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男装女子は竜を飼いならす。  作者: 月嶋のん
男装女子と竜騎士の日常。

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竜とパートナーと男装女子。


ダンスも無事に終え、ベルキスさんと結婚しましたよ〜〜!‥と、しっかり周囲にも主張?できたので、まだパーティーはやっていたけれど、早めに帰る事になった。


いや、マジでありがたい。

だって私の精神力メーターはすでに空である。むしろマイナスだ。



ベルキスさんは、私を抱き上げたまま会場から離れた場所へ歩いて行くと、門が見えて、騎士さん達に声をかけると、馬車ならぬ‥竜が何十匹か寄り添うように寝ている場所へ案内してくれた。



「もしかして、ここって馬車の停留所‥ならぬ竜の停留所?!!」

「‥ここは竜の国だぞ?」

「す、すごい‥。こんなに竜がいる!!」



水色、銀色、赤色、緑や青‥と、色とりどりだけど、黒いのはディーだけだった。

私達が近付くと、寝ていたディーが顔をあげる。



「ディー!!」



手を振ると、ディーが体を起こすのと同時にキノがものすごい勢いで私の顔にぶつかるように飛んできた!??驚いて、キノを見るともう嬉しそうに尻尾を振って、私の顔を舐め回す。わ、分かった!!わかったから落ち着け!!



「き、キノも来たの!??」

「‥置いていかれて、速攻でディーにくっ付いてきた。ただ、危ないから必ずディーの所で待つように言っておいたんだ。偉かったな、キノ」



「キュウ」と鳴いて、つぶらな瞳でキノが私を見上げる。

心配して付いて来てくれた事がジワジワと嬉しくて‥、



「‥ありがとう、キノ。待っててくれて嬉しい」

「キュウウウ!!」



キノが嬉しそうに私の頬に顔を寄せて鳴くので、一気に今までの疲れから解放された‥。竜セラピーってあるのかな?もう最高に癒される。


と、ディーも私の頭にふんっと息を吹きかけて、まるで「自分も撫でろ」とばかりに鼻先を差し出すので、ベルキスさんに抱っこされたまま、私はディーの鼻先も撫でると「キュウウ」とちょっと低い鳴き声だけど、嬉しそうに目を細める。


「うう、可愛い!!君たちは可愛いなぁ!!」

「‥‥そうか」


ベルキスさんはちょっと複雑な顔をして、私を見る。

‥そういえばベルキスさんも、朝から襲撃されたように連れ去られた私の面倒を1ヶ月近くよく見てくれたよね‥。



「‥ベルキスさんも、ここまで本当にありがとうございました」

「お礼は?」

「え?」

「同じように撫でてもいいぞ?」

「え、えええ????」



ベルキスさんが面白そうにニヤニヤ笑うので、こういう場合どうすればいい?

ちょっと考えて、そっとベルキスさんの頭に手を置いて、そっと撫でてみると、ベルキスさんの目がちょっと丸くなる。あ、やっぱりまずかった???思わず手を引っ込めようとすると、



「竜だけか?」

「そ、そうきます?!」



え、でも驚いてたって事はまさかするなんて思ってなかったんでしょ?

これ、失礼に当たらない??ああ〜〜〜〜!!もう1ヶ月経つのに、まだまだこの世界のルールやマナーなんてサッパリだ!そう思いつつ、柔らかい髪を撫でる度に頬が赤くなるのが分かる。


「えっと、もういいですか?」

「‥もう終わりか?」

「えええええ〜〜〜?!」


面白そうに笑うベルキスさんに私はパッと手を離す。



「も、もう終わりです!ディーとキノと家に帰ります!!」

「そうか、じゃあ帰ったらな」

「か、帰ったら??!!」



また撫でるの?ベルキスさんを???

驚いてベルキスさんを見下ろすと、小さく体が震えてる。



こ、こ、この人は〜〜〜〜!!!



「ベルキスさん!私で遊ばないで下さい!!!」

「本当に今回、よく騙されなかったな」

「‥ベルキスさんが一番騙していると思います」

「そうか、そうか」

「ちゃんと聞いてます?レイノル様に突っ込まれてたのに!」

「そうか、そうか」



ベルキスさんは可笑しそうに笑って、ディーの背中の鞍に私を乗せると、キノは私の首元にクルッと体を巻きつける。スリッと顔を寄せて、嬉しそうに「キュウ」と鳴くキノに私も頬を寄せると、



「飛ぶぞ」

「へ?あ、ちょっと待っ‥」



心の準備ーーーーー!!!

そう思ったのに、一気にディーは空を舞い上がる。

だぁあああ!!!ちょっと時間をくれってば!!鞍のふちをぎゅうっと掴んで、目を瞑るけれど‥、



「ミヒロ、ちょうどあっちが綺麗だぞ」

「っへ?」



ぱちっと目を開けると、茂った森の奥に、海が見える。

真っ白い分厚い雲の隙間から光が射し込んで、海の水面がキラキラと光っていて‥、



「綺麗!!!」

「頑張ったから、景色も一層綺麗に見えるだろ?」



ニヤッと笑いかけるベルキスさんに、私も笑いかけると、わしゃっと頭を撫でられた。‥私はさっき照れまくってしまったのに、ベルキスさんはなんでもないように撫でるな‥。



まぁ、私はあくまでも「男」で「友人」で、いつか別れる「ただの異世界人」だもんね。



そう思いつつも、綺麗な景色を見せてくれたベルキスさんの大きな背中を見て、どこかでチクチクする痛みを誤魔化すように私はもう一度輝く水面を見つめた。





竜の停留所で待ってる騎士さんは

「え?あれベルキス様?!え、まじ?!」と密かに興奮している

23歳。独身。彼女が欲しいけど激務で出会いもない若手です。

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