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ゴールデン・フロッグ発見にまつわる裏話

 わたしは、黄金のカエルの像をトンと蹴り上げ、

「やっぱり、この黄金のカエルは偽物だったみたいね」

「マスター、そんな乱暴な…… 傷を付けるとマズイかもしれないよ」

 プチドラは小さな手をバタバタさせ、わたしを制するように言った。

「構わないわ。誰も見てないでしょ。黄金のカエルの象の中身をバレない程度にくりぬいて、その地金を屋敷に持って帰りましょうか。金貨と一緒にして袋に詰め込んでおけばいいわ」

 すると、プチドラは、「う~ん」と(おそらくは真剣に)考え込んだ。わたしよりはるかに常識的なプチドラでも、黄金の魅力には勝てないらしい。


 その時、廊下の先の方から、大男と小男の二人組がドタバタと、こちらに向かって駆けてきて、

「お急ぎ下さい! 予定の時刻はとっくに過ぎています!!」

「まあ待て、そう慌てるなよ。俺様が会議に出たって、居眠りしてるだけだから、意味がないだろう。おまえが代わりに出ればいいんだ」

「子供みたいなことを言わないで下さい! そこは、常識というものが!! とにかく、急いで!!!」

 まだ遠いので表情までハッキリと見えないが、きっと、ツンドラ候とニューバーグ男爵に違いない。帝国宰相やパーシュ=カーニス評議員が言ってた「会議」に、この二人も出席するのだろうか。ともあれ、わたしは慌てて黄金のカエルの像の影に身を隠した。

 やがて、わたしの目の前を、大男と小男が通り過ぎた。予想どおり、ツンドラ候とニューバーグ男爵。二人とも、わたしが隠れていることに気がつかなかったようだ。

「危ないところだったわ。見つかったら、再会を祝してとかなんとかで、少なくともこれから1週間はゲテモンのフルコースよ」

 プチドラも、ホッと胸をなぜ下ろした。


 なお、後で聞いた話によれば、ツンドラ候は、バイソン市により「変質者」として拘留されていたが、その後、バイソン市の新政権(政変により成立)を帝国政府が承認するに当たって、言わば「交換条件」として、解放されたという。その際に、両者の間に入って段取りを整えたのは、マーチャント商会とのこと。

 ちなみに、マーチャント商会は、帝国宰相と、アート公、ウェストゲート公、サムストック公などの反対派との間も取り持ち、両者の間で妥協を成立させることにも成功し、その結果、帝国宰相とツンドラ候が推すリチャード親王を次期皇帝として認める代わりに、反対派を高い位に就けるという、よくある話に落ち着いたとのこと。ただし、皇位を継承する条件がゴールデン・フロッグの発見だったため、「リチャード親王が、見事、ゴールデン・フロッグを持ち帰った」という演出が必要になり、そのため、マーチャント商会が純金のカエルの像を用意し、帝国宰相が国庫からそれを買い取ったとか。なんだか、最後には、マーチャント商会の一人勝ちに終わっているような……

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