ……。」



 ルビィが俺の名前を呼びながら寝息を立てる。

 そんな微笑ましく、むず痒い感覚に満たされながら俺は眠りについた…。


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