2話目 恋が終わりました。
【パターン2】
月が降って来るような夜。
家に戻る、帰り道の途中で。
夜空をクジラが泳いでいた。
「はぁ……今日はいい夜だなぁ」
この街では、夜にあのクジラを見ると。
──恋が始まると言われている。
特に私は、好きな人なんていないけれど。
街行く人は特に気にせず我気にせずと早足で歩いていく。若いカップルがアレを背景に写真を撮ったり……あの見るからに学生さんの子は誰か好きな人でもいるのかな?
「もっと皆、風情を楽しんでもいいと思うんだけどなぁ」
それとも私が酔っているからだろうか?
先ほどの店で、飲み過ぎてしまい思わずしゃっくりが出る。
居酒屋の帰りにフラリフラリと歩いていると、つい、足元がおろそかになり。
──つま先が宙を切った。
(あ、やば──)
体が傾き、地面が迫る。
倒れると感じた瞬間。
〝誰かに〟腕を引っ張られた。
月明りに照らされたスーツ姿の男性が私に覆いかぶさる形になっている。
仕事帰りであろう、疲れきった顔。
合わさった目に、息が止まりそうになる。
恥かしくなって咄嗟に顔を背けようとするも、完全に〝目が合って〟しまって、目が離せない、身動きが取れず、顔が近い。
彼も同様に目を見開いている。
顔全体が驚きと熱で赤くなっている。
瞳が揺れている。
心拍数が急に跳ね上がる。
心臓が、さっきから、うるさい。
そして、わたしは──
急に倒れ込んだ彼女の首が。
こちらにグリンッと向いた。
「いや素敵な出会いをありがとうだけどさぁ……これ、いつまで続くの?」
──飽きるまでですっ!はい次ッ!




