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ここではないどこかへ  作者: ししまる
第一章 異世界 ~封印の地~
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10話 成すべき事の為に

 異世界生活も半年を過ぎただろうか。


 あれから俺とルビィとネオンは、砂漠の柱へ足を運ぶようになった…


 まだまだ柱について調べる事が多いし、何より大草原しか無いこんな土地だ。

 調べ物も楽しい、そして分かった事もかなり多い。


 柱の中にあった骸骨の性別が女ということ。


 これはルビィとネオンが少し調べてくれてすぐに分かった。


 日記の執筆者は紛れもなく男だったので、やはり骸骨さんとは別人ということだ…


 そして、調査の副産物ともいえる戦利品が見つかった。

 柱の内部の一室で術式の組まれていない空のクリスタルが見つかったこと。


 俺には価値がサッパリ分からんが、ネオンもルビィも目を輝かせてクリスタルを見つめていた、1度で持ち帰れないくらいの量だったので、とりあえずの分だけ家に持ち帰った。

 このクリスタルに術を充てると、そのまま術式を中に閉じ込める?覚える?のかよく分からないが、クリスタルに自身のエナを送るだけで同じ効果の術が使えるらしい…

 使い方一つで悪用出来る代物だ。



 そして、柱の調査で一番驚いたのは、外に持っていって砂塵になった本が柱の中に復活していたこと。

 仕組みはサッパリ分からないが、再び柱の内部に訪れた時には当たり前のように机の上に本が置いてあった。


 この事で1番喜んだのはネオンだ、もともと本が好きなネオンは、毎日の様に柱の取説を読みふけり、いつの間にか柱の事で知らない事は無い柱マスターと自称するくらいになっていた。


 だか、残念な事に後半の日記部分は白紙になっていた…


 俺としては日記の部分が元の世界への手がかりだったのだけど、まぁ仕方ない。



 そんなこんなで柱の調査に夢中になりすぎて3人で泊まり込みなんてのもザラだったが、3人共に楽しくやっていた…



 結果、本の内容は柱内部の生活の仕方や、入り口のギミック等…本当に取説だったので、柱が建っている理由や目的等はサッパリだ…日記さえ残っていればもう少し変わっていたかもしれなかったが、今となってはどうしようも無い。


 柱の調査も一段落し、俺はいよいよ本格的に元の世界への手がかりを探すため、ルビィにあるお願いをしていた。



 今日はそのお願いが上手く行くかどうかの日。


 ネオンを家に置いて俺とルビィは物資の受け渡し場所へ向かって歩いていた…。





 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「んで、今日物資を届けに来るのはクラリスって人で間違いないのか?」

「ああ。だが本当に上手くいく保障は出来ないぞ?」

「でも物資を運んで来る人の中で1番話が通じるんだろ?」

「ま、ま、まぁ、そうなんだが…。」

「おいおい、なんか怪しいな…。」


 言葉を濁すルビィ、俺は首都ケアルランドへ魔眼保持者のメンテナンスなるものを調べに行こうと決め、物資運搬の帰りに一緒に乗せてもらおうとルビィに相談した。


 物資の運搬はルビィの信頼出来る人達がローテーションで運ぶみたいだ。

 前回はカレンという人が来たらしいが「アレには話が通じないので止めておけ」とルビィに言われ、本日クラリスという人が来るので、俺は交渉するためにルビィに付いてきた。


 今回の受け渡し場所は西回りルートらしく草原と砂漠の境目、砂漠の柱よりも西側、海岸と柱の間くらいの場所だ。

 東回りルートだと山の麓が受け渡し場所になるらしい。

 ま…どっちにしろ遠いんだけどな。




「お?多分アレじゃないか?ってかアレだろ?」

「そうだな、ユウ…合図するまで、ここで少し待っていてくれ、先に話をしてくる」

「おう、よろしく頼むよ。」



 ルビィは独り受け渡し場所へ荷台を引いて歩いていく、俺も見える位置で待機…。



 遠くてよく見えないけど、女?か?

 なんかルビィに抱きついてるぞ?

 あ…剥がされた…


 遠目にルビィ達のやりとりを眺める俺。


 ルビィと受け渡し場所のクラリスが話をした後、俺に合図が送られる…



「おし、んじゃ行きますかね…」



 腰を上げその場所へ歩きだす。






 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 




「で?ルビィ様、この男は何者か説明していただけますか?」


 そう言い放ち俺を見下すような鋭い目つきの女性。


 薄紫色の髪の毛を肩の辺りで揃えたボブ

 翡翠の様な美しい眼

 整った顔立ち

 クラリスと呼ばれている女性だ。


 可愛いというより、綺麗な人だな…

 なんというか独特のオーラというか…



「何をジロジロ見ているのだ?この下郎めっ!」




 おう。

 二言目に下郎になったぞ?

 まだ俺を睨んでるし、この人恐い。



「ああ紹介しよう…彼は」

「紹介っ!彼!?」


 突如ルビィの言葉を遮りクラリスが口を開く。

 口をワナワナと震わせ、目が血走っている。



「あ、あああ、やはりおかしいと思いました、確かに人付き合いが苦手ではありましたが、たった独り、こんな辺鄙な所で生活を始めるなんて、ルビィ様が言い出した時から怪しいと思ってました。

 いえ!正直疑っていました!男だと!

 そして!本日!まさか!?私が来たこの日に!?何故この大切な!今日という日に!!

 このような!なんの取り柄も無いみすぼらしい、何処にでも居るような平凡、凡人、そんな輩が!あろう事かルビィ様と生活を!?しかも紹介!?私は今悲しみに明け暮れて前が見えません…。

 ……そう……そうですよ……。

 前が見えないので剣を一振りして、偶然にもルビィ様の男を斬る事になろうとも…」


「ちょい!まてー!!!!!!!!!」



 なんか勝手に暴走しているクラリス。

 コイツは今止めなきゃ大変な事になる気がする。



 シュンっ!!



 目の前をなにかが通り過ぎた。


 前を見ると剣を横薙ぎに振るったクラリスの姿…

 それを見て背筋が凍った。



「ふん。これを躱すとは、流石ルビィ様が身も心も捧げた男という訳か。少々本気で掛からねばならぬようだな。」


 キンッと剣を鞘に納め居合いの構えで俺を見据える。


 やべぇ…想像以上にマズい。

 なんか誤解してるし、俺を斬ろうとしてるし。


「ちょっ!話!話を聞いて下さい!」

「問答無用…いざ!」


 パァンっと


 クラリスの頭をルビィが叩く


「なっ!ルビィ様!?」

「落ち着けクラリス。ユウは私の恋人では無い。」


 頭を押さえながら顔を青くさせるクラリス。


「お、おおおおお。既に恋人ではない、既にそこまで、もう私の知っているルビィ様は居ないのですね…」


 涙をポロポロと流しながらとんでもない誤解をしているクラリス。

 ふいに剣を握ってる右手にエナの光が灯る。




 術!か!?何か来る!?



「貴様を殺し、私も死ぬ!かくごおーーーーー!!」

 と俺に向けて剣を抜こうと……





 グシャ





 クラリスの頭がルビィ一撃によって地面にめり込んだ。

 頭を地面に突っ込んだままピクリとも動かないクラリス。


「全く。いつも話を聞かんやつだ。」


 パンパンと手を叩きながら一言投げ捨てるルビィ。


「おいおい、大丈夫なのかその人」

「まぁ寝て起きたら多少は静かになるだろう。この程度で怪我を負うほどクラリスも弱くないので安心してくれ。」

「はぁ…話すら出来なかったな」




 見事に地面にめり込んだまま気を失ってるクラリス。

 とりあえず落ち着くらしいから起きるのを待とう。




 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「はっ!私は!何を!ルビィ様!」


 モーション無しで飛び起きる奇人クラリス。

 横で座ってたルビィもビックリしてら…

 コイツはマジで危ない。

 俺的には縛り上げた方が良いと思うんだがな。




「クラリス、少し話をしようではないか。」


 キョロキョロと辺りを見渡しながら、状況を確認しているクラリスにルビィが話しかける…


「ルビィ様…。分かりました、このクラリス全て受け入れる覚悟が出来ました、何なりとお話し下さい」


 どうやら観念したらしいな。


 俺はヤツの間合いから離れたところで様子をみる。


 また切られるかもしれないからな…。



「あそこに居るのはユウ。訳あって半年ほど、ここで生活している。」

「半年?しかしルビィ様がここ封印の地へ来たのは…」

「ユウはこの世界の者ではないのだ、突如この封印の地に降り立ち、私が保護する形となったのだ。」

「何を馬鹿な!?いくらルビィ様とはいえ、にわかには信じられません!最初から私達の目を盗み二人きりで、あんな事や、こんな事をするために、こんな辺境で暮らしていたに違いありません!」


 何を言おうと俺をそういう立場にしたいみたいだな。

 どうしようか…


「いや、嘘は言ってないぞ?ユウとは、そ、そういう仲ではないしな!本当だ!まだ…何も」

「まだ?何も?」

「いや!無しだ!今のは無しだ!とにかく!私はクラリス達に黙って逢い引きなどしていない。剣に誓おう!」


 顔を真っ赤にしながら説明するルビィ…

 誤解生むからそのリアクション止めておけよ。俺もルビィとネオンには恋愛感情ゼロなのか?と言われると、アレなんだけどな…美人だしなルビィ。ネオンも可愛いしな。




「おい!そこのゲス野郎!」

「まさかと思いますけど俺じゃないよね?」

「私とルビィ様以外にゲスはお前しか居ないだろうが?斬るぞ?」

「なんで会ってから少ししか経ってないのにゲス野郎まで格下げされてるんだよ!」

「ふん。口を開くな、煩わしい。」

「お前今呼んだよな?俺のこと呼んだよな?」



 なんだコイツ!


 やっぱりもう2カ月待って違う人にお願いしようかな…。



「クラリス、少し話をさせてもらっても構わないか?」

「はい!ルビィ様!何なりと!」


 この態度の違い、すげぇよクラリス。


 俺はどこまで見下されてるのか教えてくれ。


「話というのは、そこのユウを『カリキ』まで連れて行き、オルタナに紹介して欲しいのだ。コレがその旨を伝えた書状だ」

「これは?あまり見ない物ですね?紙?ですか?」

「ふっ。よく聞けクラリス。これはユウが持ってきた「めもちょう」と呼ばれる物で、紙で出来た物だ。コレだけでも、ユウがこっちの人間ではないことが分かるのではないか?」


 おおルビィ!ナイスフォロー

 そうだよ、メモ帳並に薄い紙なんてこっちの世界には無いだろうが!?どうだ!信じたか?


「コレは多分中央大陸の貴族から盗んできた物と思われます。ゲスらしい狡猾で卑しい手口ですね。そうやってルビィ様を籠絡し信用させるとは、盗っ人猛々しいとはこの事です!処刑しましょう!」


 駄目だー!

 何を言えば信じるんだ!そもそも俺、この人と1か月も旅を出来る気がしないんですけど。


「ふぅ。相変わらず頭が堅い、クラリスが帰る馬車の中に荷物が増えると思って頼まれてはくれないか?」

「俺は荷物かよ!」

「おい盗っ人!誰が発言を許可した?死にたいのか?」

「お前の許可はいらねぇよ!おい、ルビィ、コレをクラリスにくれてやれ…」



 そう言ってルビィに100円ライターを投げる。


「ふふっ。なるほど、クラリス、ユウからお前に贈り物だ。喜べ、これはかなり凄いぞ?」

「その小さな、何ですか?」


 シュッ!

 ボッ!


「きゃああああああ!!!」



 あまりの反応に俺とルビィがビクッとする



「ここここれは!炎の術!!!ルビィ様いつの間に!!いえ!そんなことより離れて下さい!!今!わわわ私が!!」


 震えながら剣を構えてライターを切ろうとしてるクラリス。テンパり過ぎだ。


「お、落ち着けっ!これは術では無い、ライターと呼ばれる火付け石だ。」


「な!?なんと、まぁ、おお!コレが火付け石。」


 初めてZippo使った時のルビィを思い出すリアクションだな。やっぱりこっちの人は火付け石がメインなんだな…。


「ははは、ルビィと同じ反応だな。」

「なに!?」


 バッ!と俺の方を振り返るクラリス


「今なんと言った?」

「え?ライターを見た反応がルビィと同じだなあ…と思って…」

「る、ルビィ様、と、お、同じ」


 なんか震えながら顔を赤くしているクラリス。


「他!他には何かないか!?ルビィ様と同じような!」

「えっ?あーそうだな、すぐ「斬るぞ!」とかよく言われたし…」

「っはぁん…」


 ビクッと身体を仰け反らせながら、悩ましい反応を起こす奇人、いや変態だ。


「はぁ…はぁ…。ユウとか言ったな。お前は中々見所があるぞ。」

「変態に見所あるって言われても嬉しくねえよ!」

「さぁ!もっとだ!もっと私とルビィ様の同じところを言え、同じ…そうルビィ様と一つに…あっ、あっ」


 コイツは想像以上の変態だった。

 ネオンを置いてきて正解だな、しかしルビィと同じってだけで手の平返すとは、筋金入りだな。

 下郎だのゲスだの盗っ人から、名前呼びまで格上げしたしな。



「んんっ!」



 咳払いを一つルビィが場を元に戻す

 ハッと我に帰るクラリス


「それで、どうだ?ユウをカリキまで運んでくれるか?」

「運ぶって、やっぱり荷物かよ!」

「それは……。………お断りします。」


 少し考えたようだが、断られる。



「はぁ…理由をきいても良いか?」



「はい。半年とはいえ共に生活してきたルビィ様を置いて、この地を旅立つような者に協力は出来ません!どんな理由でこの地を離れるか知りませんが、結局またルビィ様を独りにしてしまいます。そんな事に私が協力すると思われますか?」



 ルビィを置き去りにするような男は運ばないって事か…。

 まぁ、ルビィも「ネオンがいるから寂しくないよ」っ言えれば良いのだが、そうも言えないんだよな…ネオンの存在がネックで上手い言い訳が無いのも事実だ。



 っと、ルビィも同じ事考えてるな…チラチラこちらを見て指示を待ってるし…。


 困ったな、ネオンの事は秘密にしながら、うまい理由を付けて俺だけ移動したいのだが。


「いやまぁ、なんというかな、その、あれだ、私は独りでも大丈夫なのだ。」

「そ、そう!ルビィは独りでも大丈夫なんだよ!えっとほら、あれだ、丁度修行したいって言ってたよな?、そうだ、独りで修行するって言ってから、コレを機に俺も旅に出たいと思ってな。」

「そう!修行なのだ。そうだ!なにぶん私の修行にはユウは付いて来られないし、どっちにしろ独りでするつもりだったしな。ユウなど居なくても何も問題はないぞ!」


 取って付けた様にルビィと口裏を合わす

 さすがに無理があったか…?


「なるほど…。ルビィ様の修行に着いて来られない足手纏いのクズなどは、何処か遠い地へ放り出そう、そういうことですな。」


 ニヤリとクラリスが不敵な笑みを浮かべながら、何か勘違いをしている。



「いや!?私はそこまでは言ってないぞ!」

「安心して下さいルビィ様。私が責任を持ってクズをこの地から追放致しましょう。なんなら道中砂漠に捨て置いても良いかと思われますが、如何いたしましょう?」



 なんか疑ってるけど一応通じたか?

 しかし、どうあっても俺を亡き者にしたいのか…

 はぁ…先行き不安だ。


「あ、あのなクラリス。よく聞いてくれ、ユウは私にとって大事な人、いや、えっと、そう!客なのだ、それを砂漠に捨てるなどとを私が許すと思うのか?責任を持つならカリキまでしっかりと同行しろ!」

「なっなんと!失礼しました!私クラリス、全身全霊を持って水聖のルビィ様の客人をカリキまでお届け致します。」

「この件は水聖のルビィとしてでは無く、一個人ルビィの願いだ。それでも聞いてくれるか?」

「愚問でございますルビィ様。必ず成し遂げてみせます。」


 だから何で荷物扱いなんだよ。

 お届けするなよ、お連れしろよ。


 まぁ、なんか上手く話がまとまった?のか?とりあえずこれで、なんとか封印の地から移動できそうだな…。


「ではユウ。旅の支度は……出来てない様だな、一晩ここで待つので速やかに支度をしてこい!明日の日の出に出発だ。」

「お、おう。宜しく頼む」

「ありがとうクラリス、恩着る」

「勿体ない御言葉」

「ではユウ。早速家に帰って荷造りだ、あとこの物資も運ばないとな。」

「あ、ああそうだな。んじゃぁクラリス、また明日」

「ふん。食料の心配は要らないが、着替えくらいは用意しておけ。」






 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※





 ガラガラと荷台を引きながら家路をルビィと歩く。


「しかし、聞いてた以上に強烈だったな。」

「そうか?私の周りは皆あんなものだぞ?」

「え!?あんなのがまだ居るのか!?」

「クラリスは少し前が見えなくなる事もあるが、あれでも連合国軍と王国最強部隊の副長だからな。しっかり者だぞ?」


「はあ。人は見かけに寄らないって事か、まぁそもそも俺はこの世界の人間ってルビィとネオンしか知らないしな。」

「ふふふ。そうだったな。北へ行けば色んな民と交流出来るぞ。」

「皆クラリスみたいなのだと疲れが半端ないんだけど」

「誰にでも欠点はある、そこは大人の対応で頼む」


「へいへい。そういえばクラリスって受け渡し場所からこっちに来ないのか?あの性格なら家まで来そうなものだけど」

「ん?ああ。以前、後を付けられてな。そこで少し灸を据えたら付いて来なくなったんだ。」

「少し灸ね……」


 ルビィの少しが分からないが

 あのクラリスを思い直させるくらいだったのだろう。

 と苦笑する。


「しかし……」

「ん?」

「寂しくなるな……」

「ああ、俺も寂しいよ……」


 少し感傷に浸りながら二人家路を歩く。


 ネオンとも暫くは会えないかもな…。

 寂しいが、いつでも遊びに来れる。


 一生会えない訳じゃないんだ。

 ってフラグっぽいこと考えるのはやめよう。





 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 




「ただいまーっ!」


 元気よく扉を開けるとネオンが夕飯を作って待っていた


「……」

 笑顔で頷き、お帰りなさいの合図をしてくれる。

 やっぱり寂しくなるな…


「おい。少し手伝ってくれ私一人だと全部持ちきれない」

「もともと、一度で運べる量でも無いだろう」

「…」

 クスクスと笑うネオン。


「ただいまネオン、今戻ったぞ。ユウ!残りの荷物は頼んだぞ」

「はいよ!って多いな!」

「…」

 ルビィに駆け寄り、額を指さすネオン。

 通信クレクレの合図だな。


 半年以上いつも見てきた光景なんだが、明日旅立つ事を考えただけで切なくなってくる。


 また二人きりにさせてしまうな…。

 俺が居た半年間は2人にとって思い出になってくれてるだろうか…


 そんなセンチな気分で荷物を家の中に運ぶ。






 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※





 夕食後自室で旅の荷造りをする。


「メモ帳は半分くらいは置いていくか。」

 鞄の中を整理しながら必要な物と必要無いものを分けていく、正直置いていく物の方が多いが…。

 財布…は要らない、ボールペンは持ってくか…100円ライターはまだあるな…。



 コンコン!

 と部屋のドアをルビィが中に入りながら叩く。

 片手にはお気に入りのワインとグラスを2つ持っている。



「普通はノックしてから入るんだぞ」

「結界が作用してるからな、部屋の中じゃないとユウに音は聞こえないだろ。」

「そっか、扉開けといたと思ったけどいつの間にか閉まってたんだな。ルビィ扉開けといてくれ」

「ああ、分かった……それで少しいいか?」



 そう言ったルビィの金色の瞳が、何故だかいつもより、綺麗に見えた。


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