5話目 時代が終わりました。
【パターン5】
月が降って来るような夜。
家に戻る、帰り道の途中で。
夜空をクジラが泳いでいた。
「そんな食い方されたら蕎麦が泣いちまうよ」
客が引いてお茶っぴき。
夜鷹のわっち。
つい、啜る口のまま、固まった。
江戸の空に雲と鯨が浮世のように。
蕎麦の匂いと風流ふわりと漂う。
屋台から登る、風鈴の音が。
香り広がる夜泣き蕎麦。
「蕎麦の盛りにねぇ……そんなに海苔だのサビだあげくの果てには一味だの……ネギ抜きで頼んだから分かってると思えば……こちとらね?繋ぎも使わずソバの風味に命かけて商売してる……蕎麦の味が分かんねぇなら勘定は結構、とっとと帰ってくれ」
「…………」
これはこれは。
蕎麦に負けず劣らず。
ーーー
蕎麦を啜り終えてからモグモグと。
顎を動かしゴクンと飲み込む。
そして、タタっと舌が回りだした。
「……確かに、蕎麦の命は蕎麦粉の風味よ」
「そしてこれは白粉塗りたくる醜女の如し」
ひょっと舌が回りだすと。
「白粉塗らぬ美人は、それは確かに良い女」
「……そこまでわかってんならよぉ」
「ただねぇ旦那さん?」
銭ごまも裸足で逃げる。
「そこには『美しくあろう』という〝良さ〟がある」
トドメとばかりに着物の袖で。
口元隠しヨヨヨとな。
矢も盾もたまらぬよ。
「美しすぎる蕎麦が泣くなら、そのお味で一緒にさめざめと泣きましょう」
「わっちも夜遠し語る女、語り合うとお味があるよ?」
「この蕎麦みたいな味がある、あぁうまい旨い、泣いてなんかいないよ?サビが効いて、ツンとくるほど泣けてくる、泣けてくるほどああ美味い」
手首をサッと目元に持っていきカクリ。
牙を隠してニコリとほほ笑む。
笑顔と動作でタタっと語る。
「遊女さん……どこで客取ってんだい?女だてらとは思えねぇほど偉く器量がいいね……今度遊びに行かせてもらうよ、勘定はたっぷりと頂いた。その良い蕎麦とやらを味わってくれ。確かにそれは味がある良い女」
「いいのかい?お味がある旦那じゃないかい」
言の葉でコンと化かした。
………………。
………………………。
ああ旨い本当に美味い、でも今日は……。
〝血ではなく蕎麦〟を啜りたい気分。
粋で、味がある旦那さん?
ケタケタと生き血を啜り。
狂言で化かして人を斬る。
人食い人斬り──化け狐。
…………にしても。
(良く油が乗って──旨そうじゃった)
──今度、喰らうてやろう。
……めでたしめでたし!?
つ、次?
……………。
………………………。
「お前、散々書いてくれたのう?」
いやごめんて!夕飯お蕎麦だったからさ。
作りながら思いついたんだけど……。
ちょっとオチで急にホラーになったね?
これジャンルなんだろうね?
──首を傾けジッと『作者』を見る。
「筆乗る『作者』も美味そうじゃのう?」
「油が乗って、とってもああ美味そう」
ごめんてごめんてごめんてごめんて!
やめて?お願いだから?
レーティングつけてないからコレ?
お願い止まって?わたし食べるとお腹壊すからッ!?
…………………………。
ひょっと舌が回りだすと。
銭ごまも裸足で逃げる。
コンと次元すら超えて。
タタっと舌が回りだした。
「たんたたんた~♪」
あ~その曲懐かしいねストップッッ!!
それは洒落にならんッッ!!
「タタっとコンコンメタぱっぱ~♪」
本当に終らそうとするなッッ!!
色んな意味で終わるッッ!!
「この辺のラインで遊ぶの好きじゃよな?」
事 実 で 殴 ら な い で !
レーティングつかないタイプ!?何コレ!?
狂言ホラーメタコメディーって何!?
こんなことある!?!?
お、おしまいっ!次ッ!
…………………………。
「メタ・ザ・ワールドのパワーを全開じゃ」
も う や め て お ね が い !
「そして時は……今なんどきだい?」
限 界 ラ イ ン ギ リ ギ リ !
古き良き落語で遊ばないで?時蕎麦と違うから?
あと集〇社にまで手を出すなッ!
古典落語にも手を出すなッッ!
メタ二重奏やめて?いやこれ。
もうカルテットかな!?!?(四重奏)
「タタッと狂言をコンっとな」
本当にやかましいっっ!!
お願いだから一旦止まって?
勝手に動くのやめなさいッ!
ハイッ!おしまいっっ!!
本気で終わらせに来ないで!
色んな意味で!?
「今は饅頭よりメタが怖い」
『おしまい』って宣言してんじゃんッ!?
色んな方面に喧嘩売らないで?
もうおしまいですっっ!!
「……油揚げは?」
素敵な物たくさんっ!
「よけいなものは?」
入れませんっ!
「ごちそうさん、許す」
また化かされたけどっ!
こんなんなると思わないじゃんっ!?
つ、つぎ!次ですっ!




