↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛をわかつまで  作者: 秋夜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/47

第15話 薫子の幸せな朝ごはん(side:橘薫子)

「「 いっただきまーす! 」」

その合図とともに、私は目を輝かせて朝食を勢いよく口へ運んだ。

(……やばい、美味しすぎる……っ!)

夜留が私のために朝ごはんを作ってくれた、という事実だけで胸がいっぱいになりそうだったけれど――実際の食欲は胸のときめきに比例して激増していた。

申し訳ないけれど、神様、私は今本気で感謝しているわ。私にこんなにも愛おしくて可愛い妹をもう一度与えてくれて……!

絶対に「返して」なんて言わないでちょうだいね!? たとえ神様を敵に回すことになったとしても、私は一生この子の「薫子お姉ちゃん」であり続けるから!

そんな不敬かつ壮大な決意を胸に秘めながら、幸福感に満ちた時間に浸る。

それにしても、手料理が美味しすぎるのだけど……どうしましょ。可愛い妹の作るご飯が美味しすぎて箸が全く止まらないわ! 誰かこの幸福な暴走を止めてー!

世界一可愛い妹は、私がいただきました。世間の皆々様、先に謝っておくわ。こんなにできた妹を独占してごめんなさーい!

心の中の全全自動オタク人格が大暴れしていて大変だわ。

……けれど、ふと咀嚼する手を止めそうになる。

(……本当によかったわ……。この子が、またこうやって心から笑えるようになって……)

あの地獄のような事件があってから、ずっと死んでいた瞳。完璧な仮面の下で痛みに耐えていたあの子が、今こうして目の前で穏やかな色彩を取り戻している。

本当に、飲みに行こうと誘って大正解だったわ。

入社してもう一年……か。

「まずは仕事の上司としてしっかり信頼関係を築いてから……」なんて不器用なことを考えていたら、あっという間に時間が過ぎてしまっていた。

けれど、あの子の雰囲気が柔らかく変わったのは――まさに「あの日」のあたりからだ。

あの子からすべての色を奪い去った、あの忌々しい事件の命日。

一体なにがあったのか、少しだけ気になるのは事実。けれど、野暮に問い詰めるつもりはないわ。あの子が自分の口から話してくれる時を、静かに待ちましょう。

誰かは分からないけれど……冷え切っていた夜留の背中を押し、前に進めてくれた「誰か」がいるのね。

私には届かなかったあの子の心のドアを、叩いて開けてくれた人。悔しさはあるけれど……感謝しかないわ。本当に、ありがとう。

ふと視線を感じて目の前をチラッと見ると、夜留が嬉しそうに微笑みながら私を見つめていた。

……えっ、待って。なんだか「食いしん坊な子どもを見守るお母さん」みたいな目で見られていないかしら私!? き、気のせいよね……!?

いや、それよりも! 改めて間近で見ると気になるのだけれど……!

私の可愛い妹、美しく育ちすぎではないかしら……!?

さらさらの綺麗な黒髪、透き通るような肌、それに……お胸のラインとか……スタイルも抜群で……。

……いけないわ薫子! 目の前で可愛い妹が見惚れるような美女に成長していて、お姉ちゃん思わずドキドキしちゃいそうよ!?

胃袋も心も完全に鷲掴みにされちゃって、お姉ちゃん本当に困っちゃう!

反省しているという大前提の上で、あえて最後にこれだけは言わせてちょうだい。

昨日の私、大失態を犯してくれて本当にありがとうーーーーーっっっ!!!!!

「ごちそうさまでした♪」

心の中の絶叫を完璧に隠し、私は最高の笑みを浮かべて手を合わせたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。