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ここではないどこかへ  作者: ししまる
第一章 異世界 ~封印の地~
11/78

9話 未知なる知識その価値は…

 砂漠の柱を調べに来た俺達3人は色々な調査の末、仕掛けを見つける事に。

 仕掛けを作動して柱の内部に入った俺達を迎えたのは、幻想的な青白い光を放つ水晶体。

 巨大な水晶体に目を奪われる俺とネオンを横目にルビィは真剣な顔で呟いた。




 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




聖真水晶体ネオクリスタルなのか!?」


「……!!??」

 バッ!と、ルビィの口から漏れたその言葉に、ネオンが驚いたように反応する。


 俺はそのネオンの過剰反応に少しだけ驚く。


「な…なぁ2人とも、ネオクリスタルってなんぞや?」

「ロストアイテムの1つだな、まさかこんなに大きなモノを目に出来るとは…。」


 俺と目も合わせずルビィとネオンは目の前のネオクリスタルなるものに執心なようだ。


「はあ、これがロストアイテムねぇ…よく聞くアレな。うん。知ってるよアレな。ロストアイテムな。」

「…。」

 ネオンの視線が痛い…ごめん適当言ってた。


「ユウ、説明しようか?」

「おぉルビィ優しいなぁ…頼むよ。2人して感動してるんだもん、俺今確実にぼっちだったよ。」

「ふー。確かに、知らない者からすれば何の事か分からないからな。では、簡潔に説明しよう…。今現在私達が当たり前のように使っている術なんだが、もちろん昔は使えなかった者の方が多かったのだ、それを偉人達が後生に残すべく使ったのがクリスタルと呼ばれる特別な石だ。」


 ほう。特別な石ねぇ。確かに家にもあったけど、勝手に光ってるんだから、それだけで特別なのは納得だな…


「そして偉人達は石に術式を組み込んで、それを後生に伝えていった。それにより、術を使えない者でも石を持っていれば術を扱えるようになったのだ。」

「なるほどな、科学と似ているところがあるな。知識を物にしてそれを後の世に誰でも使えるようにって感じか…。教科書みたいなもんかな?」

「かがく?まぁいい。そうしてクリスタルを通して使う術も一般化し、今では殆どの人々が術を行使出来るようになった。」

「クリスタルすげぇじゃん!んじゃ俺でも術を使えたり出来るのか?」

「もちろんだ、但しユウはエナを使いこなせないからクリスタルを持っていても使うのは難しいだろうな…。」


「ありゃりゃ、ここでエナかよ。」

「ふふっ。話を戻そうか、そう今ユウが言った通り、幾ら術式を石に託そうと、使う者のエナに作用するのだ。」

「ま、現実的に考えればそうだよな、赤ん坊とルビィが同じ術を使ってたら驚くわ。」

「流石理解が早いな。その通り、使える資質もさることながら、エナのコントロールが肝なのだ。」

「そうか…。んじゃなんで、このデカいのはロストなアイテムなんだ?失う理由は無い気がするんたが…」


「今言った通り持ち主のエナに作用するクリスタルは使い方次第なのだ、世界中に流通したクリスタル。これを悪用出来る者も増えていった。」

「んで、戦争が起きて?って感じか?」


「結論から言えば戦争は起きた。が1つ、先程も言ったがクリスタルの特性が問題だったのだ。」

「持ち主次第ってことか?」


「その通りだ、戦争はクリスタルを悪用する輩が集まって国を乗っ取る為に引き起こしたものだ、そしてその中に歴代最大とも言えるエナを保有している人物が居た事が当時の一番の問題だったのだ。」


「よりによって味方じゃなく敵方に最強の使い手が居たのね…。」

「あぁ…それによって中央大陸と東聖大陸と魔大陸の三大陸以外の島や国々は滅びの道を辿った…。

 ここからは言い伝えの類なのだが……危機を感じた中央大陸の賢者達は禁術とも呼ばれる特別な方法で新たなクリスタルを生み出した、それが目の前にある聖真水晶体ネオクリスタルと言われている。」

「今まで話してたクリスタルとは違うってことだよな?」


「あぁ…このネオクリスタルは使用者を選ばないのが特性なのだ、言うなれば術を発動させたい場所に置いておくだけで良いのだ。」

「つまり、元々術を使えない人でもエナさえあれば簡単に使えるようになったのが、クリスタル。

 俺みたいにエナの流れすら分からない人が設置型として赤ん坊でも使えるようになったのがネオクリスタル。

 って解釈で良いのか?ルビィとネオンの反応からするとそんなに簡単じゃないみたいだけど…。」


「ネオクリスタルの恐ろしい処はその許容量だな。私の知っているネオクリスタルは当時のクリスタルに組み込まれた術式なら軽く一万あっても足りないくらいだ。」

「一万!?んじゃ、クリスタル1個持った集団一万人にネオクリスタル1つで対抗出来たってのか!?」


「ああ、その通りだ。噂話では賢者達は持てる知識をネオクリスタルに詰め込み、幾重にも結界を張り巡らせ、戦争を終わらせたと言われている。そして危険な術式が組み込まれたクリスタルは各国で回収され処分された。世界中で残っているクリスタルは家にもあるが、生活習慣に関わる程度の物ばかりだ、悪用出来るクリスタルなど、かなり少ないだろう。」


「半端ねえな、ネオクリスタル。でも、俺的にはネオクリスタルを軍事的に利用する奴が出て来てもおかしくない流れだと思うんだけど…。」

「それがそう上手くいかないのだ。ネオクリスタル自体解明されたのが賢者達が死去されてから暫く後の事だったらしいからな、製造や術式など詳しい事は何一つ分からず、記録すらも残っていなかった…いや賢者達は記録を付けていなかったというのが正しいな。よって時の流れと共にネオクリスタルの存在は伝説となっていったのだよ。」


「でもさ、歴史上結構大きな事柄だよな?なんで俺が読み漁ってる歴史書にクリスタルの事が載ってなかったんだ?」

「簡単だ、クリスタルを悪用していた存在の中には王族だった者がどこの国にも居たのだ、そんなことを歴史書に残す勇気ある著者は居ないさ…。」

「身内の不祥事を揉み消しってか…。」

「様々な事情はあると思うが傍から見ればそんなものだ。」


「んで、伝説とまで言われた英知の結晶がここに在るってか?」

「あぁ、未だに信じられんな……。」


「岬の柱の前でルビィが心当たりあるって言ってたのって…」

「そうだ、伝説級の代物だからな…」




 そう言いながら目の前のネオクリスタルを見上げる、高さ10メートルはあろう柱の天井まで届きそうなネオクリスタル、簡単に考えれば他の柱の中にも同じようにネオクリスタルが在るって事だよな…。


 ホントなんなんだ、この封印の地ってのは。


「本当に驚きだ…昔、奇跡的に見たことあるネオクリスタルはせいぜい人族の子供くらいの大きさだったからな…。」

「軽く20倍はあるな…。ちなみにルビィが見たことあるネオクリスタルの威力ってか力はどんなもんだったんだ?」


「そうだな、分かりやすく言えば私が見たネオクリスタル内の力を解放すればイグザ連合国の半分は消し飛ぶと言われていた代物だった…」

「おいおーいっ!サラッと凄いこと言うなよ!コレがその20倍の力って事か!?」


「いや、用途にもよるが、使用方法が失われているのだ、誰にも使いこなせないさ。それに、この場所の発見自体まず困難だしな。」

「そ、そうだよな…。」


 超軍事兵器にしか見えないぞコレ。

 今後、ネオクリスタルを狙って悪い奴が攻め込んで来たり…ってのが俺の知ってる定番の展開なんだけど、まぁ、その心配は無さそうだな…。


「しかし、ある程度はスッキリしたな…。柱を守る見えない壁や、術の無効化してる中で結界が発動している矛盾とか、封印の地全域という広範囲に張られた結界の力の源とかさ…結局は全部ネオクリスタルに込められた術式ってことで片付くんだろ?」

「まだまだ謎は多いがな…。ふふっ。ユウがこの地に来てから私の頭の中は忙しいぞ。」


 と笑いながら俺に軽口を叩くルビィ。


 俺も多少なり話を聞いて、この世界の歴史や文化を覚えていけてる。

 それもコレもルビィやネオンの協力があったおかげだ。





 ……




 さて、いよいよ本格的に調査でもしますかね?




 ルビィはネオクリスタルの周りをウロウロと調べている。


 ネオンは隅っこの骸骨の横にあった本をパラパラと読んで… 


「…って、おい。ネオン。」

「…?」


「…?じゃねぇよ!なんで、骸骨の横で読書してるんだよ!ってか骸骨に驚けよ!リラックスする前に何か言えよ!」

「……」

(後で教えてあげようと思ってた。)

 と読んで居る本の空白にサラサラっと書き出すネオン。


「ちょっ!ちょーい!それ、その本貴重だから!多分歴史的に価値あるから、ダメ!落書き絶対!」


 何この子…物の価値も分からないの?嘘でしょ?


「……。」

 なんか俺に怒られたと思ってショゲてるし…


「なんだ…騒がしい。お?ネオン、ソレは何だ?本か?」

「…。」

(なんか日記みたいな説明書みたいなやつだよ)

「こらぁ!言ったそばから書き込むなよ!」

「まぁユウも落ち着け、後で消せば問題ないだろ、それで?内容はどうなのだ?」


 え?嘘でしょ?ルビィまでそっちの考えですか?消せば問題ないとかあり得ないだろ…。



「ふむふむ…。なるほどな。」

「…。」

 2人とも真剣な顔で本を読みふけっている。

 辞典くらいの厚さの黒い装飾本。

 背表紙には『持出厳禁』の文字が亜人語で書かれている。



 まぁこんな何も無い地で長いこと暮らしてきた2人だ、新たな発見は嬉しいものだろうし、少し放っておくか…。



 俺は調査もそうだが、出口を捜さなきゃだな。

 よくよく考えたら、ルビィに定期的に扉の開閉お願いすれば、俺とネオンで探索し放題だったんじゃないか?まぁ逆もしかり、ネオンに外をお願いしたり…あれ?なんか嫌な予感がするぞ。


 フロア全体の確認の前に、俺達が下りてきた階段を掛け上り、外に出られるか試してみる、持ち上げたり押したりしたが当然ビクともしなかった。


 この入り口から出るのは難しそうだな…



 仕方なくフロアに下りて探索を始める。


 中央にネオクリスタルが1本聳え立ってる以外はだだっ広い空間だ、隅にはテーブルと椅子、そこに座るのは柱の管理人であろう骸骨とネオンとルビィ……


 凄い組み合わせでテーブル上で本を読んでいる。


 骸骨さんと仲よさそうに…って、そうか!

 ここには人が居たって事は生活スペースがあるって事だよな!どこだ?食料もそうだし、こんな広い空間だけって事は無いはずだ。

 もちろん自給自足なんて出来るはずもない、あの入り口以外にもどこか出入口があると思うんだが…。



「困ったな…。薄暗いのもあるけど、石の継ぎ目1つない壁を、調べる気にもならないな…

 おーい2人とも-!本は帰ってから読めば良いから、体力あるうちに出口探そうぜー!」


 骸骨さんと、すっかりリラックスモードの2人に声を掛ける。


「ユウ出口なら、もう見つけてあるから少し黙っていてくれないか?」

「へ?」


 ルビィが唐突に爆弾発言をした、思わず何を言っているのか理解するまで時間が掛かったが、すぐに事を確認する。


「えっと…ルビィさん?出口見つかったというのは、どういうことで?」

「ん?ああ、足下を見てみろ。」


 足下?テーブルの下か?


「ちょっと失礼しますよっと…。」


 うん、おいしそうな足が…。


 じゃなくて、床に模様?いや、これは!

 砂に埋もれていた物と一緒か?真ん中の石、えっとなんだっけ?吸収するなんたらーの清石とかなんとか…。


 ってことは同じようなスイッチ方式で、出入口が開くってことだよな。


「こんな所にあったのかよ!普通に探し回ったじゃねえか。」

「まぁ、厳密に言えばコレは出口への仕掛けではなく、もう1つの部屋への仕掛けだな。」

「もう1つの部屋?って何でそんなこと分かるんだ?」

「…。」

 トントンっと、ネオンが本を指さす。


「えっと?なになに?亜人語か?


 ーーー移動の仕方その3ーーー

 入り口から丁度反対側に同じギミックを用意してあるので、そこから部屋を移動して下さい。入り口と同じく時間は設定出来るのでお好みで調整可能です。


 って!取説かよっ!!!」


 なんだこれ?え?この柱の中での暮らし方とか書いてあるの?しかも完全に骸骨さんが書いた物じゃないよねこれ、誰かが柱を建てた後に管理人に任命された骸骨さんに渡された本か?

 柱の仕組みや云々が書かれている本。

 やっぱり取説じゃねぇか!



「なるほどな。ユウ、本に書いてある通りなら隣の部屋に生活空間があるらしいぞ?」

「オッケー、なんか緊張感が一気に飛んでったわ。とりあえず本読んでて良いからさ、次のフロア行こうぜ、ギミック動かしてくれよ。」

「…。」

 スッと椅子から立ち上がりテーブル下の清石に手を乗せるネオン、ルビィも立ち上がり辺りを見渡す。





 ブーンッ

 空気の震える音と共にテーブル近くの壁に入り口が出現する。


「うっおぅ!!」

「!!??」


 入って来たように地響きのような音と演出を想像していた俺は思わず声を上げる、ネオンも驚きの顔で壁の入り口を見ている。


「向こう側が見えないんだが、潜っても大丈夫かね?」

「いきなり落とし穴ということもないだろうしな。行ってみるか。」

「…。」


 壁に現れた入り口には向こう側が見えない。柱の構造上普通に考えれば地下とはいえ壁の向こう側は砂の地中のはず、さらに向こう側が見えない入り口に躊躇する俺を横目に、ルビィとネオンはあっさり足を踏み入れる。

 音も無くそのまま入り口の向こう側へ消えていく2人…


「え?ちょ!心の準備が!って消えた。」


 どうなってるんだ?向こう側の音も聞こえないし、見えないし、完全に怪しいよねコレ…でも2人とも行っちゃったしな…。




「何をしているユウ、早く来い。」




 突然目の前の入り口からルビィの半身が姿を現す。


「どぅえい!?びっくりしたぁ!は?何どうなってるのソレ?」

「どうも何も…ただの結界だぞ?」

「は?結界?」

「ああそうか…私達は慣れているからな、認識系統の結界はこういうものなのだ。特に危険は無いので、そのまま前に進んで大丈夫だぞ。」


 結界か…そう言われると納得というか、なんというか、ルビィもネオンも当たり前の様に入って行くから…


 ルビィに諭され、俺も恐る恐る足を踏み入れる…何の違和感も無く足が向こう側の地を踏む、見てる分には暗闇に足が呑み込まれた様にしか見えないが、言われた通り問題は無さそうだ。


 その勢いで全身を暗闇に捧げる…。

 入り口を体全体が通り抜けると目の前の景色が一面に広がる。




「おお!これまた凄いとこだな。」



 暗闇を抜けた先にあったフロアは先ほどより少し狭く、広めのワンルームマンションって感じだ、ネオクリスタルが置いてあった部屋とは違い生活感がある、ベッドや椅子にテーブル、台所だったであろう場所や、食器の類が並んでいる棚などなど…


「さっきの骸骨さんが住んでいたのか…」

「この本は柱の構造、仕組み、管理方法が書かれているんだが、後ろ半分は日記になっていてな。

 彼の言葉が幾つも残されているぞ…。」


 と骸骨さんが持っていた本をネオンと2人で読みふけりながら口を開くルビィ。


 取説だしな。さぞかし事細かに書かれてるんだろうな…。

 とりあえず後ろ半分の日記でも読んでみるか…


「んじゃ俺も、ちっと読んでみるかな?」


 なになに?



 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 ようやく戦いが終わったぜ!ひゃっはー!!

 あのクソ共ザマァ!賢者なめんなボケがっ!

 一生閉じ込めてやんよ!とりまコレあればクソ共は外に出られねぇし!他の場所は一安心だ!

 今日からここで夢のひとり暮らしキタコレ!

 どうしよ?とりあえずこの後レイラちゃん来るし、身体全体念入りに洗っとく?いや、洗うっしょ!


 明日の俺へ

 初心忘れべからず 笑




 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 



 え?なにこれ?大丈夫?


「ちょ!どこから突っ込めばいい?」

「う、うむ、いや、ユウ、まだ最初だ、次のページを…」

「いや、この流れからすると嫌な予感しかしないんだが…。」


 いきなり衝撃的内容が書かれていて驚いた、さっきの骸骨さんが書いたんだろうか?なかなかぶっ飛んだ性格の方だったみたいな…







 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 やぁ!昨日の俺。

 今日から俺は新しく生まれ変わったよ!

 女の身体って最っ高!!!

 気持ち良すぎだろ?わかる?昨日の俺には分からなかっただろうな。

 あの濡れ……



 ※ ※ ※ ※ バンっ!!※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 



 思わず日記を閉じてしまった。

 さすがにネオンには少し早いかな……


 顔を真っ赤にしたネオンの頭をポンと撫でながら、俺だけ日記の続きを読んでみる…。




 ……




 駄目だ、この日記の著者は頭のネジが少し足りないみたいだな、自身の体験を事細かく書いてやがる、相当嬉しかったんだろうな、日記に書くなんて…。


 とりあえずネオンには毒なので、卑猥な表現の無いところから読み直すか…。


「えーっと……よし、ここから読み直すか。」





 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 あのクソ共が柱に攻撃してきやがった!

 馬鹿は死ななきゃ治らねぇとは誰かが言ってたが、クソ共は死んでも治らねぇな!

 いちいち相手するのも面倒だから、他の柱を結界で覆っておく。

 見事にクソ共は柱の結界の中で動けなくなったし!

 逃れた奴らも結界に入れなくてワロタ!

 3人には後で解除クリスタル渡しておかないとな、閉じ込められちまう!俺優しい!


 PS

 面白いから結界術式を永久保存してみた!




 ……




 岬のネオクリスタルが容量パンパンとか言ってたから見に行った、途中クソ共が襲い掛かってきてマジビッた!

 即殲滅したけど、ちょっちイラついたから大地の術式に10人程組み込んだ。

 岬の柱は結界張って放置に決めた、明日他の担当が来るからその時にでも伝えようと思う、ダリィけど。



 ……




 うぇーい!お久しぶり!半年ぶりの日記。

 ヤベェ!前に大地の術式にしたクソ共のせいで荒れ地が草原になっちまった!クソ共が草喰えるようになっちまった!てか共食い?まぁどっちにしろクソ共はここから出られねぇし、勝手にしてくれ。

 明日は久しぶりにレイラちゃん来るしテンションあがるわー!!!




 ……




 昨日ここにクソ共が攻め込んできた、女子供も居た…殲滅出来なかった、くそっ!気分が悪い!幾らアイツの造ったクソ共でも女子供は別だ!ダリィけど結界の張り直してどうにか無力化しようと思う。

 まぁ柱が壊される心配は無いが念には念を入れておく。



 ……




 俺天才?知ってる!俺天才!

 ここの結界をエナ吸収に変えて吸収したエナを他の3本に送れる術式を作ってみたら大成功!!

 これで管理がここ1本で出来るようになった!

 いやっふー!

 サトルとマナとアヤノも向こうの柱の管理必要無し!これからは俺含めた4人で、ここだけ管理すればオッケーだし!超絶楽勝!俺天才!



 ……




 久々に柱に来た、最近は東聖大陸に国が増えてきた。

 俺達はケアルランドからこんな最南端まで来なきゃ行けない。正直ダリィ!早く帰りてぇ。砂漠に城でも建てて、往き来を楽にしようか…。

 ま、どうせ今残ってる人間でなんとかなるだろ。

 3人の治療ももうすぐ終わるはず、もう一度あっちに戻ったら、また何か障害出るかもだけど、クソ共が絶滅するまでの辛抱だな。

 それもこれも全部アイツのせいだ!

 許さねぇ!アイツもアイツの造った種族も全部俺が片付ける!何万年掛かるか分からねえけど、必ず俺はやってみせる!



 ……



 ショウさんに障害が出た…。

 もう俺一人しかまともなのは居ない…。

 疲れたな…。




 ……



 昨日レイラが死んだ。

 安らかな顔して、歳を感じさせない綺麗な寝顔だった…。

 いつか来るとわかっていたけど、やっぱり辛いな…。

 早く完成させて皆元通りにして…

 俺も…。




 ……




 何年ぶりかの日記だ。

 相変わらずここの空気は澱んでるな…

 砂漠に城が出来た、多分アヤノの造った種族だろうけど、最近は種族とかゴチャゴチャしてて訳分かんねえ。


 いっそ全部亜人で良いんじゃねぇか…


 疲れた…。




 ……




 もう嫌だ…。

 帰りたいというより、終わらせたい。



 こんなとこ捨てて、

 ここではないどこかへ…






 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 




「途中で悪い、ちょっといいか?」


 まだ数ページ残っているが、頭がパンクしそうになる前に1度小休止を入れる俺。


「あぁ、私も言いたい事が山ほどある」

「……。」


 この日記の内容は正直凄すぎた。


 著者の性格や文はともかく、気になるところが多すぎる。


 とんでもない内容なのは間違いないが、何故だ、知ってはいけないような、そんな気になるのは…。

 何故だか分からない、けど、俺の中の何かがチクチクと頭の隅を突く様なもどかしい感覚だ…。



「えっと…ルビィから話す…か?」


「ユウから……いや、私から話そう。

 まずこの著者なのだが、先ほどの骸骨なのか?私には著者と骸骨が同一人物だと思えないのだが。」


「ちなみに、その心は?」

「自らを賢者と呼び、難解な術式の数々、さらに結界柱の性能向上、閉じ込められた者は分からないが、この著者がここで朽ち果てるとも考えにくい。」

「最後のとこは同意だ。ネオンは何かあるか?」


「……」

(閉じ込められてたのは多分純血種…。)


 シャっと日記の空白に書き出すネオン、俺はもう突っ込まないからな!


「なんだと?そんなこと私には分からなかったが、何か示唆するような内容があったのか?」

「……」

(私は大丈夫だけど、お父さんとお兄さんは、封印の地には入れないって言ってた)


 ん?そうか、ネオンは純血種じゃなく亜人種だって前にルビィが言ってたな…。父兄は純血種なのか…


「そうか、そういえばアイザックも、そんな事を言ってたような……ではここは純血種を閉じ込めるほど強大な結界ということになるのか…。」

「…。」

(信じられないけど、ネオクリスタルが4本もあるなら可能じゃないかな?)


「確かに、不可能では無いと思う。が…だとすると著者とその仲間の能力が恐ろしい事になるな…」


「ちょっといいか?2人とも。」

「どうした?」

「……?」


「無知で悪いんだけど、純血種って凄いのか?」

「……」

(いっぱい居たら三榮傑とお父さんでも勝てないと思う。)


「…すまん、分かりにくい。ルビィ達の活躍を知らない俺からしたら、想像つかないんだが…」


 まぁ適当に…3人居れば、ルビィ一人。

 くらいの戦力で考えてみるとなると…


 えっと、ルビィは、酒の新樽を楽しみにエナを使い切ったり、肉焦がしたり、ライターに夢中になったり、あれ?俺の中でドジなお姉さん的存在だからな…。

 単純計算でルビィの3倍ドジか…

 封印する必要無しだな、間違いない。



「ふふふ。相変わらずユウの中で私は普通の人なのだな。」


 凄い嬉しそうな顔で俺を見るルビィ、まぁ知らないものは知らないしな、知ったところでルビィはルビィだしな。


「んで、封印されてたのが、純血種だったとしたら賢者名乗ってるコイツは相当ヤバいってことか?」

「…」

 強く頷くネオン。目が真剣だ。


「ユウ、想像してみろ、自分と同等の人間が10人同時に襲い掛かってきたらユウならどうなる?」

「即御陀仏だな。抵抗も出来ないな。」

「ふふっ。そうだな殆どの人が同じだ。もちろん術のやり取りで多少の好機はあるかもしれんが…。」

「こちとら、知能指数低いウサギに4対1で死にかけたんだ、笑えねえよ。」


「では、術の使える環境下で敵を10人即殲滅したと書いてるコイツは相当の使い手だと思わないか?しかも結界に閉じ込める必要があるくらいの相手に対してだ。」

「そう言われると、相当危険だな。なるほど、そんな奴がただこのフロアで骸骨になるわけ無いって事も納得できるな。」


 封印の地の柱を作ったかもしれない人物の1人。


 管理者だからと言って、柱に居続けた訳でも無いのは先ほどの文章から読み取れる。

 4人以上でローテーション方式で柱の管理を回していたって事か…。


 俺が気になるのはその仲間の名前だ。

 サトル、マナ、アヤノ、この3人と最後の方で出てきたショウさん…。

 俺と同じように、こっちに来てしまった元の世界の日本人達の名前と考えるのが普通だよな…。


 そして、3人の名前で聞き覚えのあるのが、マナ。

 マナは俺が元の世界で最後に接触した女。


 マナはゲートを知っていて、俺の事を亜人と言っていた、魔眼のことも知ってるっぽかったし、偶然にしては共通点が多すぎだろ。


 ここに書かれているマナという名前の人物と同一だろう…

 しかし、そうなると時間軸がおかしいんだよな…。

 今現在の世界から、何年も前の人物と、元居た世界で接触した俺が、マナの居たであろう時代から何年も後の世界へ来てしまったってことになる。


 頭が混乱してきた…くそっ!


「だとすると、ゲート先の時間のズレ…ってのが…いや、でも、しかし…。」



「ユウ、酷い顔だぞ、大丈夫か?」


 ハッと我に返る。ルビィとネオンが心配そうな顔で俺を見ている…。



「あ、ああ。大丈夫だ、少し考えごとしちまった…。あ、顔は生まれつきだから、酷いとか言うなよ。」

「ふふっ。軽口叩けるくらいなら心配ないようだな…」

「…。」


「それで、ユウどうする?もう少しここで調べるか?私は日記だけ持って帰っても問題ないと思うが…。」

「そうだな、日記は家に帰ってから読めば良いから、柱の説明だけ確認して、一度家に戻るか…暗くなっちまうしな。」


「あぁ、これだけの仕掛けだ、一朝一夕で覚えられるものでもあるまい、出直すのが道理だな。」


「…」

 ビッ!っと手を挙げこちらを呼ぶネオン。


「ん?どうしたネオン?」

「…」

 トントンと説明文を指さす


「えっとなになに?


 ーーー保持者の皆様へーーー

 両眼のメンテナンスと更新をケアルランドで行っておりますので10年に一度は定期更新を受けて下さい。失明の危険性があります。


 は?」


「……」

「ユウ…。」

「これって?もしかすると?魔眼の事…か?失明ってマジかよ、てかメンテナンスってなんだ?」


 保持者の皆様って、当時はいっぱい居たのか?いや、この書き方だと生まれ持っての能力じゃなく授けられた能力っぽいな…そもそも10年に一度の更新ってなんだよ、免許証かよ!

 そもそも魔眼持ってるヤツなんて、この時代に居ないんじゃないか?

 更新出来るのか不安過ぎるぞ…



「ルビィ、ケアルランドってのはどんなところなんだ?」

「ケアルランドはイグザ連合国の首都だ。連合国軍もたくさん常駐しているぞ。」

「首都か…」


「……」

 クイッと俺の裾を引っ張るネオン、何か言いたそうに俺を見てから目を逸らす…。


「ネオン…大丈夫だ。」


 うまく言葉が出てこなかったが、ネオンの頭を撫でながらその言葉を口にする。

 まだ少し不安げな表情で俺に頭を撫でられるネオン。


「さて、そろそろ家に戻ろうかユウ。」

「そうだな、また調べに来ようぜ」

「…。」

 日記を大事に抱えながら頷くネオン。






 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




「ルビィとネオンは出口の仕掛け分かってるのか?」

「ああ、先ほど確認してある」

「…。」


 ふふん。とドヤ顔のネオンとルビィ。

 2人とも出口が分かってるみたいなので後を付いていく、居住スペースからネオクリスタルの広間へ戻り、俺たちが下りてきた階段へ向かう…。


「あれ?ここさっき俺調べたはずなんだけどな…」

「本当か?本にはここから同じように出ると書いてあるぞ?」


 そう言いながら真っ暗な階段を上り始める…



 ゴゴゴゴ…ゴゴゴゴ



 扉の開く音が聞こえてきた。


「え?何したの?俺上まで行って開かないから下りてきたんだけど。」

「…。」


 トントンと俺の肩を叩くネオンが足下を指さす。


 それにつられて足下を見てみる…


 暗くてよく見えないな…ん?これは?外にあった清石ってやつか?


 階段の各段の中央に清石が埋め込まれていた、ネオンとルビィはコレを踏みながら歩いていただけらしい…。


「そっか、俺が独りで調べても開かないわけだな、外の清石も俺が触ってる時は何も反応しなかったしな…」


 入ってきた時と違い、扉が開いている時間がものすごく長い…

 しかし、いつ閉まるか分からない扉を潜るのは中々緊張するものだ。




「コレ俺が通る時に落ちてきたりしないよな…。」

「ん?ああ扉は外から閉めるので心配無用だぞ?」

「そ、そっか、べっ別にビビってないんだからねっ!かっ勘違いしないでよっ!」

「……」


 俺のツンデレ態度を見ながらクスクスと笑い、後を付いてくるネオン、またネオンに変な知識を付けてしまったかな?と少し後悔。



 ……ゴゴゴゴ…ゴゴゴゴ




「ふう…。外は暑いなぁ……」


 と俺が漏らしたと同時にルビィが叫ぶ…




「ユウ!ネオン!本が!」

「!!!!」

「え!?」


 ネオンの抱えていた本がゆっくりと砂塵の様な物に変わり崩れ落ちてゆく、徐々に形を失う本、まるで仕掛けがあったかの様に外に持ち出した途端に砂に変わる…



 俺達は何も出来ず、ただ立ち尽くして、崩れてく本の行方を見ていた…。


「そんな…。」


 日光に弱かったとか、外の空気が原因なのか…。

 いや、違うな。柱の内部情報だ、入り方から出方まで載ってる説明書だもんな、柱の中でしか見られないって言われても納得だ。


 くそっ、その可能性を何故考えなかったんだ!



「迂闊だったな…。すまないユウ私のミスだ…。」

「違ぇよ!3人とも想像出来るわけないだろ!こんなの!」

「……」


 ネオンは手の中に残った砂塵を呆然と眺めている、表情は暗く落ち込んでいるのがよく分かる。


「ネオン、もう帰ろう…そうだ!帰ったらさ、覚えてるとこだけでも書き出ししようぜ!」

「……」

 下を向いたまま小さく頷くネオン。


 帰り道はどこか落ち込んだ空気があったが、それでも何気ない話をしながら歩いて帰った…。


 元の世界への手がかり。

 柱やこの封印の地の秘密。

 自称賢者達の目論見。

 魔眼のメンテナンス。


 考えることは多いけど、それは今じゃなくて良い、こうやって3人楽しく話が出来るなら、その時間を大事にしよう、考えるのは独りの時に出来る。

 3人で話すのは3人居なきゃだ。最近は3人で居る事が楽しい…。


 せっかく見つけた元の世界への手がかりが消失したのに、あまり落ち込んでいない理由はそれかも知れないな…。




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